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宇宙実験で使う培養細胞を準備する二川先生。 宇宙では特殊な培養容器で培養するため、地上実験で繰り返しテストを行う。


2004年3月 学生と卒業旅行中に愛媛県佐田岬にて。 (右端が二川先生)

宇宙で筋肉が萎縮するメカニズムを解明したいとのことですが、先生が筋萎縮に注目されたきっかけは。

「私事なのですが、実は、私の母はくも膜下出血で倒れまして、1年ほど寝たきりの状態で過ごしたんです。 栄養は点滴から摂ったんですが、いくら点滴をしても筋肉はどんどんやせ衰えてゆき、3ヶ月もすると骨と皮だけになってしまいました。 ここまできたら、いくらリハビリをしてももう元には戻らないだろうと痛感させられたんです。 この出来事をきっかけに、たとえ寝たきりになっても、なんとかリハビリができる程度に筋肉を保てないだろうかと考えるようになりました」

宇宙での筋萎縮については、現在、どれくらい解明されているのでしょうか。

「細胞が重力を認識するメカニズムについては、まだほとんど分かっていないのが実情です。 いくつか候補はありますが、まだ完全には証明されていません。 なぜかというと、地上ではどんなに工夫しても、完全な微小重力環境がつくりだせないからです。 だからどうしても、宇宙で実験してそのメカニズムを解明する必要があるんです」

この実験を通して、どんなことを達成したいとお考えですか。

「微小重力環境で起こる筋肉の萎縮というのは、寝たきりによる萎縮、つまり筋肉を使わないことによって起こる萎縮と非常によく似ています。 第1次的な目標は宇宙でヒトの長期活動を可能にすることですが、第2次的には、地上で寝たきりの生活を送っている方たちの筋萎縮を防ぎ、寝たきりのお年寄りの数を減らしたいと思っています。 そして、かつての僕のように、やせ衰えていくさまをただじっと見守るしかない家族の悲しみを少しでも軽減できればと思います」

先生が今後やってみたいことは。

「Myo Labが終わったあとも、筋萎縮だけでなく、宇宙に関するライフサイエンス研究を続けていきたいですね。 NASAは火星に人類を送る計画を立てていますが、現在の技術ではまず不可能です。 遺伝子を傷つける恐れのある宇宙放射線をいかに防ぐかとか、数年間、同じような食事ばかりで大丈夫なのかとか、筋萎縮をどこまで防げるかとか、解決すべき課題は山積しています。 そういった課題に取り組み、人類の夢の実現に少しでも貢献できたらと思います」



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