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コロンビア号事故調査委員会(CAIB)断熱材衝突試験記者会見(仮訳)

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2003年6月25日午前5時15分(日本時間)

記者会見要旨

スコット・ハバード委員

これは現在も継続されている断熱材の衝撃試験の一環であり、断熱材と亀裂との関連性や、RCCパネル6への衝撃を解明することによってシナリオを推測することを目的としている。この衝撃試験によって、データを打ち出し、事故に関しておおよそ推測できる状況を把握することを目指している。

 

6月16日と6月18日に行われたファイバーグラスの試験報告を行う。先日お話したように、この試験は3つの疑問を解明するためのものである。

ひとつめに、パネルはシステムとして機能しているのか、もしくは我々は断熱材がひとつのパネルやTシールに衝突した時に起こった相互作用を分析しているのか、ということである。
これは、サンアントニオでどのように試験が行われているか説明するための新しいモデルだ。これがパネル5から10で、ここで注目しているのが、これに断熱材の一部が衝突すると翼前縁(リーディングエッジ)全体が反応するのか、もしくは亀裂を生じさせた局部的な作用を分析すればよいのか、ということである。

ふたつめの疑問は断熱材がどこに衝突したかということである。視覚的記録でもセンサー記録でもこのことは判明していない。おそらく他の委員の話ではデブリやセンサーの痕跡から亀裂はパネル8の下部に生じたのではないかということになっているが、断熱材が事故の原因となるに十分な大きさの穴をあけることが可能か否かという試験証拠はまだない。
そこで我々は断熱材の衝突事項をより掘り下げて、デブリの痕跡が示すものと関連させて調査しており、それがファイバーグラスのテストの一部である。

最後に、断熱材の一側面が衝突していたらどうなるか、ということについて。サンアントニオで私は「鋭い角度」と言ったが、それがどういうものなのかモデルで説明する。いずれにせよ断熱材のどの部分が衝突したか、角だったか一側面だったかということでパネルに与えた衝撃が違うだろうと予測していた。我々は以上のことをよく考慮し、断熱材が衝突した痕跡を明確にすることに努めている。

今回のふたつの試験によって我々は今述べた疑問を解決しようとしている。システムに関すること、断熱材がパネルの下部に衝突したらどうなるか、そして断熱材の先端でなく側面が衝突したら衝撃はどうなるか、ということなどである。

これがサンアントニオの施設で、窒素加圧ガス銃と、30フィートの砲身、色々な照明と高速カメラ、翼前縁部のパネル5-10までが見える。ここの模型だとこの部分だ。大量のデータの記録が、何百チャンネルものセンサーと、だいたい1ダースの高速カメラで行われている。

私が説明した質問の答えを得るべく2回の試験が実施された。

ひとつ目の試験(6月16日)は、最初のパネル6への試験時より3インチ下側にターゲットを設定してある。バイポッドランプから落下した物体の速度として合意されたのは775fps だが、この試験では774fpsを達成し、今のところ、全試験について誤差1%程度となっており、銃の速度、狙いともにかなり正確だ。

システムの効果を調べるために更にしたことは、パネル8にセンサーを装着したことだ。ここにあるのがパネル5、これが標的にしているパネル6、今まで反応を調べたパネル7の隣のパネル8にセンサーを装着して、このパネルの所まで衝撃が伝わるのか、それともひとつ位で衝撃は切れるのかを見た。結果については後ほどお話しする。

標準的な断熱材のサイズはこれまで通り1.67ポンドのものを使っている。

ふたつ目の試験(6月18日)は、何週か前に1回実施しているので、ファイバーグラス試験3と呼ばれているもので、16日の試験と同じものだ。ひとつだけ違う点は、この写真でわかるように、時計回りに砲身が30度傾けられていることだ。

どうなるかというと、このモデルで説明すると、砲身を30度傾けることによって、最初に角がぶつかるのではなく、11インチの面全体がパネルに当たる。分析担当者によると、この方が局地的に伝わる衝撃が大きいため、エネルギーを集中させることができ、事故でおこったような現象になると予測されている。

