ミッションに関する宇宙飛行士へのインタビュー
2002年8月のヒューストンにおけるこの計画の話合いについては、これに特に関心を示している野口氏が、他の宇宙飛行士に内容を紹介しながらというかたちで進められた。
まず、シリンダーの中身について、何もない「空」なのか、それとも「宇宙」が詰められているということなのかという議論から始まったが、この両義性そのもののおもしろさという点をおさえた上で、土井宇宙飛行士から月まで行けば更に絶対的な真空があり、それなら崇高さすら感じるという意見が出された。
このミッションそのものは ISS と地球とを往来するスペースシャトルの船外活動を念頭に計画されていたが、やはり、NASA 側のチェックが厳しいこと、スペースシャトルのスケジュールがあまりにタイトであることなどから、ISS
で本格的に様々な実験がなされるまで待った方が実現されやすいのではという指摘がなされた。
なお、若田宇宙飛行士から、既に NASA で使用されているような、サンプルを採取するための容器などを用い、人の手を介さずバルブが開閉される仕組みを考えるなら、スペースシャトルでも実現可能ではないかというアドバイスが付け加えられた。
残された課題は、持ち帰ったこの小さなカプセルで、「宇宙を手にとる」ような感覚を得るには、どのような展示がなされるべきかということについてである。
あらためて言うまでも無く「宇宙」をカプセルの中に詰め、持ち帰ればそのまま完成するというのではなく、それを素材とする展示に、観客がふれ、接点を持つことで初めて成立するというのがこのプロジェクトの特徴である。
これらを受け、共同研究最終年度の2003年は、同年12月の報告会の際に、展示についての提案をすることでこの研究のまとめとすることとした。 |