第44次/第45次長期滞在クルーとして、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在していた油井宇宙飛行士が、約142日間にわたるISS長期滞在ミッションを終えて、2015年12月11日に帰還しました。
ISS滞在中、油井宇宙飛行士は、「きぼう」日本実験棟での実験、新たな実験装置を設置するなど利用環境の整備、ISSのメンテナンス、船外活動の支援、そして宇宙からの魅力的な写真と共に日々の状況をツイッターで情報発信するなど、滞在期間中パワフルに活動しました。
8月には、宇宙ステーション補給機「こうのとり」5号機が打ち上げられ、日本人として初めてキャプチャ(把持)を担当し、ISSのロボットアーム(SSRMS)の正確な操作で「こうのとり」5号機ミッションを成功に導きました。
その後もロードマスター(到着物資の移送責任者)として、到着直後の「こうのとり」の内部点検や物資の荷降ろしや保管管理を指揮しました。
油井宇宙飛行士が関わったJAXAの実験は21ミッションに及び、NASAやESAの医学実験のデータ取得にも貢献しました。
新たな実験装置である小動物飼育装置(MHU)の設置や動作検証、新たな実験エリアとなる多目的実験ラック(MSPR-2)の設置とそこに設置する予定の静電浮遊炉(ELF)の到着部品の点検も行い、「きぼう」に新たな利用環境の構築も行いました。
船外実験プラットフォームの利用としては、日本やブラジルの大学が開発した超小型衛星の放出作業や簡易曝露実験装置(ExHAM)2号機の設置に携わりました。
12月11日、油井宇宙飛行士は、オレッグ・コノネンコ(ロシア)、チェル・リングリン(NASA)宇宙飛行士と共に、ソユーズTMA-17M宇宙船(43S)に乗り込み、日本時間午後6時49分にISSから出発し、同午後10時12分頃に、カザフスタン共和国の草原に着陸しました。
12月21日には、帰還後初めての記者会見をJAXAヒューストン駐在員事務所から行い、テレビ会議のモニター越しに報道関係者の前に元気な姿を見せました。油井宇宙飛行士は、ツイッターで伝えきれない多くの想いがあること、地球の自然環境に負荷を与えない環境制御技術の重要性、多国籍の人間が集うISSでお互いを尊重しあう文化が育まれていること、その中で日本が存在感を示せたこと等、2月に帰国したらミッション報告会で伝えたいことがたくさんあると語りました。