宇宙連詩 みんなで紡ごう、宇宙に流れる生命のメッセージ

宇宙連詩へのメッセージ

大岡信

大岡信
Makoto Ooka

宇宙連詩というアイディアは、宇宙は弾道弾やロケット兵器のためにだけあるのではない、それは人間やその他の生物のために広々とした利用の可能性がある場所として開かれていなければならないという考えから出たものです。つまり、宇宙は軍事にのみ利用されてはならない、平和利用の広々とした可能性の原野たらしめねばならないという思想から得られたものです。心ある人々の参加をお待ちします。


宇宙の真っ暗闇で「光りありき」の意味がわかった。真っ白い太陽に輝く地球の青さで「生命の起源」がわかった。それを多くの人たちに伝えるために科学ではなく芸術の表現力がほしいなと思った。地球上の多くの人たちと宇宙連詩を媒介にその宇宙体験のすべてを共有したい。


宇宙連詩に参加することが出来、とてもうれしく思います。私たちも、この世界で起こっていることも、みな宇宙の一部。だから、宇宙は決して遠い存在ではなく、一人一人が宇宙と繋がっているはず。この宇宙連詩を通じて、たくさんの方々の様々な想いが引き継がれ、宇宙へ届くことを楽しみにしています。


佐治晴夫

佐治晴夫
(鈴鹿短期大学学長)
Haruo Saji

「自然は芸術を模倣する」といったのは、イギリスの作家オスカー・ワイルドでした。逆説的な言い回しですが、人間の自然への理解は、それらの有り様を縮約して表現できる芸術を通して可能になるといっているのでしょう。芸術こそ魂に直接的に働きかけてくる表現方法だからです。今回、連詩という芸術作品に、広く一般の人たちがかかわることによって、人類の普遍的な宇宙理解が深まれば、そこから、世界平和への第一歩が始まるでしょう。


井口洋夫

井口洋夫(JAXA顧問)
Hiroo Inokuchi

私達は万葉の昔から、老若男女多くの者が日常短歌をよくし、俳句に親しんで来た。その題材には、自然の移り変りを巧みに捉え、短い言葉の中に凝縮し、われわれの思いを表現した。いま、宇宙時代の象徴としての国際宇宙ステーションの中で、日本の実験棟の稼動を間近に控え、宇宙飛行士も加わって一回り大きくなった自然を連詩に託し、新しい交遊の輪を世界に拡げたい。それこそ、われわれ人間が地域も、宗教も、言語も超えて一つになれる第一歩だから。


21世紀の新聞記事が、世田谷区の一家殺人事件のニュースから始まったことが、現在の日本が抱えている課題を象徴的に浮かび上がらせました。137億年前の宇宙誕生以来、紡がれてきた物質の連鎖は、約40億年前に、この地球で幼い「いのち」を生み、以来さまざまないのちのリレーによって、他ならぬ私たちの「いのち」に受け継がれてきました。それは今や美しさだけの世界ではなく闘いの現場となっています。宇宙連詩が、厳しいリレーを内に秘めた強靭な絆をバトンタッチして行けるといいなと願っています。


室山哲也(NHK解説委員)

室山哲也(NHK解説委員)
Tetsuya Muroyama

進化は「多様化」の方向に進んできました。地球上にはおびただしい形の生物が満ち、人類は民族に分かれ、数々の文化や文明を通じて、独自の精神世界を作ってきました。私たちが今「宇宙」というキーワードでつながると、一体、何がおきるのでしょうか。多彩な神話が複雑に絡み、宝石のようにきらめきながらぶつかり、融合して、今まで見たこともない、未来の神話が生み出されるのでしょうか。それとも苦しみが増幅して、巨大な悲劇がつむがれるのでしょうか。遠い宇宙から眺めたとき、私たち人類という生物はどんな色で輝いているのでしょうか。


 天の川が見えなくなりつつある日本の夜空でも、星たちは輝き、微かな光のメッセージを私たちに届けてます。宇宙からのメッセージが微かであるからこそ、私たちは感性を磨いて、それらを受け取らなくてはならないのでしょう。天文学者は大きな天体望遠鏡をつくり、それらを活用して宇宙からの手紙の意味を読みとろうとします。詩人は心をとぎすことで、宇宙からのメッセージを自分たちの言葉に翻訳しようとします。どちらも宇宙の声を聞こうとする姿勢は変わらないのかもしれません。宇宙連詩という素敵な試みを、天文学者たちが捉えた絵手紙、つまり天体画像を背景に飾ってみることにしました。詩だけでも十分に素敵ですが、こうするとまるで宇宙空間で詩が朗読されているかの如く思えてくるから不思議です。さぁ、一緒に宇宙への旅を楽しんでみませんか。


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