JAXA宇宙飛行士活動レポート 2009年8月
最終更新日:2009年9月25日
JAXA宇宙飛行士の2009年8月の活動状況についてご紹介します。
NASAでの宇宙飛行士候補者訓練開始
ASCAN訓練の開講式で訓練に向けた抱負を語る油井(左)、大西(右)両宇宙飛行士候補者
国内での基礎訓練を終えた油井、大西両宇宙飛行士候補者は、8月に渡米し、NASAが実施する宇宙飛行士候補者(AStronaut CANdidate: ASCAN)訓練を開始しました。
油井、大西両宇宙飛行士候補者は、NASAジョンソン宇宙センター(JSC)にて開催されたASCAN訓練の開講式に、国際宇宙ステーション(ISS)計画に参加する各極の宇宙飛行士候補者とともに参加し、訓練に向けた抱負を語りました。油井、大西両宇宙飛行士候補者は、今後2年程度NASAで訓練を行います。
開講式後には、米国メイン州にある米海軍の施設で行われた地上サバイバル訓練にASCANのメンバーとともに参加しました。
サバイバル訓練に参加する大西宇宙飛行士候補者(奥から2番目)
サバイバル訓練に参加する油井宇宙飛行士候補者(手前)
この訓練は、今後開始されるT-38ジェット練習機操縦訓練において、飛行時に異常が発生し、緊急脱出した際に、救助が来るまでの間のサバイバル技術を習得することを目的としています。
訓練では、地図とコンパスを用いた目的地への移動方法や怪我などの救急手当、パラシュートや雨具を用いたシェルターの作り方、火の起こし方などの技術を身につけるとともに、ASCANメンバー内のチームワークを深めました。
ロシアでのISS長期滞在訓練
帰還訓練を行う野口宇宙飛行士(©JAXA/GCTC)
国際宇宙ステーション(ISS)の第22次/第23次長期滞在クルーである野口宇宙飛行士は、バックアップクルーの古川宇宙飛行士とともに、ロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(Gagarin Cosmonaut Training Center: GCTC)にて、ISSのロシアモジュールやソユーズ宇宙船に関わる訓練を行いました。
ソユーズ宇宙船については、ISSへの手動操縦での接近・ドッキングや、手動操縦での帰還、再突入から降下時の体感重力を遠心加速器で体験する訓練などを行いました。ISSのロシアモジュールについては、火災を摸擬した対応訓練を行いました。その他に、ソユーズ宇宙船に搭乗する際に着用するソコル宇宙服や、不時着時に着用する防寒服・防水服のフィットチェックも行いました。
遠心加速器に乗り込む野口宇宙飛行士(©JAXA/GCTC)
また、野口宇宙飛行士は、ソユーズ宇宙船の構造・レイアウトの確認や、ISSのロシアモジュールのドッキングシステムについて訓練を行いました。
訓練期間中、報道関係者に向けてロシアでの訓練の様子を公開し、遠心加速器を使用した訓練や、ソユーズ宇宙船の手動操縦訓練などを紹介しました。
記者会見の様子
記者会見も行われ、野口宇宙飛行士はソユーズ宇宙船に搭乗することについて、「今回の訓練を含め、有人飛行船の操縦に携わることは、今後の日本の有人飛行への技術蓄積のひとつだと思っている。今までJAXA宇宙飛行士は、ソユーズの操縦に携わった人がいなかったので、そういう意味でもひとつ新しいステップだと思っている。今後の日本の有人宇宙船開発の気運につながればと考えている」と語りました。古川宇宙飛行士はソユーズ宇宙船について、「ソユーズは信頼性が高いので、非常に勉強になっている。このノウハウを蓄積していくことで、日本の将来の宇宙開発のために貢献できればと思っている」と語りました。
- 野口聡一宇宙飛行士
- 古川聡宇宙飛行士
- JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在
スペースシャトルのロボットアームの操作訓練
シミュレータ上でSRMSを操作する山崎宇宙飛行士(右)
山崎宇宙飛行士は、STS-131ミッションに向け、NASAジョンソン宇宙センター(JSC)で、シミュレータを使用したスペースシャトルのロボットアーム(Shuttle Remote Manipulator System: SRMS)の操作訓練を行いました。
機体の損傷点検に使用するセンサ付き検査用延長ブーム(Orbiter Boom Sensor System: OBSS)を、スペースシャトルのペイロードベイ(貨物室)の右舷側に収納する際のSRMS操作について、シミュレータを用いて訓練を行いました。
SRMSを操作するクルーと、モニタや船外を見て支援するクルーを、STS-131クルーのステファニー・ウィルソン宇宙飛行士と交互に実施しました。
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