このページは、過去に公開された情報のアーカイブページです。リンク切れや古い情報が含まれている可能性があります。また、現在のWebブラウザーでは⼀部が機能しない可能性があります。
 
JAXAトップページへ
 JAXAトップページへ宇宙ステーション・きぼう広報・情報センターサイトマップ
 

コロンビア号事故調査委員会(CAIB)公式記者会見(仮訳)

<< CAIB公式記者会見5月21日 | CAIB公式記者会見6月13日 >>

2003年5月29日午前0時00分(日本時間)

記者会見要旨

ハロルド・ゲーマン委員長

おはよう。いくつか短くて簡単なお知らせの後、委員会メンバーによる報告を行う。
これはヒューストンにおける最後の委員会メンバー全員による、週間記者会見になる。Lunar and Planetary Institute に、設備を使わせてもらった礼を言う。
次の記者会見は6月12日、ワシントンD.C.で行われる。これは我々がワシントンD.C.で公聴会を開くのと同じ日だ。
来週の記者会見をおこなわない理由は、来週、委員会の3分の2はワシントンD.C.への移行時期にあたるためだ。残りはヒューストンで完了作業に入り、ワシントンD.C.とここ(ヒューストン)にメンバーが分かれてしまうため記者会見はない。
もうひとつの理由は、報告書を書く時期に入りつつあるからである。報告することがあまりないのだ。ただし先週の金曜日に「(シャトルによる救出)想定シナリオ(what-if scenario)」の検討結果を説明したように、説明すべき項目があれば開かれる。

5月31日にここを閉鎖すると同時に、ホットラインなどの一般からの自発的情報の受け付けを締め切る作業を開始する。参考までに、一般からの自発的情報提供の内訳を挙げる。
合計3,150件の情報提供があり、内2,464件がウェブサイト経由で、73件がeメールで、291件が電話で、322件がファクスや手紙など書面で送られてきた。書面とeメール両方で送られてきたなど、情報の重複もある。約半分が「火星人が宇宙船を盗むのを目撃した」などの情報ではなく、「破片を見かけた」などの有益なものである。半分は分析に基づく真剣な意見であり、そのまた約半分、3,150件中778件は実際に重要性を調査した。受け取った情報のうち約25%は重要かつ貴重であり、その正誤を調査に加えるかどうかを真剣に検討した。これはとても成功したと言える。

8月の議会休止までに報告書を仕上げることを目標としている。最終締め切りではないので仕上がらなくとも問題ないが、議会休止前に仕上がると都合がよい。現在7月25日に予定されている。この締め切りに間に合うように予定を組んでいるが、報告を作成している過程で、必要な作業で報告書完成が困難と判明すればさらに時間をかける。急ぐより正確なものにしたい。

私からは以上だ。デュアン・ディール空軍准将に移る。デュアン、どうぞ。


デュアン・ディール委員(グループ1)

ゲーマン委員長が述べたとおり、私たちも報告書を作成している段階である。

私たちは今週、様々な試験の最終段階を視察した。各場所における試験は以下の通りである。
マーシャル宇宙飛行センター(MSFC) : SRB Bolt-catcher試験を実施し、その結果によって、故障の木解析から除外する。また、断熱材脱落に関するクライオポンプ現象について、真空チャンバー試験を行っている。
ライト・パターソン空軍基地 : (2日目に観測されたデブリについての)レーダ照射試験について完了した。
ミシュー工場 : 外部燃料タンク断熱材解体試験についても完了した。

サウス・ウェスト研究所では、グループ3と共同で、断熱材について新たな段階の試験を行う予定。

私たちが目を通した多くの資料や面談の結果、メンテナンス及び製作作業手順のアップデートが必要であると考えられる。特にケネディー宇宙センター(KSC)は、定期的な審査(レビュー)を行っておらず、ケース・バイ・ケースで実施している状況であった。エンジニアや管理者たちも、現状が100%十分なものではないことには同意している。

問題が発見されても現状のまま飛行を継続する(“fly-as-is”)という判断についても再検討しなければならない。彼等が、これが有人宇宙飛行に直接関わっていることを意識しているか、確認する必要がある。

ISO9000とISO9001のシステムのシャトル計画への適用についても確認する。ISOのシステムは、週何回も同じ作業のある製造業や航空業界に適用されているが、シャトル計画の技術者の業務に適用されるべきか重要視している。

過去のフライトの画像分析の結果、STS-51Fでも外部燃料タンクのフランジ部分及びインタータンク表面の断熱材脱落があったことが明らかになった。バイポッド部の断熱材脱落があった可能性も高い。そうなればコロンビア号の事故以降確認されたバイポッド部断熱材の脱落は3回となる。

