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このコーナーは、若田宇宙飛行士が1992年に宇宙飛行士候補者に選抜された後の、三度の宇宙滞在ミッションなどをまとめています。
若田宇宙飛行士が宇宙飛行士を目指してからコマンダーに任命されるまでの半生を綴ったプロフィールダイジェストもどうぞ。
若田宇宙飛行士が初めてアサイン(任命)されたミッションは、ミッション・スペシャリスト(搭乗運用技術者:MS)として、スペースシャトル「エンデバー号」(STS-72ミッション)に搭乗するミッションでした。MSは、宇宙での実験を専門に行うペイロードスペシャリスト(PS)とは異なり、宇宙実験はもとより、スペースシャトル本体の操作、船外活動など、宇宙での広範な活動を行うことができる宇宙飛行士です。
当時はまだ国際宇宙ステーション(ISS)は準備の段階にあり、構成要素の打上げは行われておらず、高度300km前後で地球を周回しながら、スペースシャトル内外で実施するミッションでした。
ミッションでは、訓練時から定評のあったロボットアームの操作が主な任務でした。スペースシャトルの船内(フライトデッキ)よりロボットアーム(Shuttle Remote Manipulator System: SRMS)を操作して、日本の人工衛星「宇宙実験観測フリーフライヤ(SFU)」の回収やNASAの人工衛星の放出・回収を行いました。
また、船外活動(Extravehicular Activity: EVA)が行われた際に、作業支援のためフライトデッキの操作卓からSRMSを操作し、EVAクルーをSRMSの先端に載せて移動させるなどの作業を行いました。
そのほか、実験作業も行い、蛋白質結晶成長実験や、宇宙医学実験のためにデータ取得を行いました。
2回目のミッションは日本人として初めてのISS建設への参加でした。ISSは1998年から建設が開始し、若田宇宙飛行士は、ISS組立てのための7回目のミッションであるスペースシャトル「ディスカバリー号」(STS-92ミッション)にMSとして搭乗しました。
STS-92ミッションは、フライトディレクタやコマンダーがとても複雑であるとコメントしており、若田宇宙飛行士も連日のようにロボットアームを操作して、ISSの重要な構成要素であるZ-1トラスと与圧結合アダプタ(PMA-3)のISSへの取付けやEVA支援のためのロボティクス操作等を担当しました。
Z-1トラスの取付けでは、電気供給系のショートがあり、ロボットアームの操作上重要である宇宙視覚システム(ISSと機器、ロボットアーム間の相対距離や位置などを測定するシステム)が使えなくなるというトラブルが発生しました。限られた時間内で急きょ電気工事を行ってからの作業となりましたが、見事取付けに成功しました。PMA-3の取付け作業でも、訓練時に使用したシミュレータと実際の操作時のISSの状況が異なっていましたが、仲間のクルーと協力して、無事解決しました。
その後もロボットアームを使用したEVAの支援が連日にわたり行われましたが、若田宇宙飛行士はひとつひとつこなし、ミッションの成功に大いに貢献しました。
若田宇宙飛行士は、NASAの極限環境ミッション運用(NASA Extreme Environment Mission Operations: NEEMO)訓練にコマンダーとして参加しました。コマンダーは、チームのリーダーとして、訓練の指揮・取りまとめを行いますが、NASA以外の宇宙飛行士がコマンダーに選ばれるのは異例でした。
NEEMO訓練は、米国フロリダ州沖合の海底約20mに設置した米国海洋大気庁(NOAA)の「アクエリアス」と呼ばれる閉鎖施設内で生活を行い、リーダーシップやチームワーク、自己管理等の能力を向上させることを目的にした訓練です。
訓練では、海底を宇宙環境にみたてた船外活動として、将来の月・火星探査で使用する次世代宇宙服開発の試験を行ったほか、遠隔操作によるローバー(Remotely Operated Vehicle: ROV)を使用した構造物の建設、通信や航法の技術確認を行いました。
若田宇宙飛行士はコマンダーとして、仲間のクルーが士気を保てるよう、ひとりひとりにハイライトのある作業を割り振るなど工夫しつつ、クルーの疲労が蓄積しないよう、リーダーとして気を配り、NASAからも高い評価を得ました。
若田宇宙飛行士は、ISS第18次/第19次/第20次長期滞在クルーとして、日本人として初めてISSに4か月ほど長期滞在しました。
ISSに到着して早速、ISSの大きな構成要素であるS6トラスのISSへの設置作業やEVAの支援のため、ISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System:SSRMS)や「デクスター」(特殊目的ロボットアーム)のロボティクス操作を行いました。
長期滞在最初は、意気込むあまり、休日も含め働きすぎてしまったこともありましたが、コマンダーの助言で休みをもらうなど、仲間と励ましあいながら長期滞在ならではの運用面に力を入れました。「JAXA軌道上実験主任」(JAXAサイエンス・オフィサー)として、運用の始まった「きぼう」船内実験室での実験を行い、また、「おもしろ宇宙実験」などの教育実験にも精力的に取り組んで、その様子を一般に披露しました。
滞在の最後には、「きぼう」日本実験棟の打上げ第3便にあたる2J/Aミッション(STS-127ミッション)として、スペースシャトル「エンデバー」が到着し、若田宇宙飛行士は、SSRMSを操作し、SRMSを操作するNASAの宇宙飛行士と連携して、船外実験プラットフォームや船外実験装置の取付け作業を成功させ、日本時間の2009年7月19日、「きぼう」が完成しました。
若田宇宙飛行士は、ロボティクスシステムの専門技術者として、長期滞在中、ISS、スペースシャトルの4種類全てのロボットアーム*を運用したことになりました。
フライト名 | 宇宙滞在日数 | |
---|---|---|
STS-72ミッション | 8日22時間01分 | |
STS-92ミッション | 12日21時間43分 | |
ISS第18次/第19次/第20次長期滞在 (STS-119、STS-127ミッション含む) |
137日15時間05分 | |
合計 | 159日10時間49分 |
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