【飛べない蛾!?家畜化されたカイコ】
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Q: |
カイコってどんな虫なんですか?
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A: |
キラリは学校でカイコを育てたことはあるかな。
最初はグロテスクに見えるかもしれんが、よく見るとなかなかめんこい顔しとるぞ。
カイコは蝶や蛾と同じ仲間じゃが、品種改良の結果、成虫は飛べなくなってしまった。
人間に飼いならされて飛べなくなったという点では、ニワトリに似とるかもしれんのう。
自然状態では、カイコは秋に産卵し、冬の低温期を過ごして、春に幼虫が孵化し、桑の葉をどっさり食べてマユをつくる。
そして、マユの中から成虫(蛾)が羽化するというわけじゃ。
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【日本人とカイコの切っても切れない密な関係】
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Q: |
日本人にとって、カイコはそんなに身近な生き物なんですか?
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A: |
日本人とカイコの関係をふり返ってみると、ワシら日本人はマユから絹糸をつむいで織物とし、着物文化を発達させてきた。
江戸時代後半には品種改良が進み、さらに明治時代には外山亀太郎というエライ博士が、メンデルの法則を利用して新品種を生みだし、それを農家に広めたことから、マユの生産性が大幅にアップしたんじゃ。
当時の日本は、絹織物を輸出して外貨を稼ぎ、経済発展を遂げたわけじゃから、カイコには感謝せにゃならんのう。
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【絹織物だけじゃない!カイコを取り巻く新たな局面】
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Q: |
絹糸からスカーフや着物を作るのは知っているけど、ほかにはどんな利用法があるんですか?
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A: |
最近は、マユのタンパク質セリシンが医薬品や化粧品などにも利用されておる。
キラリも美容には興味津々のようじゃから、マユタンパク入りの化粧品を使っておるかもしれんの。
現在、九州大学の遺伝子資源開発研究センターには、突然変異系統が450ほど系統保存されており、日本の重要な遺伝子資源となっておる。
また、マユの生産技術を向上させるため、カイコに関する基礎研究も進んでおる。
カイコは、成長を支配するホルモンの研究や、遺伝学、ウイルス学の研究などにも大きく貢献しておるんじゃ。
ちなみにこの写真は、黒縞という品種の黄色いマユじゃ。
鮮やかなきれいな色じゃろう。
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【1匹で1200メートル!?カイコの一生】
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Q: |
カイコの一生ってどうなっているんですか?
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● 卵から孵化まで
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A: |
カイコの卵を上から見ると、約1.3mm×0.8mmの楕円形で、厚みは約0.2mmほどじゃから、ゴマ粒よりも小さいんじゃ。
卵の外側は硬いタンパク質の殻で覆われ、この中で胚(カイコの赤ちゃん)が発育する仕組みになっておる。
卵はメスの卵巣管の中に形成されるんじゃが、交尾の際、オスの精子が卵の中に入り、産卵の後に受精が完了する。
その後、卵の中で胚が発育し、4日目には胚が寝返りを打って、それまで外に向けていた脚を内側に向けるんじゃ。
そして、産み落とされてから10〜12日目に孵化するというわけじゃ。
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● 幼虫
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A: |
カイコの幼虫は、孵化してからおよそ20日間にわたって桑の葉を食べ続けるが、その間に半日から1日、餌を食べない時期(「眠」という)が4回あり、その都度、古い皮を脱ぎ捨てて発育していく。
ちなみに、眠と眠の間の期間を齢といって、この間に桑の葉をモリモリ食べて大きくなるのじゃ。
そして、最終齢(5齢)になるとマユをつくる。
およそ4日間で、なんと1200mほども糸を吐くというから驚きじゃ。
せっかく吐いたその糸を、人間が横取りしてしまうんじゃから、カイコにとっては迷惑千万な話じゃのう。
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● 変態: 幼虫から蛹、蛹から成虫へ
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A: |
キラリは「変態」という生物学の言葉を知っておるかな。
動植物が、まったく違う形態に姿を変えることで、オタマジャクシからカエルへの変態が有名じゃ。
糸を吐き終わったカイコは、マユの中で蛹へと変態し、体の中も外も幼虫とはまったく異なる体をつくりあげるんじゃ。
蛹の期間はおよそ10日から2週間で、さらに蛹から成虫へと変態する。
メスの場合、蛹の期間の中頃から急激に卵巣が発達し、卵管にたくさんの卵が形成される。
こうして次の世代に命のバトンを渡してゆくわけじゃ。
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【カイコが休眠するワケ】
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Q: |
カイコはどうして休眠するんですか?
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A: |
休眠と聞いて連想するのは冬眠かのう。
日本には四季があり、昆虫は必ず寒い冬を越さなければならない。
昆虫は、冬の低温時期には呼吸量と活動量を低下させるんじゃ。
これはクマやヘビの冬眠と似ておるが、昆虫の場合、秋の昼間の長さや気温の低下を感じ取り、冬の寒さに耐えるための物質を体の中につくり始める。
ソルビトール、グリセロール、トレハロースといった糖や不凍タンパク質は、昆虫の体が凍るのを防いでくれる重要な物質なんじゃ。
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