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土井宇宙飛行士の宇宙服講座


 下半身の部分は15kgから20kg位あります。
 宇宙服は1人で着ることができず、どうしても他の人の助けが必要になります。宇宙では、チャウラ宇宙飛行士や、クルーゲル宇宙飛行士とか他のクルーに着るのを手伝ってもらいます。宇宙服自体の重さは約130kgになり、地上では宇宙服を装着したまま一人で歩くことはできません。
宇宙服装着(下半身) QT MOVIE [25sec:261KB]
宇宙服装着(上半身) QT MOVIE [30sec:299KB]


 

 宇宙服は各パーツ毎にサイズが取りそろえてあり、その組み合わせによって大体の人のサイズに合うようになっています。上半身については、スモール、ミディアム、ラージ、エキストララージと4種類あり、私はラージを着用しています。下半身はリラックスしていて、上半身は固定されてほとんど中で動きません。上半身が大きいと不安定になってしまいます。
 

 手袋を着けると自分の手の倍くらいの大きさになり、指を動かすのにかなりの力がいります。
 手袋が指のサイズに合ってないと指が中にすとんと落ちてしまい、ほんの10分位で指を動かすのがとても困難になり、使いものにならなくなります。ですから自分にあったサイズを見つけることが重要です。私の場合自分に合ったサイズを見つけるのに、EVA (Extravehicular Activity:船外活動、通称「宇宙遊泳」)の訓練を3回行ってやっと自分にあった手袋を見つけることができました。
 

 肘から先は自由に動かすことができますが、肩はほとんど動きません。
 指先は自分の胸の中心辺りまでしか届きません。しかし、腕を上げて肩の関節をはずすように動かすともっと奥まで届くようになります。自由自在には体を動かすことはできませんが、コツをのみ込んでしまえば、ある程度自由に動かすことができるようになります。
 

 足は前後に自由に動かすことができますが、横にはほとんど開きません。宇宙空間では歩くことができず手を使って移動するためほとんど下半身は使いません。靴の中は指先が少し動く位です。EVAの作業を行う際、ポータブル・フット・レストレイントといって、EVAの作業をやり易くするために足を固定する装置があるのですが、足を固定する時その装置に足を独自の角度に動かして入れるため、靴の中で足が遊ばないことが必要となります。
 
レバー
 体の前に操作レバーがありますが、自分からそれが見みえないので手首につけた鏡に映して操作をします。これは服の中の圧力をコントロールする非常に重要なレバーです。レバーを一番右のEVAポジションにして船外活動を行います。この状態にすると外気圧より1/3気圧高くなります。宇宙は真空ですから、宇宙空間で宇宙服内は1/3気圧になります。酸素は非常に重要なので酸素供給系はプライマリ(通常用)とセカンダリ(緊急時用)、と2系統の酸素供給系をもっていますが、このEVAポジションにするとプライマリが故障したときセカンダリが使えるようになります。
 
カバー サンバイザー
 ヘルメットは色々な機能が付いています。太陽をさえぎるカバーが前と左右にあり、金でコーディングされたサンバイザーもついています。またライトがつているため、夜も船外活動をすることが可能になります。
 

 宇宙服にはフックがついていて、自分が浮いていってしまわないようにハンドレール等にひっかけます。また、道具類は宇宙空間に置くとどこかに飛んでいってしまうので、自分の体かハンドレールにフックでつないでおきます。


Last Updated : 1997.11. 10


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