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コロンビア号事故調査委員会(CAIB)公式記者会見(仮訳)

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2003年4月2日午前4時00分(日本時間)

記者会見要旨

ハロルド・ゲーマン委員長

今週は調査にとって実りの多い1週間だった。私たちは基本的に3つの方向で調査を進めている。ひとつめは直接的な事故の原因である。そのために6つの分野(熱解析、空気力解析、デブリの復元と分析、OEXレコーダとテレメトリを元にしたタイムライン、写真・映像分析、整備・改良記録調査)での技術評価を行っている。直接的な原因を解明できない場合は、この6つの分析を総合した結論を試みる。ふたつめはあらゆる事故誘発要因(予算案、管理体制、様々な委員会、シャトルの老朽化、E-メールなど)である。3つめはこの事故の宇宙開発計画との関連性(予算の組み方、優先順位の変更、労働者の体制など)である。報告書にはこれらを含んでいる。

 

スティーブン・ワレス委員(グループ2)

先ほどゲーマン委員長が示した3つの方向性の中で、私たちは第2の面でスペースシャトルの事故原因の解明にあたっている。現在行っている作業に関して説明していく。

ケネス・ヘス氏は今週MSFC(マーシャル宇宙飛行センター)で外部タンクに係るMSFCの役割の調査として、過去のフライトや飛行準備審査会(FRR)での断熱材問題に係るMSFCの判断に関して面談を行う予定だ。

サリー・ライド教授はCAIBの委員として招集される前の仕事をかたづけるため、今週はCAIBに関する作業をおこなわない。ここ数週間にわたって彼女と仕事をしてきたが、彼女は判断プロセスにおけるNASA内のコミュニケーションに関して非常に効果的な成果をあげている。

断熱材に関して少々話をする。現在、断熱材検査(Foam Audit)と呼ばれる作業に取り組んでいる。断熱材検査の作業は、過去のシャトル・プログラムを通じて、剥がれ落ちたあらゆる断熱材の調査であり、特にSTS-112ミッションで確認されたバイポッドランプの断熱材の問題を詳しく調査した。断熱材が事故原因にどのように関係したか否かについてはまだ結論に至っていないが、ロジャー・テトラウト氏(グループ3)は近々複数の実験を行い、断熱材がどのような影響をTPSシステムにおよぼしたのかについて取り組む予定だ。

他には国防総省(DoD)への画像取得依頼の件や、Eメールに関しての調査をおこなった。話の詳細に入る前に理解して欲しいのだが、E-メールは重要ではあるが、E-メールの情報は複雑な構図の一部でしかない。現在までにCAIBが実施している面談は100を超えており、この他にも会議の議事録、各種ログ、テープ記録があり、ロジャー・テトラウト氏が担当したセンサーの検証と同様に重要だと個人的には思っている。

第4グループ(Organization and Policy)はジョージ ワシントン大学のジョン・ログズダン氏が率いており、主な作業は人員配置、予算、組織体制の問題をこの事故に結びつけることにある。

STS-107ミッションの訓練そしてペイロードに係るFTAの検証はほぼ終了したと考えており、特に事故原因につながる問題はなかったと考えている。十分な検討を行ったうえで事故要因の可能性から排除していきたいと考えている。

プログラム・レベルそしてNASA本部は、スペースシャトルの飛行再開問題に取り組んでおり、我々もNASAと同じ路線でこの問題に取り組む予定だ。

 

ジョン・バリー委員(グループ1)

ステファン・ターコットはラングレー研究所に、デュアン・ディールと私は今週、JSCにいる予定だ。サブグループのメンバーがKSCとMSFCに向かい、メンテナンス、マネージメントに係る人的要因、マテリアルと構造に関する情報のアップデートを行う予定だ。

まず、手短にメンテナンス面から話していく。今週の金曜日に、SSME(Space Shuttle Main Engine)に係る故障の木解析(FTA)結果について、ブリーフィングを受ける。固体ロケットブースター(Solid Rocket Booster:SRB)とRSRM(Reusable Solid Rocket Motor)のブリーフィングも、来週受ける予定だ。

