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コロンビア号事故調査委員会(CAIB)公式記者会見(仮訳)

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2003年5月21日午前3時00分(日本時間)

記者会見要旨

ハロルド・ゲーマン委員長

委員会メンバーは、先週土曜日、KSCへデブリの視察に行った。非常に印象深かった。会見で何度も強調したように、デブリは最初に想像していたよりも重要性をおびてきた。
それもテキサス中をくまなく捜索してくれた人々のおかげだ。下院議会は、デブリ回収に係った何千人ものボランティアを称える法案を可決した。
6月2日の週には委員会は徐々にワシントンへの移動を開始し、翌週には移動は完了する。ただ移動するだけだ。ヒューストンでもまだ活動は行う。ヒューストンでの残作業を完了しなければならないからだ。
6月9日に委員会はワシントンでの会議を開始する。しかしヒューストンの事務所を閉鎖するわけではない。
6月12日に公聴会を開始する。いままでどおりに数時間の公聴会を行い、その後、プレスコンファレンスで報道陣の質問に答える。


ステファン・ターコット委員(グループ1)

外部燃料タンク断熱材の解体検査は完了した。(スライドを示し)これはコロンビア号打上げに使用されていたET93の姉妹タンクであるET94の左右バイポッド部である。検査の結果、いくつもの空隙が見つかった。バイポッド部への断熱材の吹き付けはほとんど手作業で行われている。これによって断熱材が折り重なる状態(ロールオーバー)が発生し、空隙ができたと思われる。これは個人のミスではなく、作業手順そのものに問題があると私たちは考えている。現在、(断熱材形状や作業プロセスの)設計について様々な見直し案が考えられており、クローズド・シェルタイプ・フォームもひとつのオプションである。このバイポッド部断熱材が今後シャトルに搭載されることはないだろう。

次に、これらの空隙が飛行中の周囲状況に対してどのような反応を起こすかという実験を行っている(なるべく飛行中の環境に近い状態を再現する)。今週、バイポッドランプを、温度環境を変えずに真空試験を行ったところ、予想通りひびが出現した。温度変化、動圧(Q-loads)を与えた実験も別に行う。

過去の映像を見直したところ、1994年のSTS-62でもバイポッド部に問題が起きていたことが発覚した(過去70フライト中7回バイポッド部に異常が起きている)。


スティーブン・ワレス委員(グループ2)

我々のグループとターコット氏のグループは関連している。彼のグループはこの一連の事象のハードウェア面を調べている。我々はこの一連の事象の飛行準備審査会(FRR)を調べている。
これらのバイポッド部の断熱材剥離事象の歴史をみると、今回の事故の前に4件(STS-7、STS-32、STS-50、STS-112)同様の剥離が確認されていた。次の2件(STS-52とSTS-62)はSTS-107のあとに(画像を調査した結果)発覚した。これは画像の解像度による問題であった。最初の3件は飛行中の異常(In Flight Anomaly: IFA)と分類されたが、特に何か改善策がとられたわけではない。STS-112(STS-107の2つ前のフライト)は飛行中の異常として分類はされなかった。STS-113のFRRで検討されたが、STS-113では剥離事象自体が起きなかった。そしてSTS-107のFRRでは検討されなかった。IFAに分類されるか否かは、関係者間でもまちまちである。我々のグループはインタビューが主な活動であったが、現在はその活動は分析と報告作成作業に移っている。


ジェームス・ハロック委員(グループ3)

グループ3が何をしているか説明しよう。
スコット・ハバード氏は断熱材の衝突テストを行う。事前にガラス繊維(ファイバー・グラス)製のパネルにあたるとなにが起こるか計算を行う。このテストは5月28日に開始する。

試験に使用される供試体

供試体は昨日サウス・ウェスト研究所に運ばれた。(スライドを示し)ご覧になって分かる通りかなり大きい。この供試体は、約12フィートある。パネル5はファイバー・グラス製である。パネル6は、30回の飛行実績のある実物のRCCを使用しており、解決の鍵を握るひとつであると思われる。パネル8は、飛行実績がないRCCである。
5月28日のテストで何が起こったか理解した時点で、6月7日に衝突実験を行う。
素材の裏面に、歪みゲージ付きのボルトやスパナ・ビームや骨組み材も艤装して大がかりなテストを行う。これは、断熱材が衝突した際に取付金具がどのような反応をするか知るためである。

