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コロンビア号事故調査委員会(CAIB)公式記者会見(仮訳)

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2003年7月12日午前0時0分(日本時間)

記者会見要旨

ハロルド・ゲーマン委員長

本委員会は現在、レポート作成に専念している。(各メンバーが)レポート作成中に、何か問題点が出てくるたび、その問題点を取り込むか否かについて皆で話し合うので、少し時間がかかっている。皆さん既にご存じかもしれないが、議会側と協議した結果、報告書は当初の目標であった8月の議会休会(congressional recess)前に完成させることができないことをお知らせする。報告書完成は8月中旬から3週目の間になるだろう。このことは、ある方面には不都合なことかもしれないが、正確な事実関係を提示することが大事であり、議会も了解してくれている。なるべく早く完成させるようにするが、おそらく完成は8月の3週目になると考えている。

調査関連の作業はほとんど終了した。断熱材の衝突実験は最後の主な調査のひとつだった。細かな点が多少残っているが、だいたい終わっている。断熱材の衝突実験についてはスコット・ハバード氏が後ほど説明する。

また、今週、実際に起きたことの詳細なタイムラインをNASA/CAIBで合意し、発表できることになった。それについては、ジェームス・ハロック氏が説明する。まずはデュアン・ディール氏から。


デュアン・ディール委員(グループ1)

事故から161日目にあたり、これまでの記者会見を振り返り、もう一度特記すべきだと思われることをいくつか述べたい。

プログラムを見直すには表面的なことだけでなく、底辺で支えている事柄にも注意を払わないと失敗する。そこで具体的には、NASA、特にケネディ宇宙センター(KSC)での品質保証プログラムを見てきた。契約についても、また、契約者のパフォーマンスそのものだけでなく、契約にどのような項目が盛り込まれたか、正しく設計されたか等を調べてきた。

この点は、ケネス・ヘス氏らが報告書に盛り込んでいるが、リスクアセスメントでは、潜在的に致死的事故につながるようなイベントは承認されない。これらイベントを識別する必要がある。

マクドナルド博士が最初の公聴会で語ったことは、「スペース・シャトルは、operationalな乗物ではなく、常に技術開発の途上にある機体」だと肝に銘じるべきだということだ。すなわち、すべての打上げは「初めての」打上げ、すべてのオービットは「初めての」オービット、すべての再突入は「初めての」再突入なのである。

次に、シャトル打上げプログラムに関する、50以上の過去の報告書の再検討、及び、勧告、そして、その勧告に対するNASAの反応について注目して欲しい。NASAは、多くの勧告を素直に受け止めてはいるが、未だに受け入れていないものもある。中には、断熱材の問題のように、注目されている問題もある。1986年にさかのぼると、25回の打上げのうち、バイポッドの断熱材による問題が起こったのは1件だけであった。92年には2件が確認されたが、その後、1999年のシャトル独立調査チームによる報告では3件が発見された。さらに、同委員会による精査の結果、4件、5件、6件、7件と、さらに多くのバイポッド断熱材の問題が、視覚出来たデータの中で確認されたが、40%は視覚データがない状態である。

最後にお見せしたい写真がある。時間がなくて見せられないが、以前、誰かが報告をしたと思われるSTS-101で高温ガスが翼前縁部の中まで貫通していたという話に関係がある。

私たちはこの件について調査を行った。100から1000ものメンテナンス記録を調査し、疑うべきことはないか確認した。フライト後に発見されたすべてのTPSの不具合についても確認した。もちろんコロンビア号のケースを重点的に調査を行っているが、他の機種の調査もした。

この作業を3月から行い、報告書ができ、特に重要な問題点は見出せなかった。NASAは飛行を再開させるためにUSA(United Space Alliance)社と適切な是正処置を行い、そして、その後何度も問題なくフライトし、重大な亀裂の問題だったとは判断されないようになったのだ。

後で、写真を見たい人がいれば見せよう。私からは以上だ。


ケネス・ヘス委員(グループ2)

グループ2は事故報告書の一部に取りかかっている。

我々は写真、電子メール、MMT(Mission Management Team:ミッションマネジメント・チーム)、マネージメントの判断、等に係る調査を終えた。現在、我々はそうした調査結果をもっと大きな流れの中でまとめているところだ。