もうひとつの点は、マネージメントの人的要因だ。パームデール空軍基地の技術者の動きとハンチングトンビーチでの技術者の動きに関し、数々の面談を行う。

本日のアップデート情報は、主に断熱材、RCCパネルの老朽化、そして2日目に発生したデブリについてである。

Follow the Foam

(スライド:Follow the Foam)
ディール空軍少尉が断熱材の担当である。これはバイポッドの右側を切開した写真で、左側についても同様に切開を始めた。

External Tank Foam

(スライド:External Tank Foam)
赤でバイポッドの位置を示している。外部タンクに設置された、複数種の断熱材使用箇所もわかる。

Bipod Ramp Air Flow

(スライド:Bipod Ramp Air Flow)
空力負荷を表現している。正確な時間を計測したところ、約81秒だった。マッハ2.46はバイポッドの断熱材が左側から剥離した時点の数値だ。これらの数値の正確性を高めていく。

Vortex Pressures

(スライド:Vortex Pressures)
カラーで負荷を表したものだ。ボルテックス圧力の交わる衝撃がいくつかあるのがわかる。内側から外側へ圧力がかかっているのもわかる。まだバイポッドの構造がこれらの負荷に十分に耐えられるかどうかはわかっていない。クライオポンピングも負荷以外の原因のひとつとして続けて調べていく。

STS-07

(スライド:)
83年のチャレンジャー号の実際の写真で、なにが起こったかを説明するものだ。

STS-32

(スライド:)
同じもので90年の写真だ。

STS-50

(スライド:)
同じもので92年の写真で、大きくなっている。

STS-112

(スライド:)
最初のものから10年後の写真。

Liquid Nitrogen and Cryo pumping

(スライド:Liquid Nitrogen and Cryo pumping)
クライオポンピング問題を検討している。外部タンクの内部にパージ用のガスを注入する際、クライオポンプ現象が起こっていると考えている。液化した窒素ガスが、断熱材や空洞(void)を侵食していく。クライオポンピングは冷たい液体から暖かいガスになるフラッシュ気化現象だ。そしてなんらかの通気の通り道を探す必要がある。

空洞及び接着剥離 全体の切開結果 ET120の右側部分の空洞
空洞を拡大 右側に14、左側に18の空洞 Region 6A

これはRegion 6Aの写真である。ここでは、空洞及び接着剥離(debonding)がみられる。次のスライドは全体の切開結果を表したもので、空洞が見える。
次のスライドでは、空洞がET120の右側部分(pod)に見えるのが分かる。ET94についても同様で、現在より精度の高い検査を行えるよう尽力している最中だ。ET94はSTS-107で使用されたET93と全く同じものである。
次は、Region 6Aの空洞を拡大したものである。ここでは、液体が次第に気化し、蒸発していく可能性がある。
次のスライドでは、右側に14、左側に18の空洞が見られる。

RCCのピンホール RCCのピンホール
射点設備 RCCのピンホール

(RCC老朽化について)
次のスライドは、RCC製主翼前縁部パネルに見られた小さな穴(ピンホール)のスライドである。もしピンホールが0.04インチ以上であれば許容範囲を超えていることになる。これらピンホール発生について考えられるシナリオのひとつは、何かがRCC(主翼前縁部パネル)に衝突したというものである。なお、これらピンホールはOV-102上で1992年に初めて発見された(12/1992)。1つのRCCパネルに20~40のピンホールが見つかっている。
ピンホールの原因については酸化した亜鉛によるものであると考えられる。酸化亜鉛発生の原因は、射点設備(Launch Pad)塗料片にあると思われる。

リーディングエッジロアーアクセスパネル リーディングエッジロアーアクセスパネル
リーディングエッジロアーアクセスパネル  

最後に、2日目に観測されたデブリ(Day 2 debris)について説明する。シャトルが水平飛行し、その後右傾したときに何かが生じ、2日目のデブリを生じさせたと推測している。パターソン空軍基地で行った3100に及ぶ精密な観察の結果、29種の素材が候補として挙げられたが、全てについて実験を行った結果、キャリアパネルが最も可能性の高い候補であると考えている。この調査にあたっては、海軍内等にある様々なグループが極めて良質のデータベースを提供してくれた。また、空軍のリサーチ・ラボでも実験を行った。
サーマルブランケットについても調査を行ったが、翼損傷部分や質量比(mass ratio)を考慮すると、主要な原因とは考えにくい。そこで、当面はキャリアパネルに特に着目しつつ、調査を進めている。

