宇宙での結晶成長の謎に迫る
宇宙で得られた結晶近傍の濃度分布と結晶表面の干渉縞画像を図に示します。干渉縞を観察すると、シャボン玉の膜厚がかわると色が変化するのと同じ原理で、溶液の濃度や結晶表面のナノレベルの凹凸を調べることができます。また、白黒の干渉縞が時間とともに移動するため、結晶の成長速度をナノメートルオーダーで計算することができるのです。
詳しい結果については、科学論文にまとめているところで、まだ記載できませんが、宇宙で結晶をつくると、どのような点で地上と違うのかについての詳細なデータが得られています。結晶の成長速度、結晶面の平滑性、結晶表面の成長パターン、不純物の影響など、これまでの予想と異なる大変興味深い結果が含まれています。
塚本勝男教授は、本実験の成功も含めて世界的に評価され、国際結晶成長学連合より結晶成長の顕著な研究に与えられるFrank 賞を日本人として初めて授与されました。
図(a) 結晶の横からみた干渉像。結晶近くで干渉縞(IF)が曲がっているのは成長のために濃度が減少しているため。
C: 結晶、R1: 基準となるガラス板
(b) 結晶の正面からみた干渉像。結晶表面の凹凸が干渉縞(IF)で可視化されている。高さの変わらないガラスの基準面(R1,R2)と結晶面の高さの差を求めて正確な成長速度とする。
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