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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

ウィークリーレポート

2J/Aミッションは7月に延期、作業計画の変更など(2009年06月22日発行)

「きぼう」船内実験室で冷凍・冷蔵庫(MELFI)の作業を行う若田、サースク両宇宙飛行士

「きぼう」船内実験室で冷凍・冷蔵庫(MELFI)の作業を行う若田、サースク両宇宙飛行士

ハーモニーにて記念撮影するISS第20次長期滞在クルー
ハーモニーにて、(左から)バラット、パダルカ、若田宇宙飛行士

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●6月15日~21日の実績

6月13日に続き、6月17日に予定されていたSTS-127(2J/A)ミッションの打上げが米国時間7月11日以降に延期されたことから、今週の作業計画にも変更が生じました。新たな作業は来週以降に延期され、今週はメンテナンス作業が中心でした。

6月15日、「きぼう」日本実験棟船内実験室内に設置されているモジュール間通風装置(Inter-Module Ventilation: IMV)の風量を計測しました。今年1月に行った音響調査において、予想よりも高いレベルの音響が計測されたことから、船内実験室内のIMVファンにチリなどが詰まったためではないかと疑われたことから、今回、風量の計測が行われました。取得されたデータを評価中ですが、問題は発見されていません。

6月16日、「きぼう」船内実験室内、「コロンバス」(欧州実験棟)内の冷却水ループから水のサンプル取得作業を行いました。また、6月15日、16日には、若田宇宙飛行士からロバート・サースク宇宙飛行士へ作業の引継ぎが行われました。

6月15日、低温実験用冷蔵庫(General Laboratory Active Cryogenic ISS Experiment Refrigerator: GLACIER)から異音と振動が生じているとのクルーの報告から、地上からのコマンドでGLACIERは停止されました。若田宇宙飛行士らは、GLACIERに保管していたJAXAの「両生類培養細胞による細胞分化と形態形成の調節(Dome Gene)」の試料などを取り出し、冷凍・冷蔵庫(Minus Eighty degree Celsius Laboratory Freezer for ISS: MELFI)に移動させました。6月17日に若田宇宙飛行士はGLACIERの異音と振動の原因究明作業を行い、庫内の拭き取りや異音の状況を確認しました。引き続き、地上での原因究明が行われています。

改良型エクササイズ装置(Advanced Resistive Exercise Device: ARED)の左側防振システムのスプリングが外れていることが6月17日に発見されたことから、6月18日、若田宇宙飛行士は左側防振システムのカバーを取り外してスプリングを取り付けた後、AREDの機能確認を行いました。

●6月22日~28日の予定

今週は、「デスティニー」(米国実験棟)、「きぼう」船内実験室、「コロンバス」(欧州実験棟)内での冷却水補充作業を中心に、米国の酸素生成装置(Oxygen Generation Assembly: OGA)や水再生システムの尿処理装置(Urine Processor Assembly: UPA)のメンテナンス作業などを行います。また、クルー・メディカル・オフィサーとしての技量維持訓練を行います。6月23日と26日には広報イベントが行われる予定です。

「若田宇宙飛行士の主な作業予定」 [PDF: 55KB]

●トピックス:軌道上の若田宇宙飛行士に質問してみました! ~その4~

各国のクルーが集まると、それぞれの文化紹介などするのでしょうか?先日鯉のぼりを作られていましたが、他のクルーへ紹介しましたか?
「きぼう」の中の鯉のぼり

「きぼう」の中の鯉のぼり

訓練機会からの長いつきあいなので改まった文化紹介まではしませんが、自由時間や食事の際に各自の文化について話をするのは楽しい時間です。鯉のぼりも最初は魚だと見てくれませんでしたが、こどもの日の話や真鯉のお父さん、緋鯉の子供たちの話をしたら、喜んでくれました。ロシアにもアメリカにも「こどもの日」の祝日はない代わりに、ロシアでは「女性の日」という祝日があることで話が弾みました。


体重測定をしている写真をJAXAウェブで見ました。あれはどういうしくみになっているのですか?
体重測定をする若田宇宙飛行士

体重測定をする若田宇宙飛行士

宇宙は無重量環境と言っても、体重がゼロになるわけではありません。ただ、ISSの中ではフワフワと漂っているので地上のように体重計に乗るわけにはいかないので、どうにかして質量を計る工夫をしたのがあの体重計です。あの細長い胴体部分の中にはバネが入っていて、壁際の持ち手をつかんで身体を押しつけバネを縮めます。その後手を離すとバネが元に戻ろうとします。この時の戻ろうとする勢い(加速度)と体重が反比例するので、この関係を利用して体重を測定するのです。


決して安全が約束されているわけではない宇宙開発ミッションで、打上げ時、今現在、宇宙空間で滞在している中で恐怖を感じることがありますか?

前回にも同様な質問がありましたが、正直恐怖感を感じることもあります。おっしゃるとおり宇宙飛行には危険が伴いますが、ISSは信頼性の高いシステムで大勢の人々が地上でISSの安全を守るために働いており、これらの人たちの努力のおかげでこれまでクルーの生命に関わる大きな故障や事故が起こったことはありませんし、最近話題になった宇宙ゴミも大きなものは全て地上側で把握していて、事前に適切な処置を取ることが出来ます。

スペースシャトルでの打上げ・帰還についても、コロンビア号の事故後の安全対策に関わって来た経験からも飛行の安全性は十分に高いと思っています。事故に遭う確率で言えば、地上に帰って初めて車を運転するときの方がよっぽど危ないかもしれませんね(笑)。


宇宙にいて息子さんがいる地球の上をまわる父親として、息子さんに何を伝えたいですか?

まず、私が宇宙飛行士としての仕事に取り組むことを支援してくれて有難うと言いたいですね。そして暗黒宇宙に浮かびオアシスのように青く輝く地球は本当に美しい私たちのふるさとの惑星であり、みんなで力を合わせてこの美しい星の環境を守って行く事の大切さを伝えたいです。

※特に断りの無い限り日付は日本時間です。

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