 

ロジャー・テトラウト委員(グループ3)

シェイラ・ウィドナール氏は昨日ラングレー研究所で風洞実験を視察した。ジェームス・ハロック氏はKSCでデブリ解析に参加中である。スコット・ハバード氏はサウス・ウェスト・リサーチ・プラントで実施している調査に加わっている。ダグラス・オシャロフ氏はデブリの化学解析を行っており、異なる高度によって起きる現象について解析を行っていく。私は前縁部関連とKSCのデブリ管理を担当している。

今日は4つの報告がある。OEXレコーダと古いテレメトリのデータ・ラインを含む飛行記録、写真分析、オービタ飛行異常とその意味、新しいデブリとオービタ異常の関連性についてだ。

OEX

まずOEXについて説明だが、非常に良好な状態で回収された。このOEXには2種類のデータが記録されている:①PCM(Pulse Code Modulation)は低周波データで、通常圧力、温度、負荷を記録する。
②FDM(Frequency Division Multi-plex)は荷重・負荷、構造物、垂直安定板、速度の急変、耐熱シールド、メインエンジンの振動に関するデータを記録する。

OEXには上昇時及び再突入時のデータが記録されている。OEXは打上げ15分前に起動され、メインエンジン停止6分後までのデータが記録される。再突入の際にはエントリーインターフェース(Entry Interface:EI)10分前よりOEXは起動され、テープの終わりまで記録が行われる。

OEXには721のセンサーデータが記録されていて、現在NASAで100名程の人間がデータ抽出の作業を行っている。まだ分析は予備段階だが、721のデータのうち、現在までに420の有力なセンサーデータ(全てPCM)が回収された。50のセンサーデータは、接続されていなかったなど様々な理由のため、有力なデータは回収できなかった。150のセンサーデータ(第3PCM)のデータ(strain gauge)であるが、同期(synchronization)に問題があり、週末に読みとることができなかったが、昨日そのデータも回収することができた。最後の約100のセンサーデータについてだがこれらはFDMのものであり、現時点では解読されていない。これらについては解読のためにボーイングとカルフォルニアに送信する。

現時点でセンサーから得られた結果を報告する。先週スコット・ハバード氏がL+82秒以降の機体の異常は観測できないだろうと発言した通り、スペースシャトル打上げ時に特に異常な観測は確認されなかった。スペースシャトル再突入時に得られたFDMデータは、世界標準時(GMT)14時00分19.4秒まで記録している。簡単に説明すると今まで確認されていたテレメトリデータより、さらに15秒長くデータが回収できたと理解して欲しい。また、未確認の25秒間のデータも回収できた。PCMデータは14時00分13.4秒(GMT)で到達したと記録されており、前回のデータより9秒間長くデータの観測が記されていた。この結果から得られる情報はスペースシャトル胴体に搭載されていたOEXレコーダはこの時点でまだ電力が供給されている状態、つまりスペースシャトル胴体にはまだ激しい損傷が無かったと推測できる。

OEX

次のスライドで4つのセンサーに関しての説明を行いたい。ひとつはこの図で確認できないが軌道制御システム(Orbital Maneuvering System:OMS)ポッドに設置されており、残りの3つは左翼に搭載されている。3つの中のセンサーの内ふたつは温度センサーだ。9910は左翼桁の前方(RCCパネルの裏側)そして9895は左翼桁の後方に位置している。次にセンサーがどのようにタイムラインの初期段階に影響を与えるのかを説明したい。

最初に説明したい引張荷重センサー(G 9921)はこの図にはのっていないが、位置としてはRCCパネル9の背後に搭載されている。センサー(G 9921)は13:48:39(EI+270秒)GMTに異常を観測した。当初に得られた観測結果より206秒早い時間で異常が確認される。この観測結果はタイムラインでヨー軸の動き(EI+476秒)が始まった時間と同じだ。

ふたつめのセンサー(9910)は翼桁前方、締め付けボルト部でT-seal No.10側に取り付けられており、13:48:59(EI+270秒)の時点で異常な観測が得られた。
EI492秒(13時52分19秒)で信号途絶状態になり、50度と表示した。これはワイヤーが切れたことによって起きたと思われる。

