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国際宇宙ステーションNASAステータスレポート #04-61
第10次長期滞在クルー 第10次長期滞在クルーのコマンダーのリロイ・チャオは今週、国際宇宙ステーション(ISS)の船外まで作業領域を広げました。チャオと、フライトエンジニアのサリザン・シャリポフは、10月14日に打ち上げられてから間もなく1ヶ月になろうとしています。 これまでのISSクルーと同様に、長さ58フィート(約17.7m)の「カナダアーム2」(ISSのロボットアーム)を使ったISS滞在初期段階での訓練が予定されており、カナダアーム2を操作して実地訓練を行います。11月8日にチャオは、「デスティニー」(米国実験棟)内からカナダアーム2を操作して、ミッションコントロールセンターのミッション評価室にいるエンジニア達に、デスティニー外部の防護パネルの映像を送りました。2002年11月のISSへのスペースシャトルミッション(STS-113/11A)で撮影された映像から、この防護パネルに"へこみ"のようなものが確認されました。(訳者注:撮影された写真はこちらをご覧ください。) チャオは、カナダアーム2のカメラでその部分を拡大撮影するため、カナダアーム2を移動しました。撮影されたビデオは、このへこみが流星塵やデブリの衝突によって生じたものではないとエンジニアが判断する材料になりました。このデスティニーの防護パネルにできたへこみは、「ユニティ」(結合モジュール)の防護パネルに見られるへこみと似ているものでした。 防護パネルの前方と後方の三角形部分に生じたこれらのへこんだ部分は、温度変化の結果による可能性があると、エンジニアは画像から分析しました。防護パネルの防御機能と取り付け状況には影響はありません。 本日早くにチャオは再びカナダアーム2を操作し、11月29日に予定されているソユーズ宇宙船の移動を撮影できる位置へ移動しました。クルーは、ソユーズ宇宙船を「ピアース」(ロシアのドッキング室)から「ザーリャ」(基本機能モジュール)のドッキングポートへ移動させる予定です。ソユーズ宇宙船を移動させ、2005年に2回予定されているロシアの船外活動のためピアースを空けます。 クルーは、引き続き日課である運動やISSのメンテナンス作業、科学研究を行いました。今週は主に二元コロイド合金実験(Binary Colloidal Alloy Test: BCAT)を行いました。BCATは、インクや塗料、牛乳のような液体中に浮遊しているコロイドや粒子の、微小重力環境下での長期挙動を観察する実験です。研究者が将来のISSクルーが研究するコロイドの種類を決定する際の参考とするため、チャオは今週2回この実験を行いました。究極的には、このデータは通信およびコンピュータ産業において新しい製品の開発につながる可能性があります。 週の半ばにチャオは、故障中の米国製宇宙服の冷却システムのポンプの修理を試みました。この冷却システムの故障は、今年はじめに行われた第9次長期滞在クルーによる検査で判明しました。この作業は小さなワッシャー形状の部品が見つからなかったため中断しました。フライトコントローラは11月11日にこの部品を探すことを中断し、次の案を考えています。米国製宇宙服はスペースシャトルの飛行が再開されるまで使用される予定はありません。新しい部品を12月のプログレス補給船でISSに運ぶ可能性もあります。 11月11日に、いくつかのクルー関係の機器に電力を供給していたブレーカが落ちました。ISSクルーと地上チームがこのブレーカに繋がっていた機器を点検する計画を立てている間、このブレーカは落としたままにしておきます。これらの機器には、ラップトップコンピュータ1台と自転車エルゴメーター、そして照明1個などがあります。これらの機器は、ブレーカを落とすような問題を抱えていないか検査されます。11月12日にISSクルーは機器の写真を撮影し、地上のエンジニアに送りました。 来週の作業として、ISSのリブースト(軌道高度の上昇)が計画されています。これはISSの高度を保つために定期的に行われる作業です。 ISSクルーの活動状況、今後の打上げ日、また各地域でのISSの可視状況などについてはhttp://spaceflight.nasa.gov/をご覧ください。 次回のISSステータスレポートは、11月19日か、もしくは何かイベントがあればその時に発行する予定です。
*併記の無い限り日時はすべて米国日時とします。 最終更新日:2004年11月15日
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