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コロンビア号事故調査委員会(CAIB)公式記者会見(仮訳) |
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2003年5月21日午前3時00分(日本時間) 記者会見要旨
委員会メンバーは、先週土曜日、KSCへデブリの視察に行った。非常に印象深かった。会見で何度も強調したように、デブリは最初に想像していたよりも重要性をおびてきた。
外部燃料タンク断熱材の解体検査は完了した。(スライドを示し)これはコロンビア号打上げに使用されていたET93の姉妹タンクであるET94の左右バイポッド部である。検査の結果、いくつもの空隙が見つかった。バイポッド部への断熱材の吹き付けはほとんど手作業で行われている。これによって断熱材が折り重なる状態(ロールオーバー)が発生し、空隙ができたと思われる。これは個人のミスではなく、作業手順そのものに問題があると私たちは考えている。現在、(断熱材形状や作業プロセスの)設計について様々な見直し案が考えられており、クローズド・シェルタイプ・フォームもひとつのオプションである。このバイポッド部断熱材が今後シャトルに搭載されることはないだろう。 次に、これらの空隙が飛行中の周囲状況に対してどのような反応を起こすかという実験を行っている(なるべく飛行中の環境に近い状態を再現する)。今週、バイポッドランプを、温度環境を変えずに真空試験を行ったところ、予想通りひびが出現した。温度変化、動圧(Q-loads)を与えた実験も別に行う。 過去の映像を見直したところ、1994年のSTS-62でもバイポッド部に問題が起きていたことが発覚した(過去70フライト中7回バイポッド部に異常が起きている)。
我々のグループとターコット氏のグループは関連している。彼のグループはこの一連の事象のハードウェア面を調べている。我々はこの一連の事象の飛行準備審査会(FRR)を調べている。
グループ3が何をしているか説明しよう。
供試体は昨日サウス・ウェスト研究所に運ばれた。(スライドを示し)ご覧になって分かる通りかなり大きい。この供試体は、約12フィートある。パネル5はファイバー・グラス製である。パネル6は、30回の飛行実績のある実物のRCCを使用しており、解決の鍵を握るひとつであると思われる。パネル8は、飛行実績がないRCCである。 シェイラ・ウィドナール氏は空熱力問題(aero-thermal story)を調査している。今までの調査から何が解明され、今後何を解析してかなければいけないか、そして近々何ができるか検討している。 ダグラス・オシャロフ氏は材質的・化学的分析により、RCC内とタイルのスラグを見ている。RCCパネル8の裏側のX線をとってみて、球形状のものがいくつか発見された。これを解析したらインコネルだと判明した。 これがなぜ重要か、ロジャー・テトラウト氏と共に行っている調査で説明しよう。この球形状のものが見つかったのはRCCパネル8の裏のみである。化学的分析と同時にスラグの沈着パターンを理解しようとしている。RCCパネル8の化学的分析とスラグだけを見てみると、RCCパネル8の下部、RCCパネル7の近くに亀裂(breach)があった可能性を示している。スラグの裏に付着した物質の層を見ていると、最下層にはインコネルが含まれる。インコネルはスパナ・ビームや取付金具(fitting)や金属泊の断熱材に含まれている。亀裂が起こったとき、取付金具(fitting)が衝突した。向かって左側に亀裂があったと言っているのは、(RCCパネル8の裏の)右側の部材(hardware)は全てステンレス製の金属で出来ていて、RCCパネル8の裏のスラグにステンレス製の金属は見つかっていないからである。これにより、どの方向から衝突したかが多少分かる。高温ガスが(左側の)亀裂からまっすぐ侵入し、(インコネルを含む)部材を燃やし、そして、アルミ製の桁を溶かし始めたと考えることができる。そして、インコネルは約3200°Fで溶けるため、相当高温であったことが分かる。物的証拠からこの亀裂が最初からあったのか、後から起こったのか依然として解明中である。 私は、ふたつの課題に取り組んでいる。まず故障の木解析(FTA)を引き続き調査している。事故に繋がった可能性のある全ての故障メカニズムを見ている。全てのグループにインタビューを行っており、続く数週間のうちに委員会に発表できると思う。これは固体ロケットブースター(SRB)、外部タンクを含む。 あとは仮説を主に見ている。テレメトリデータ、データレコーダのデータ解析、デブリ分析、風洞試験結果等から導かれるシナリオを基に、最終的に今回のフライトで何が起こったかを解析しようとしている。
当グループの調査は、我々(調査委員会)の報告に基づき、より広範な政策を議論することになる議会からの要請で進めている。我々は事故だけに目を向けているわけではなく、STS-107運用時のシャトル計画に関する組織・管理・政策・予算の状況などの広範な分野を見ている。 以 上 |
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最終更新日:2003年 5月22日 | |||||||||||||||||
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