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コロンビア号事故調査委員会(CAIB)公式記者会見(仮訳) |
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記者会見要旨
今週は調査にとって実りの多い1週間だった。私たちは基本的に3つの方向で調査を進めている。ひとつめは直接的な事故の原因である。そのために6つの分野(熱解析、空気力解析、デブリの復元と分析、OEXレコーダとテレメトリを元にしたタイムライン、写真・映像分析、整備・改良記録調査)での技術評価を行っている。直接的な原因を解明できない場合は、この6つの分析を総合した結論を試みる。ふたつめはあらゆる事故誘発要因(予算案、管理体制、様々な委員会、シャトルの老朽化、E-メールなど)である。3つめはこの事故の宇宙開発計画との関連性(予算の組み方、優先順位の変更、労働者の体制など)である。報告書にはこれらを含んでいる。
先ほどゲーマン委員長が示した3つの方向性の中で、私たちは第2の面でスペースシャトルの事故原因の解明にあたっている。現在行っている作業に関して説明していく。 ケネス・ヘス氏は今週MSFC(マーシャル宇宙飛行センター)で外部タンクに係るMSFCの役割の調査として、過去のフライトや飛行準備審査会(FRR)での断熱材問題に係るMSFCの判断に関して面談を行う予定だ。 サリー・ライド教授はCAIBの委員として招集される前の仕事をかたづけるため、今週はCAIBに関する作業をおこなわない。ここ数週間にわたって彼女と仕事をしてきたが、彼女は判断プロセスにおけるNASA内のコミュニケーションに関して非常に効果的な成果をあげている。 断熱材に関して少々話をする。現在、断熱材検査(Foam Audit)と呼ばれる作業に取り組んでいる。断熱材検査の作業は、過去のシャトル・プログラムを通じて、剥がれ落ちたあらゆる断熱材の調査であり、特にSTS-112ミッションで確認されたバイポッドランプの断熱材の問題を詳しく調査した。断熱材が事故原因にどのように関係したか否かについてはまだ結論に至っていないが、ロジャー・テトラウト氏(グループ3)は近々複数の実験を行い、断熱材がどのような影響をTPSシステムにおよぼしたのかについて取り組む予定だ。 他には国防総省(DoD)への画像取得依頼の件や、Eメールに関しての調査をおこなった。話の詳細に入る前に理解して欲しいのだが、E-メールは重要ではあるが、E-メールの情報は複雑な構図の一部でしかない。現在までにCAIBが実施している面談は100を超えており、この他にも会議の議事録、各種ログ、テープ記録があり、ロジャー・テトラウト氏が担当したセンサーの検証と同様に重要だと個人的には思っている。 第4グループ(Organization and Policy)はジョージ ワシントン大学のジョン・ログズダン氏が率いており、主な作業は人員配置、予算、組織体制の問題をこの事故に結びつけることにある。 STS-107ミッションの訓練そしてペイロードに係るFTAの検証はほぼ終了したと考えており、特に事故原因につながる問題はなかったと考えている。十分な検討を行ったうえで事故要因の可能性から排除していきたいと考えている。 プログラム・レベルそしてNASA本部は、スペースシャトルの飛行再開問題に取り組んでおり、我々もNASAと同じ路線でこの問題に取り組む予定だ。
ステファン・ターコットはラングレー研究所に、デュアン・ディールと私は今週、JSCにいる予定だ。サブグループのメンバーがKSCとMSFCに向かい、メンテナンス、マネージメントに係る人的要因、マテリアルと構造に関する情報のアップデートを行う予定だ。 まず、手短にメンテナンス面から話していく。今週の金曜日に、SSME(Space Shuttle Main Engine)に係る故障の木解析(FTA)結果について、ブリーフィングを受ける。固体ロケットブースター(Solid Rocket Booster:SRB)とRSRM(Reusable Solid Rocket Motor)のブリーフィングも、来週受ける予定だ。 もうひとつの点は、マネージメントの人的要因だ。パームデール空軍基地の技術者の動きとハンチングトンビーチでの技術者の動きに関し、数々の面談を行う。 本日のアップデート情報は、主に断熱材、RCCパネルの老朽化、そして2日目に発生したデブリについてである。 (スライド:Follow the Foam) (スライド:External Tank Foam) (スライド:Bipod Ramp Air Flow) (スライド:Vortex Pressures) (スライド:) (スライド:) (スライド:) (スライド:) (スライド:Liquid Nitrogen and Cryo pumping) これはRegion 6Aの写真である。ここでは、空洞及び接着剥離(debonding)がみられる。次のスライドは全体の切開結果を表したもので、空洞が見える。 (RCC老朽化について) 最後に、2日目に観測されたデブリ(Day 2 debris)について説明する。シャトルが水平飛行し、その後右傾したときに何かが生じ、2日目のデブリを生じさせたと推測している。パターソン空軍基地で行った3100に及ぶ精密な観察の結果、29種の素材が候補として挙げられたが、全てについて実験を行った結果、キャリアパネルが最も可能性の高い候補であると考えている。この調査にあたっては、海軍内等にある様々なグループが極めて良質のデータベースを提供してくれた。また、空軍のリサーチ・ラボでも実験を行った。
