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スペシャルインタビュー vol.2


横浜市立大学助教授の頃(31歳、写真左)

日本の宇宙実験棟「きぼう」は自分たちの「家」。 ここで生命科学の新しいパラダイムが生まれるかもしれない。

先生のテーマが採択されたのは1993年でしたよね。 打ち上げ予定の延期などで、実験実施までに15年以上かかりました。

「ええ、15年は長かったですが、でも、その間ただ待っていたわけではないんです。 たとえば、当時と今を比較すると、たとえば装置は20分の1くらいコンパクトになったし、そこから得られるデータも100倍以上になりました。 解析技術が発達したことで、今は、わずかなデータから遺伝子のゲノムとか莫大な情報が得られますからね。 そういう意味で、この15年の間に1000倍とか2000倍の進歩があったと思います」

日本の実験棟「きぼう」で実験を行うということについてはいかがですか。

「それはもう、本当に感慨深いものがありますね。 今までと違って借り物ではなく、自分たちの実験室で長期間の実験ができる。 これは素晴らしいことですよ。 言ってみれば、自分たちの家で自分たちの好きなことができるんですから。 実験室を借りて実験をやらせてもらう場合には、時間とかさまざまな面で制約があります。 他人の家で過ごすより、自分の家で過ごす方が居心地がいい、そんな感じですね。 国際宇宙ステーションに自分たちの実験室を持つということは、宇宙での科学技術立国を目指す日本にとって、きわめて象徴的な出来事であったと思います」

宇宙実験ではどんな成果が期待できそうですか。

「正直に言って、宇宙実験で何が出てくるのか、やってみないことにはわからないんですよねぇ(笑)。 まあ、冗談はさておき、僕が期待しているのは、隠れた遺伝子が発現するかもしれないということです。 たとえば、宇宙に行ったら、ある遺伝子は活性化されて働くけれども、今まで働いていた遺伝子が抑えられてしまうとか、あるいは、たくさんある遺伝子の中で、昔は使っていたのに今は抑えられている遺伝子が発現するとか、色々な可能性が考えられます。 そういうものを解析していけば、新しい生命科学のパラダイムが開けてくるんじゃないかと期待しています」

科学に縁遠い方々にとっても、宇宙実験は大きな意味をもつのでしょうか。

「僕は、地球というものをもう一度見直すきっかけになるんじゃないかと思います。 宇宙というと大変ロマンチックに感じられますが、実際は空気がないし、宇宙放射線や重粒子線が降り注いでいるし、太陽の当たっている所と当たっていない所の温度差も激しい、非常に過酷な環境なんですね。 そう考えると地球はとてつもなく優しい。 僕らはそれを当然と思っていますが、もう一度外から地球を見ることで、地球の美しさとかありがたさが再認識できるんじゃないでしょうか。 地球を離れて実験をしたら、生物についても今まで見えなかったものが見えてくるはずだと思います」



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