JAXA宇宙飛行士活動レポート 2006年9月
JAXA宇宙飛行士の2006年9月の活動状況についてご紹介します。 「きぼう」日本実験棟運用手順検証試験
NASAケネディ宇宙センター(KSC)にて、「きぼう」日本実験棟船内実験室の運用手順(Operations Data File: ODF)検証試験が行われ、土井、若田、星出宇宙飛行士およびNASAの宇宙飛行士が参加しました。ODFとは、軌道上のクルーや地上の飛行管制官が作業する手順を運用の場面毎に規定したものです。今回の検証試験は、現在KSCにある「きぼう」船内実験室の実機を用いて、ODFの操作手順通りに「きぼう」船内実験室の運用ができることを確認することを目的として行われました。 試験では、「きぼう」船内実験室の初期起動や定常運用時の不具合対応などが、ODFの操作手順に沿って実施されました。また、試験に参加した宇宙飛行士は、「きぼう」船内実験室内での作業時に、ハンドレールやラベル、ツール類が適切かどうか、また、機器やケーブル、配管類などの設置や接続などがODFの指示通りにできるかどうかなどを確認しました。
「きぼう」日本実験棟運用シミュレーション訓練
星出、山崎両宇宙飛行士は、筑波宇宙センター(TKSC)にて行われた、「きぼう」日本実験棟運用シミュレーション訓練に参加しました。この訓練は、「きぼう」の運用に関わる飛行管制官の育成を目的として、毎月数回行われています。 山崎宇宙飛行士は、現在、国際宇宙ステーション(ISS)の第14次長期滞在クルーのロボットアーム運用において、NASA宇宙飛行士室内で主担当をつとめ、NASAのミッションコントロールセンターとクルー間の交信を行いつつ、ロボットアーム運用を支援しています。その経験をもとに、「きぼう」ロボットアームの展開から保存姿勢(軌道上で使用しない時の姿勢)にするまでの一連の運用を模擬した運用シミュレーション訓練に参加しました。「きぼう」ロボットアームを操作する軌道上のクルー役として参加した山崎宇宙飛行士は、「きぼう」ロボットアームのシミュレータを使用し、一連の運用を模擬しました。
星出宇宙飛行士は、「きぼう」船内実験室に設置される細胞培養装置(Cell Biology Experiment Facility: CBEF)と、画像取得処理装置(Image Processing Unit: IPU)の起動運用を模擬したシミュレーション訓練に参加し、軌道上で実験装置を運用するクルー役を務めました。また、NASA宇宙飛行士室の交信担当(Capsule Communicator: CAPCOM)部門に所属し、月に数回、NASAのミッションコントロールセンターとISS間の交信担当を務めている経験を踏まえ、クルーと「きぼう」運用管制室間の交信担当を含む飛行管制チームへのアドバイスを行いました。 コロンバス訓練評価試験
古川宇宙飛行士は、ドイツにある欧州宇宙機関(ESA)の欧州宇宙飛行士センター(European Astronaut Centre: EAC)にて実施された「コロンバス」(欧州実験棟)訓練の評価試験に参加しました。この評価試験は、訓練の質をより向上させるために、訓練全体を評価する目的で行われました。 ESAの実験棟であるコロンバスでは、ISSへ結合されると、生命、物理、材料化学などの様々な実験が行われます。古川宇宙飛行士は、コロンバスについての講義のほか、シミュレータとモックアップ(実物大模型)を使用した運用訓練を受け、訓練の手順書を確認し、訓練全体の評価を行いました。評価を受けて改良されたコロンバス訓練は、今後、ISS長期滞在クルーに対して、本格的に実施されていきます。 「宇宙の日」ふれあいフェスティバル2006 スペーストークショー
山崎宇宙飛行士は、宇宙の日(9月12日)を記念して9月8~10日に石川県金沢市で開催された「ふれあいフェスティバル2006」の「スペーストークショー」に参加しました。フェスティバルでは、Dancing(ダンシング) きぼうペーパークラフトの作成、フィルムケースを使ったロケットの作成・打上げが体験できるコーナーや、宇宙服を着て記念撮影しカンパッチにするコーナーなどたくさんのイベントが行われました。 スペーストークショーには約450名の方々が来場し、山崎宇宙飛行士は、宇宙飛行士の訓練や宇宙での仕事について講演を行いました。また、キゴ山宇宙塾の生徒が準備したクイズの勝ち抜き大会や、宇宙についての質問コーナーも設けられました。その他に、会場に来場された方々と国立天文台の渡部潤一天文情報センター長および山崎宇宙飛行士により、アマチュア天文家の渡辺和郎氏により発見され、まだ名前のついていない小惑星の名前を決めるイベントも行われ、トークショーは大いに盛り上がりました。 JTTA 2006 in TAKASAKI 日本遠隔医療学会学術大会 市民公開講座
向井宇宙飛行士は、高崎健康福祉大学(群馬県高崎市)で開催された日本遠隔医療学会学術大会に参加し、講演を行いました。講演には学会員や市民の方々、約380名が参加しました。 「宇宙からみた地球の健康」をテーマに、向井宇宙飛行士は、宇宙から見た地球の美しさや地球を観測する意義について話しました。また、人と宇宙の関わりについて、地上での医療にも貢献が期待されている宇宙環境が人体に与える影響を調べる研究や、宇宙環境を利用した研究成果を地上の暮らしに役立てる研究が大切であることを伝えました。 最終更新日:2006年10月31日
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