今度は、試験で何が起こったかをビデオでお見せする。

これは、試験2である。試験1でできた傷跡がそのまま残されている。断熱材がパネルに接触し、Tシールに衝撃を与えているのがわかる。これでデブリが発生する。次の断熱材は、パネルを掠っている。

この写真から、今回の試験が前回のものと比較してパネルにどのような損害を与えたかがわかる。この3インチ程度下がっている亀裂が前回との違いである。しかし、衝突痕(impact footprint)は、三角形である。これはパネル7~8にまで及ぶ。

この試験の特徴は、パネルとTシールの位置が0.625インチ近く離れたことである。前回の試験では0.5インチ以下だったので更なる力が加わったことになる。

断熱材がどの程度Tシールの下に詰まったかもわかる。これは、新しく発見された欠陥である。ファイバーグラスにひとつの小さな亀裂(長さ1インチ程度)がみつかった。3回目の試験では、さらに力が加わったことがわかる。

試験2のセンサー結果について。
(模型を見せながら)パネル6に衝突した結果、パネル8が非常に圧迫されていた。このことから、RCC主翼前縁部全体に衝撃が伝わったことがわかる。パネル8での応力は、60,000ポンド/平方インチ。この他、表面(face sheet)の動作が判明した。この部分が2インチ程だった。パネル6部分では1.5インチだったので、更なる力が加わっていることになる。
3回目の試験は同じ設定で、バレル(砲身)を回転させ11.5インチの側面がパネルに平らに衝突するよう設置した。局部的応力が増加し、全体的応力が減少すると予測した。
断熱材の衝突痕を拡大した映像だ。重要な点は、跡が三角形ではなく四角形であるということだ。これは、どのようにしてパネルに穴があく、またはTシールをknock outする程、大きな衝撃が起きたのかを理解するために不可欠だ。

これは内部に設置したカメラの映像である。断熱材が内部に侵入し、一瞬明るくなる。この光はパネル同士が一瞬引き離され、外の光が中に入ったためである。これは予想外であった。かなり強い衝撃であることが分かる。

結果として、四角形の跡ができること、ぶつかった衝撃でTシールが押されて断熱材が隙間にはさまったことなどの新しいデータが得られた。

予想しなかった結果としては、状況によってはRCCの2倍以上の強度を持つといわれるファイバーグラスに4つの大きな亀裂が現れたことだ。

次のスライドでは、約8インチにも及ぶ大きな亀裂が見られる。
4つのうち一番大きな亀裂は、これまでの試験では生じなかったものである。
パネル6のface sheet emotion(表面挙動)については3インチ以上であり、先ほど見て頂いた内部に設置したビデオで、これが激しく動いたことをおわかり頂けるだろう。結果として、角度の違いによる衝撃は、予想した通り、衝撃の大きさにより大きな影響を及ぼすことが実証された。

結論としては、パネル6,7,8で計測した結果、翼前縁部システムのパネルは個々のパネルではなく、1つのシステムとして作動することが分かった。測定を正しく行うには、試験には少なくとも3つのパネル、パネル8に衝突させるなら他の隣接する2パネルを使用する必要があることが判明した。RCCとファイバーグラスは全く同じ性質ではないにしても、事故原因である最初の損傷(パネル8下部)がどのように起きたのかを理解するのに有効である。最後のRCC試験はパネル8下部に、ファイバーグラス試験3と同じ設定で行うべきとの結論に至った。

次は実際のパネル8、9、10のRCCとTシールを利用した試験を行う。現在サウスウェスト研究所とNASAを加えて試験概要を検討している。
パネル8はオービタ104(アトランティス)のものを使う予定である。
6月27日(もしくは30日)にファイバーグラスの試験を再び行い、全RCCの試験は7月7日に行う予定である。

これは、タイトな日程であることがわかってもらえると思う。ただし、これはいずれもかなり重要な試験であり、この試験が事故原因の究明に大きな手助けとなってくれるものと考えている。以上で私からの報告を終わる。


最終更新日:2003年6月26日

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