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「きぼう」の室内はどうやって地球上と同じ空気組成、1気圧に保たれているのですか
ISS内で使用される空気は(打上げ時も1気圧のままですが)、「クエスト」(エアロック)外壁に設置された高圧ガスタンク(酸素タンクと窒素タンク)から各モジュールへ供給されます。
当然この供給先には「きぼう」も含まれます。スペースシャトルがISSとドッキングする際には、スペースシャトルから酸素と窒素がISSの高圧ガスタンクに補給されます。
また、ロシアのプログレス補給船でも酸素と窒素が運ばれ、ガスボトルの栓を手動で開けることにより、ISS内の空気を補充しています。
地球上の空気は、21%の酸素と79%の窒素から構成されています。厳密にはその他の成分も含まれていますが、このふたつさえあれば十分です。
また、ロシアと米国のモジュール内には、空気を浄化する装置がそれぞれ搭載されており、ここで有害な二酸化炭素などが吸着・除去されています。
「きぼう」内にも環境制御系の装置が設置されており、空気の循環や温度、湿度の調整、圧力と酸素分圧の制御、環境監視、などを行っています。
酸素分圧の制御とは、圧力が下がった時に、急に酸素を補給すると酸素の量が増えてしまい、火災などの原因になりかねません。そこで、あらゆる圧力環境下でも、酸素と窒素の成分比を最適に保つ機能です。
さらに、重要な役割として、汚染ガスなどの除去や火災発生時の消火機能なども装備されています。
2010年の段階ではISSの組立てはほぼ終了しており、空気のリサイクルも初期の頃より進歩し、ロシアおよび米国の装置で水から酸素を生成できるようになっています。そのため、プログレス補給船などによる酸素や空気の補給量はかなり減少しています。
「きぼう」の材料は何でできているのですか
「きぼう」日本実験棟の主構造部材は、航空宇宙機用として使われているAl-Cu系のアルミニウム合金(AL2219)です。
主成分はAlで、ほかにSi: 0.20%、Fe: 0.30%、Cu: 5.8~6.8%、Mn: 0.20~0.40%、Mg: 0.02%、Zn: 0.25%、Ti: 0.02~0.10%などが成分として含まれます。
表面はアノダイズ加工(陽極酸化処理)されています。アルマイトの弁当箱などと同じようなものです。
ISSの置かれる空間は温度変化、紫外線、放射線、原子状酸素などの厳しい条件に曝される環境です。 このような宇宙の過酷な環境でも長期間安定していて、軽量で、加工しやすく、値段も手頃なことからアルミニウム合金が選ばれています。
「きぼう」与圧壁の厚さはどのくらいですか
「きぼう」の構体は宇宙空間の熱環境やスペースデブリから人が活動できる与圧環境を守る必要があるため、デブリバンパ、多層断熱材(Multi Layer Insulation: MLI)、与圧壁という構造になっています。
バンパと与圧壁の間はおよそ10cmです。
与圧壁は重量を極力軽くし、かつ強度を持たせるためアイソグリッドといって格子状に削りだしており、一番薄いところで4.8mmです。
「きぼう」日本実験棟の開発にはどんなメーカーが携わっていたのですか
「きぼう」の開発には主に以下のメーカーが携わって行われました。
その他にも、
その他、約650社*の日本企業がきぼうの開発・運用に関わっています。
* JAXA新事業促進センター調べ「きぼう」以外にも日本が作っているモジュールがあるのですか
「きぼう」の打上げ費用の交換条件として、JAXAはNASAの施設であるセントリフュージ(Centrifuge: 生命科学実験施設)の開発を一時行っていましたが、2005年9月にNASAのISS計画見直しの一環としてセントリフュージは打ち上げないことになり、開発は中止しました。
なお、ISSに恒久的に結合するモジュールではありませんが、「きぼう」の開発経験を活かして、日本は、ISSへ補給物資を運ぶための無人の輸送機である宇宙ステーション補給機(H-II Transfer Vehicle: HTV)を年1機のペースで開発しています。このHTVの与圧区画は、「きぼう」の船内保管室をベースに開発されており、内部の大きさも同等です。HTVはISSの「ハーモニー」(第2結合部)に結合/係留され、ISSのクルーによって補給物資の移送が行われます。
「きぼう」日本実験棟のインストラクタについて教えてください
ISSに搭乗する宇宙飛行士は、ISSのシステムについて理解し扱えるようになるための訓練を受けなければなりません。この宇宙飛行士に訓練を行うのがインストラクタです。
NASAのシステムに対しては米国のインストラクタが、ロシア連邦宇宙局(FSA)のシステムについてはロシアのインストラクタが訓練を行い、「きぼう」日本実験棟のシステムについては、日本人のインストラクタが訓練を行います。
既に、JAXAの宇宙飛行士はもちろん、NASAや欧州宇宙機関(ESA)の宇宙飛行士も日本で「きぼう」日本実験棟の訓練を受けています。
インストラクタには、「きぼう」日本実験棟のシステムを教える、「システムインストラクタ」と「きぼう」日本実験棟で行う実験運用について教える「実験運用訓練インストラクタ」がいます。
「きぼう」のインストラクタなるためには先ず、以下のような知識・技量が求められます。
インストラクタになるには、講義およびリハーサルに参加し、筆記試験で規定の基準をクリアした後、認定を受けます。おおよその流れは以下のようになります。
一般訓練
専門訓練
認定
訓練実施
日本人宇宙飛行士がISSにいないとき、「きぼう」は閉鎖されているのですか
「きぼう」は、筑波宇宙センター(TKSC)で地上の運用管制チーム(JAXA Flight Control Team: JFCT)により3交代24時間体制で運用され、ISSに日本人宇宙飛行士がいない間も、さまざまな実験やメンテナンス作業などが行われています。
「きぼう」の運用は、基本的に地上からの遠隔操作で実施しますが、実験用ユニットの交換や実験用試料の出し入れなど、ISS船内で行う作業がある場合は、宇宙飛行士に作業を依頼します。日本人宇宙飛行士がISSにいない間は、米国やロシアなど、国際パートナー(IP)の宇宙飛行士が対応します。
IPの宇宙飛行士の多くは、TKSCなどで、「きぼう」で行われる実験の訓練を実施しています。現行、ISS長期滞在を行うソユーズ宇宙船搭乗宇宙飛行士3名のうち、1名は必ず「きぼう」のスペシャリストとして、「きぼう」での実験ができるよう、訓練を積んでいます。
また、「きぼう」船内実験室は、広報イベントや集合写真の撮影、教育・文化利用ミッションの映像収録の場所としてもよく利用されています。「きぼう」船内実験室のエアロックに近い側は、四方にラックが設置されていないため広い空間が確保できることや、他のクルーの作業の邪魔にならないこと、窓が2つあるためISS船外の風景も入られること、ISSの中では比較的新しいモジュールであるため音が静かで綺麗なことなどが主な理由となっています。
宇宙で実験をしたい
宇宙で実験をしたい場合、「きぼう」利用テーマ募集に応募する方法と、「きぼう」を利用するための制度を活用する方法があります。
「きぼう」利用テーマ募集につきましては、現在のところ、次回の募集は未定です。過去に実施された実験テーマ募集の概要や選定結果につきましては「募集テーマ一覧」をご参照ください。
また、JAXAでは「きぼう」を利用するための制度を設けています。高品質タンパク結晶生成実験や超小型衛星の放出機会提供など、パッケージ化された実験サービスのほか、個別の要望に応じた実験についての相談も受け付けています。詳細は「きぼう」利用のご案内の「制度説明」をご参照ください。
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