3つめのセンサー(温度センサー9220)はOMSポッド前縁部のTPS表面に位置していた。13:49:53GMT(EI+344秒)で異常な温度下降(off temp low)が始まり、540秒までその状態が継続し、次に、通常は大体600度のところを1,200度まで上昇した。温度下降は質量流量の変化に伴ったもの、上昇は何らかの燃焼によって起きたものと考えられる。

4つめのセンサー(9895)はRCC第9パネルのスパー後方に位置していた(翼表面の中央部)。13:51:14(EI+425秒)からEI+520秒まで温度が低下し、最高温度は450度だった。

この温度異常は、これまでに作成されたタイムラインで記した最初の異常よりも63秒早い時点で起きている。イベント2に関しては、センサーD(主脚メインギアブレーキライン温度センサーD)の温度異常記録よりも188秒早い。実際センサーDが異常を記録したのはもっと後だという見方が有力であるため、この時間の差は広まるだろう。

NASAが行ったこのセンサーDに関する研究では、少なくとも15のフライトでEI+500秒以前にビットフリップ(1ビット分の温度上昇)が起こり、11のフライトでは今回のフライトの例よりも以前に起きたという結果がでている。

データの簡単な概要をみてもらう。検討や調査なしのセンサーの観測をつたえる。

左翼にある約15のセンサーが13:52:24にすべてオフスケールロー(信号途絶状態)になった。場所でいえばカリフォルニアの西側だ。NASAは左翼の17個のセンサーすべてに他フライトと比較し温度上昇の傾向を発見した。この温度上昇傾向は(オフノミナル傾向ではなく温度上昇傾向のみで)EI+80秒で起こる。フライトの早い時期で発生している。

Projection of Debris Trajectory Onto Left Wing

(スライド:Projection of Debris Trajectory Onto Left Wing)
スコット・ハバードがこのスライドを先週見せたと思う。この写真分析の最新情報を伝える。NIMA(National Imaging & Mapping Agency)がすべての写真を1フレーム、50MBでデジタル化した。これらのデータからいくつかの結論に結びついた。重要なのはデブリの大きさが24±3インチ×15±3インチ×5±1であることだ。これは計算すると2ポンドの重さのデブリになる。24インチと15インチは測定した数値で、5インチは軌跡(弾道)(trajectory)データと、その軌跡(弾道)を描くために推測した重量、そして640ft/secの速度から計算された数値である。ひとつ以上の衝撃の痕跡はない。衝撃の範囲はRCCパネルの5番と7番で、翼の上部ではデブリはみつかっていない。以前紹介したデブリ接触の前後を表す写真(16フレームと17フレーム)ではタイルに損傷が無いことを示している。今回30フレームで行って、同じくタイルに損傷は見つかっていない。したがって、この衝撃の範囲は断定できない。

Aero Torques Build over Time

(スライド:Aero Torques Build over Time)
異常なエアロモーメントを表している。これはシェイラ・ウィドナール教授が軌跡(弾道)であると観測した矢印と合致させることを目的に製作したものだ。まだ解明できていない左翼の揚力(lift)の低下と増加を表している。これを説明するのに苦労している。公聴会でNASAが伝えたところによると、風洞実験によって車輪格納庫の扉が開いているか車輪がおりていること、アルミニウムの燃焼、RCCパネル下部の損失、車輪格納庫からの噴流(ジェットフロー)、そして尾翼にあったなんらかのフローの可能性が考えられる。

Debris Evidence: Theory Likely to be Eliminated

(スライド:Debris Evidence: Theory Likely to be Eliminated)
" Left main gear deployed early, creating aero moments":"早い時期に作動した左メインギアがエアロモーメントを作り出した"(という可能性)、これは除外できる。車輪の支柱にクロミウムプレートがついているのがみえる。分解のあとに両方の支柱が同じように腐食しているはずであるが、そうではなかった。これから推測できるのは車輪格納庫の扉は閉まっており、(したがって扉はそこに存在していて、)そして車輪はおりていなかったということだ。したがってこれらはエアロモーメントの原因ではないといえる。

 

 

最終更新日:2003年 4月 3日

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