シェイラ・ウィドナール氏は空熱力問題(aero-thermal story)を調査している。今までの調査から何が解明され、今後何を解析してかなければいけないか、そして近々何ができるか検討している。

ダグラス・オシャロフ氏は材質的・化学的分析により、RCC内とタイルのスラグを見ている。RCCパネル8の裏側のX線をとってみて、球形状のものがいくつか発見された。これを解析したらインコネルだと判明した。

これがなぜ重要か、ロジャー・テトラウト氏と共に行っている調査で説明しよう。この球形状のものが見つかったのはRCCパネル8の裏のみである。化学的分析と同時にスラグの沈着パターンを理解しようとしている。RCCパネル8の化学的分析とスラグだけを見てみると、RCCパネル8の下部、RCCパネル7の近くに亀裂(breach)があった可能性を示している。スラグの裏に付着した物質の層を見ていると、最下層にはインコネルが含まれる。インコネルはスパナ・ビームや取付金具(fitting)や金属泊の断熱材に含まれている。亀裂が起こったとき、取付金具(fitting)が衝突した。向かって左側に亀裂があったと言っているのは、(RCCパネル8の裏の)右側の部材(hardware)は全てステンレス製の金属で出来ていて、RCCパネル8の裏のスラグにステンレス製の金属は見つかっていないからである。これにより、どの方向から衝突したかが多少分かる。高温ガスが(左側の)亀裂からまっすぐ侵入し、(インコネルを含む)部材を燃やし、そして、アルミ製の桁を溶かし始めたと考えることができる。そして、インコネルは約3200°Fで溶けるため、相当高温であったことが分かる。物的証拠からこの亀裂が最初からあったのか、後から起こったのか依然として解明中である。

私は、ふたつの課題に取り組んでいる。まず故障の木解析(FTA)を引き続き調査している。事故に繋がった可能性のある全ての故障メカニズムを見ている。全てのグループにインタビューを行っており、続く数週間のうちに委員会に発表できると思う。これは固体ロケットブースター(SRB)、外部タンクを含む。

あとは仮説を主に見ている。テレメトリデータ、データレコーダのデータ解析、デブリ分析、風洞試験結果等から導かれるシナリオを基に、最終的に今回のフライトで何が起こったかを解析しようとしている。


ジョン・ログズダン委員(グループ4)

当グループの調査は、我々(調査委員会)の報告に基づき、より広範な政策を議論することになる議会からの要請で進めている。我々は事故だけに目を向けているわけではなく、STS-107運用時のシャトル計画に関する組織・管理・政策・予算の状況などの広範な分野を見ている。
私はこのグループの唯一のメンバーであるが、外部からの支援をお願いしている。NASAに関する広い知識を持った理想的な人々で構成される。そのメンバーとは、以前NASAのチーフ・ヒストリアンを務め、現在は国立宇宙博物館における宇宙史部長であるロジャー・ラウヌアス、アメリカン大学行政部門長であるハワード・マッカーディ(彼は”Inside NASA”と”Faster, Better and Cheaper”という本の著者である)、シラキュース大学のハリー・ランブライト(NASAの長官であったジェームズ・ウェブやゴールディン氏についての研究論文を書いている)である。NASAを組織として理解しており、我々はNASAが国際的な優先順位にどれだけ対応するのかという点に焦点を当てている。
我々はそれほど多くのインタビューを行っているわけではないし、無駄になるほど資料を多く持っているわけではない。我々が行っているのはたくさんの文献調査である。それは力量のある歴史家にとってはきわめて楽しい作業であり、プログラムが展開していく過程を追っていく一次資料を探し出すという作業だ。我々は、証拠の基礎となる、そのような作業を行っているのだ。
今発表することはできないが、明日の委員会に対して最初に行うプレゼンテーションで取り上げる話題のひとつは、NASAという組織やシャトル計画での過去10年のマネジメントにおける変化(あるいは「マネジメントの混乱」)の影響といったものである。1996年にNASA本部(HQ)からJSCへ、そして2002年にまたHQへ、というシャトル計画本部の移動の話である。シャトルに関する予算において、過去10年で購買力が40%低下したが、それは計画にとっての潜在的な影響となる。シャトル計画の監督機関としてのNASAの役割責任の民間への移管、安全面や運用能力のアップグレードへの投資の決定に係る意思疎通の問題を調査したものである。労働力は削減された。関心を持っているのは、ワシントンDC内における動き(NASA本部と議会)である。

以 上

最終更新日:2003年 5月22日

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