★ここでは、スペースシャトルを取り巻く環境(無重量や真空や温度)について学びます。
- 無重量状態とは何か?
- 地上で重力を感じるのは、地面が体重などをささえているからです。それは、止まっているエレベーターも同じで床が体重をささえています。いま、仮に突然エレベーターの綱が切れたとすると、中に乗っている人も、エレベーターの床も、重力に引かれるままに同じ速度で落下します。すると、それまで体重をささえていた床がなくなってしまうことになり、エレベーターの中は無重量(無重量ともいいます)状態になります。つまり「無重量状態」とは、他からの力がはたらかず、重力に引かれるままの運動、重力に身をまかせた運動をする場合になる状態のことです。
- スペースシャトルは無重量
- スペースシャトルの軌道高度(300km〜500km)における地球の重力は、地上の約90%です。いくら地表から遠ざかっても、重力は距離の2乗に反比例して減衰するだけで、月にも地球の重力がおよんでいます。
スペースシャトルの中の宇宙飛行士がふわふわと浮かんでいるのは、地球から離れたことにより無重量になるのでなく、「自由落下」の章で述べたように、地球に落下し続けている、あるいは遠心力と地球の重力が釣り合っているために、スペースシャトル中は重力から解放されることになります。つまり無重量状態なのです。
- 宇宙は真空、0気圧
- 地球の表面は大気に覆われています。この大気とは空気のことです。ただし、空気は地上から離れれば離れるほど薄くなり、空気を構成する分子のほとんどは地上から20kmまでのところに集まっています。高度およそ25kmのあたりには、オゾン層があります。このオゾン層は宇宙から降り注ぐ有害な紫外線を吸収し、私たちの生命を守っています。そして、地球の多くの生物がはぐくまれている大気圏はおおよそ高度100kmです。
シャトルの軌道(300km)にもわずかながらですが大気成分が存在します。完全な真空というわけでなく、高真空という言葉などを使います。
ちなみに高度80km以上を、宇宙と呼んでいます。
- 太陽の熱
- 宇宙では、日なたの温度は摂氏121度に、また、日かげの温度の方は摂氏マイナス121度にもなり、日なたと日かげの温度差は240度以上にもなってしまいます。
宇宙で熱が伝わるのは伝導か輻射しかなく、対流による熱の移動がない(熱の伝わり方としては、地球上では、伝導、輻射、対流の3つがありますが、宇宙ではこのうち対流は生じないため、宇宙での熱の伝わり方は伝導と輻射の2つだけになります)ので、日が当たるところはすぐに熱くなりますが、反対に日かげでは地上のどんな場所よりも冷たくなります。
光の反射でも同じ様なことがいえます。大気中では光が細かい物質つまりチリに乱反射するので、散乱した光のおかげで日かげでも物が見えます。ところが真空中では乱反射する物質がないので、太陽光が当たっているところは極端に明るく、当たっていないところは極端に暗くなります。そのため真空中は明暗の差が非常にはっきりします。
【Try more! 発展学習】
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- 宇宙環境の基礎知識
http://spaceboy.nasda.go.jp/note/Yujin/J/Yuj_j.html
NASDAホームページのスペース百科より。宇宙空間は無重量?、無重量でおきる不思議な現象、飛行機やロケットの無重量実験、地上での無重量実験等の解説。
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