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まず第一に、宇宙放射線がどんな遺伝子に影響を及ぼしているかを網羅的に調べます。



もう一つのポイントは、細胞の中にあるミトコンドリアに着目している点です。 なぜミトコンドリアに着目するかというと、細胞が損傷を受けたときに起こる「アポトーシス」という現象に、ミトコンドリアが司令塔として、重要な役割を担っていると考えられているからです。



アポトーシスは、「プログラム細胞死」とも言われますが、細胞にあるダメージが加わり、遺伝子などが損傷を受けて、そのまま放置しておくとがん化するなどの危険性があるときに、細胞自身を殺してしまうように働くメカニズムで、生き物の健康を維持するために必要なしくみです(図1)。



このアポトーシスが、宇宙で放射線があたって細胞がダメージを受けたときも地上と同じメカニズムで働くかどうかを正しく知っておくことは、宇宙飛行士の放射線防護対策や健康管理上、非常に重要なことです。 すでに地上実験によって、ミトコンドリアを介したアポトーシスに関わっている遺伝子の候補がいくつもわかっています。 実際に宇宙でどの遺伝子が働いているのかを突き止めようとしています。



また、ミトコンドリアには、呼吸によって取り込まれた酸素からエネルギーを産生する役割があります。 実は、この時使う酸素のうち、ごく少ない割合ではありますが、一部の酸素が細胞に障害を与える「悪玉」である活性酸素になるといわれています。 この活性酸素は、細胞の機能低下など、老化を引き起こすと考えられています(図2)。



通常、ミトコンドリアにはこの活性酸素を除去する酵素があるので、大きな障害にはなりません。 ところが、放射線が細胞にあたることでも細胞内に活性酸素が発生することがわかっています。 この活性酸素は、アポトーシスにも関与すると考えられていますので、宇宙放射線によって細胞内に発生する活性酸素の影響も見逃せません。 そこで、活性酸素を退治する酵素や、活性酸素に攻撃された物質も調べようとしています。

図1 ダメージを受けた細胞の変化

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