そうすることによって公正な報告書をまとめることができる。その中で、複雑なプログラムだったことや、ほんのわずかな事柄も省くことなく判断をしなくてはならないこと、ハイリスクな技術を扱う組織として、高い信頼性が要求される組織であったこと、等を取り込んでいる。また、これらと並行して、高い信頼度を持つために設定された基準に対して、NASAのミッション安全保証にかかる活動が十分であったか評価して、結論を導きたいと考えている。

ジェームス・ハロック委員(グループ3)

他のグループのように我々も報告書の作成と編集に全力を尽くしている。

本日新たに発表する内容について述べたい。2ヶ月前にゲーマン委員長がシャトルの再突入の際に何が起こったのか短いワーキングシナリオを発表した。我々は、そこにどういった事実があったのか、何が起こったのか、それらはどのような時間経過(タイムライン)で起こったのかなどについて、皆が納得できるまで追求した。

我々のウェブサイトにアクセスしてもらえれば、文書を載せてある。文書は3つのPDFファイルに分割されている。理由は容量が17メガバイトにも及ぶので、ダウンロードしやすくするためだ。これは我々とNASA事故調査チーム(NAIT)による合同レポートである。

御存知のように、全ての調査において、我々は皆、NASAと同じデータを使って、何が起きたか共通の理解をしている。この合同レポートは我々の報告の付属書になる。理由は、合同レポートを参考にすることで、我々は基本的な事実と照らし合わせる事ができるからだ。よって我々はレポートでデータの原因と証拠の解釈に集中できる。

このワーキングシナリオは、フライトに関わる全てのフェーズの情報が含まれており、完成度が高いものとなっている。打上げ前、打上げ中、軌道上、再突入で、再突入のデータは数ヶ月前よりも多くのデータが追加された。

このレポートでは、何が起こり、何が起こらなかったのか、といった純技術的な事実のみについて触れている。ここにいる他のグループが調査していることは掲載していない。

グループの全員(私の同僚のシェイラ・ウィドナール氏、ダグラス・オシャロフ氏、ロジャー・テトラウト氏、スコット・ハバード氏)が確認し、既に発表した事実がワーキングシナリオに載っている。

ここではっきりと述べておきたいのは、それらの情報は7月8日(火)までの情報で、これからスコット・ハバード氏が話す内容は載っていないということだ。

報告にはたくさんの情報、解析、テスト結果、シミュレーションが含まれていて、それらのなかにはまだ続行中のものもある。NASAが今やっていることは解析を文書化することで、それはわれわれの報告書とその付属書に載ることだろう。

ジョン・ログズダン委員(グループ4)

グループ4では、幅広く、組織、マネジメント、政策、予算等について調査を行ってきた。その中で、予算はプログラムの中の重要な要素であると認識し、かつ我々は予算の背後にある問題として、NASAの組織文化、とりわけ、有人宇宙飛行に関する文化、価値観に着目している。それは、人々を宇宙に送り出すノウハウを持った、世界に2つしかない組織のひとつである、といった価値観や思考が組織の活動に何らかの影響を及ぼしてきたのではと考えている。

我々は、ディール氏が話したように、マネジメントの体制や、NASAの責任とUSA社によって運営される宇宙飛行計画契約に割り当てられた責任や、その他の主要なシャトル契約との間の関係に目を向けている。

マネジメントの問題では、実に約20年間にわたってプログラムに染み渡っていた不確実性(uncertainty)として、その期間のうちどれだけの間シャトルが飛行するのかということを調査している。1986年に国立宇宙委員会(National Commission on Space)の報告で、シャトル交換の必要性を訴える最初の明確な提案がなされた。

提案では、シャトルは2000年までに交換の必要があると述べていた。その後、X-33のプログラム開始後にはその期日は「2005年」に、そして1990年代の終わりまでに、その交換の期日が「2012年」、そして今は(交換の期日が)「将来、事故が起きる前のいつか」となっている。こうした不確実性が投資的戦略、すなわち、どんなインフラストラクチュアの再生に着手するのかなどの判断に影響している。

それらすべてが、我々が取り組んでいることであって、私からの最後のコメントは、調査委員会はシャトルに代わる将来的システムに関する詳細な勧告(suggestion)をすることを意図しているのではない、ということである。我々は次世代で取り組むべき内容については何らかの勧告を行うだろうが、代替デザインや、代案を見積もるつもりはない。我々の報告を待っている人たちはそれらのことを期待すべきではないと私は考えている。

最終更新日:2003年7月14日

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