若い研究者に伝えたいメッセージがありましたらお願いします。
「とにかく、失敗を恐れずにチャレンジしてほしい、という言葉に尽きます。
徳島の田舎者の僕が、国際公募に採択されて宇宙実験の機会を得られたのも、しつこいくらいに申請書を出し続けるとか、研究会でいろんな人と話をして、チャンスがあったら恥ずかしがらずに共同研究を申し込むとか、落とされても断られてもめげずにチャレンジし続けた結果だと思っています。
宇宙開発というのは先行き不透明と思われがちですが、これを切り捨てた国というのはやがて国力も低下していくと思うんです。
この先、日本が発展し続けていくためには欠かせない分野ですから、ぜひたくさんの若い研究者に参加してほしいですね。
宇宙開発というと、つい理学や工学に目が向きがちですが、医学、薬学、栄養学、心理学、建築学、植物学、農学はもとより、法学や経済学といった文系の知識も必要となります。
宇宙はまだほとんど解明されていない未知の世界ですから、非常にチャレンジしがいがあると思いますね」
では、子どもたちへのメッセージもお願いします。
「僕は1961年生まれで、ちょうど大学院を修了する頃のバブル崩壊まで、右肩上がりの成長を身をもって体験してきました。
カラーテレビを買った、オリンピックがきた、クルマを買った、コンピュータができた、というように、日本中が希望にかがやいていたんですね。
ところが、バブル以降は非常に鬱々としていますよね。
国力が低下し、社会的には陰惨な事件や人災としか思えない事故が連発し、借金も失業率も増えていく。
こんな時代ですので、子どもたちは将来に希望を見出しにくいと思うんです。
それでも、戦中戦後にくらべればはるかに恵まれていますから、暗い面にばかり目を向けず、明るい面を見て生きてほしい。
競争して1番にならなくたっていいんです。
自分の気持ちがゆたかになるような生き方、自分のやりたいことを地道に積み上げていくような生き方をしてほしいと思います」
宇宙実験開始までもう間もなくですが、今はどんな気持ちで取り組んでいらっしゃいますか。
「この年になって燃えているといったら変ですけど、日々、ありがたいっていう感謝の気持ちでやらせてもらっています。
本当に恵まれていると思いますよ。
まわりの人たちにもずいぶん支えてもらっていますし。
宇宙実験という千載一遇のチャンスを頂いたわけですから、これから先も全力で取り組んでいくつもりです。
Myo Labの成果に期待していてください!」
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