ケネス・ヘス委員(グループ2)

サリー・ライド氏はNASAの飛行中のオプションについての報告をまとめている。
スティーブン・ワレス氏 は断熱材関連事象の判断プロセスに係る最終調査を行っている。
私は安全・危機管理状況及びハザード・レポートを調査し、マネージメントがどのような判断を行っているか調査している。

今までに見られた断熱材脱落は(STS-112以外は)全て飛行制約になるものとは考えられていなかった。飛行中の異常と分類されていた。

飛行準備審査会(FRR)資料を詳細に読んだところ、飛行安全問題 “safety of flight issue”と許容範囲内の危機“accepted risk”の区別が曖昧であるという点も考慮すべきである。

飛行前に行われた検査の結果がミッション実行判断の裏付けになっていない場合があったことや、NASAがいう“in-family”と“out of family”(許容範囲の定義)の曖昧さも課題として報告書に盛り込む。STS-107以外の4つのミッションについても調査を行っている。

現在は主に組織と資源、情報伝達、S&MA(Safety and Mission Assurance)がどのようにフライト準備段階に関わっているのか、シャトル安全改善プログラムを調査している。


シェイラ・ウィドナール委員(グループ3)
現在スコット・ハバード氏は断熱材衝突試験を行うための準備をしている。本日実施する予定だったが、1日遅らせることとなった。
 
第1段階は、タイル表面の平らな形状に対する試験が主であった。
第2段階は、前縁部、パネル、Tシール等、あらゆる部材を模擬し、徹底的に試験する。RCCパネルの在庫は限りがあることから実験開始当初はグラスファイバーのモデルを使用して実験を行う。現在前縁部を模した原寸大試験体を作成し、大きな断熱材の破片を時速700~800マイルで衝突させる計画である。
このスライドは、衝撃をどのように与えるかを示すものである。断熱材の回転運動については可変的要素があるため、RCCパネルのどの部分に衝突したか、ということについて影響がある。ビデオを元に回転運動による影響を解析している。RCCパネルの最後の試験で実施することになるだろう。
多くの人が関心を持っているオービタから剥離した「2日目の破片」について、これは事故後に発見されたものだが、オービタとの関係があるか解析を行っている。
脱落した破片については、そのスピードは大気圏に突入するにつれ減速している。再突入時のデータは空軍等各所のレーダーから十分に取得されており、それにより弾道解析が可能となっている。
oscillation(振動周波数)を確認した結果、破片が大気圏に再突入する際に空力学的影響により(回転する)周波数が増加していることがわかる。
そこで我々は、なぜ破片がシャトルの胴体から分離したのか、という疑問に着目し、専門家を招いて調査を進めた。米国防総省(DoD)のリンカーン研究所が解析に関わっており、破片の大きさ、形状についてさらなる解析を依頼した。レーダ情報を解析し、我々の考察結果の説明がつくデータを抽出した。

特に、解析手法としては、形状、サイズ、動きなどの点に着目して、採取できるあらゆるデータを抽出し、観察したことを説明できる様、解析している。これは、空軍やNASAの協力によるものである。

私はこの記者会見というものをよく知っている。例えば、記者会見で「おそらく原因はTシールだろう」と言うと、記者会見が終わると「やはり原因はTシールだった」 となる。だから私はそうするつもりはない。この解析の結果、候補となる破片は複数発見された。安定した挙動を持ち、かつ、回転することが可能な破片を探していたが、この結果、疑わしいとされたもののひとつに、Tシールの半分(Half T-seal)があった。この部分は、最初から特有のねじれを持っていた。というのも、前縁部に密着(フィット)させるために、もともとそのような形にしなければならなかったからである。

この表に示すように、(振動の)周波数は、(分離後の)時間の関数(f)として、ふたつの異なる大気のモデルそれぞれに適応する形で増加していくことが分かった。この分析手法が可能となったことで、他の幾つかの破片についても、同様の分析を行い、破片の特定ができると考えている。

次に、デブリ分析について(化学、物理的な損傷分析を含む)。
ジェームス・ハロックは故障の木解析をクローズしている他、NASAと協力することによりジョイントシナリオを作ることに尽力してきた結果、2週間前にハイレベルなシナリオができあがった。私たちグループ3は、その一部分(技術分析に係る部分)の立証に焦点を当てている。これは、学術的な研究(熱力学、航空動学等)に基づく、細部の統合分析である。これらの情報を基により詳細なシナリオを作成し、信憑性を確立するために解析結果及び分析結果が妥当であるか確認する必要がある。

以 上

最終更新日:2003年 5月29日

<< CAIB公式記者会見5月21日 | CAIB公式記者会見6月13日 >>
JAXAトップページへサイトポリシー