若者たちが何かを持って出て行く、それがうれしい・・
大学教員を選んで心からよかったと思う
かつては研究所で働いていた。研究所での研究もやりがいがあったが、大学に移ってから、若者たちと交わる毎日が楽しい。
「大学に移ってやっぱりいちばんうれしいのは、いつも若い人たちと一緒に研究ができるってことですね。若い人たちは、入ってきて出ていってしまう。これはとても寂しいことではありますが、その人たちが私の研究室で学び、なにかをもって出て行ってくれる。やっぱりそれがとてもうれしいです。今の仕事についてたいへんよかったと思っています」
08年4月、東京理科大学から諏訪東京理科大学へ。現在は、自然に囲まれたキャンパスで学生たちと過ごしている。
「私は東京理科大学で、私の職業人生の半分、20年勤めました。いまは同じ学校法人のなかにある諏訪東京理科大学っていう、長野の茅野にある大学にいます。ここは、日本で一番標高の高い大学で、標高900メートルあります。周りは、八ヶ岳や蓼科や霧ヶ峰が見えて、とてもきれいなところです」
「小さな大学なので、学生たちとの距離が近いですね。学生たちが気軽に話をしに来てくれます。宇宙実験はつくばで行うので、ちょっと忙しいのですが、諏訪とつくばの両方で仕事をして、宇宙実験の準備をしています」
学生たちを引き付けるのは「空」、そして「宇宙」への憧れ。かつての自分自身のようだ。
「この15年間、この研究を続けてこられたのは、学生たちの宇宙に対する想いがあったからですね。そういう学生たちが集まってきてくれる。やっぱり人間っていうのは、『空』とか『宇宙』に対して、常に憧れを持っているんじゃないでしょうか」
「『空を飛びたい』とか『あの向こうには何があるか』とか、そういうものをもっているから、人類は発展してここまで拡がってきたんだと思いますね。ですから、そういう想いは共通にあって、宇宙につながる研究っていうものに対して、みんなが想いをつないでくれたっていうことが、ここまでやってこられた最大の理由だと思っています」
この研究をやってきてよかったと思うとき、それは・・
「それはもう、やっぱり、宇宙とつながる実験をすることによって、学生たちが関心を持って熱心にやってくれるっていう、そのことだと思います」
研究者として、教員として、多忙ながらも充実した毎日。職場を離れれば、また違った一面もみせる。
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