シェイラ・ウィドナール氏は昨日ラングレー研究所で風洞実験を視察した。ジェームス・ハロック氏はKSCでデブリ解析に参加中である。スコット・ハバード氏はサウス・ウェスト・リサーチ・プラントで実施している調査に加わっている。ダグラス・オシャロフ氏はデブリの化学解析を行っており、異なる高度によって起きる現象について解析を行っていく。私は前縁部関連とKSCのデブリ管理を担当している。 今日は4つの報告がある。OEXレコーダと古いテレメトリのデータ・ラインを含む飛行記録、写真分析、オービタ飛行異常とその意味、新しいデブリとオービタ異常の関連性についてだ。 まずOEXについて説明だが、非常に良好な状態で回収された。このOEXには2種類のデータが記録されている:①PCM(Pulse Code
Modulation)は低周波データで、通常圧力、温度、負荷を記録する。 OEXには上昇時及び再突入時のデータが記録されている。OEXは打上げ15分前に起動され、メインエンジン停止6分後までのデータが記録される。再突入の際にはエントリーインターフェース(Entry Interface:EI)10分前よりOEXは起動され、テープの終わりまで記録が行われる。 OEXには721のセンサーデータが記録されていて、現在NASAで100名程の人間がデータ抽出の作業を行っている。まだ分析は予備段階だが、721のデータのうち、現在までに420の有力なセンサーデータ(全てPCM)が回収された。50のセンサーデータは、接続されていなかったなど様々な理由のため、有力なデータは回収できなかった。150のセンサーデータ(第3PCM)のデータ(strain gauge)であるが、同期(synchronization)に問題があり、週末に読みとることができなかったが、昨日そのデータも回収することができた。最後の約100のセンサーデータについてだがこれらはFDMのものであり、現時点では解読されていない。これらについては解読のためにボーイングとカルフォルニアに送信する。 現時点でセンサーから得られた結果を報告する。先週スコット・ハバード氏がL+82秒以降の機体の異常は観測できないだろうと発言した通り、スペースシャトル打上げ時に特に異常な観測は確認されなかった。スペースシャトル再突入時に得られたFDMデータは、世界標準時(GMT)14時00分19.4秒まで記録している。簡単に説明すると今まで確認されていたテレメトリデータより、さらに15秒長くデータが回収できたと理解して欲しい。また、未確認の25秒間のデータも回収できた。PCMデータは14時00分13.4秒(GMT)で到達したと記録されており、前回のデータより9秒間長くデータの観測が記されていた。この結果から得られる情報はスペースシャトル胴体に搭載されていたOEXレコーダはこの時点でまだ電力が供給されている状態、つまりスペースシャトル胴体にはまだ激しい損傷が無かったと推測できる。 次のスライドで4つのセンサーに関しての説明を行いたい。ひとつはこの図で確認できないが軌道制御システム(Orbital Maneuvering System:OMS)ポッドに設置されており、残りの3つは左翼に搭載されている。3つの中のセンサーの内ふたつは温度センサーだ。9910は左翼桁の前方(RCCパネルの裏側)そして9895は左翼桁の後方に位置している。次にセンサーがどのようにタイムラインの初期段階に影響を与えるのかを説明したい。 最初に説明したい引張荷重センサー(G 9921)はこの図にはのっていないが、位置としてはRCCパネル9の背後に搭載されている。センサー(G 9921)は13:48:39(EI+270秒)GMTに異常を観測した。当初に得られた観測結果より206秒早い時間で異常が確認される。この観測結果はタイムラインでヨー軸の動き(EI+476秒)が始まった時間と同じだ。 ふたつめのセンサー(9910)は翼桁前方、締め付けボルト部でT-seal No.10側に取り付けられており、13:48:59(EI+270秒)の時点で異常な観測が得られた。 3つめのセンサー(温度センサー9220)はOMSポッド前縁部のTPS表面に位置していた。13:49:53GMT(EI+344秒)で異常な温度下降(off temp low)が始まり、540秒までその状態が継続し、次に、通常は大体600度のところを1,200度まで上昇した。温度下降は質量流量の変化に伴ったもの、上昇は何らかの燃焼によって起きたものと考えられる。 4つめのセンサー(9895)はRCC第9パネルのスパー後方に位置していた(翼表面の中央部)。13:51:14(EI+425秒)からEI+520秒まで温度が低下し、最高温度は450度だった。 この温度異常は、これまでに作成されたタイムラインで記した最初の異常よりも63秒早い時点で起きている。イベント2に関しては、センサーD(主脚メインギアブレーキライン温度センサーD)の温度異常記録よりも188秒早い。実際センサーDが異常を記録したのはもっと後だという見方が有力であるため、この時間の差は広まるだろう。 NASAが行ったこのセンサーDに関する研究では、少なくとも15のフライトでEI+500秒以前にビットフリップ(1ビット分の温度上昇)が起こり、11のフライトでは今回のフライトの例よりも以前に起きたという結果がでている。 データの簡単な概要をみてもらう。検討や調査なしのセンサーの観測をつたえる。 左翼にある約15のセンサーが13:52:24にすべてオフスケールロー(信号途絶状態)になった。場所でいえばカリフォルニアの西側だ。NASAは左翼の17個のセンサーすべてに他フライトと比較し温度上昇の傾向を発見した。この温度上昇傾向は(オフノミナル傾向ではなく温度上昇傾向のみで)EI+80秒で起こる。フライトの早い時期で発生している。 (スライド:Projection of Debris Trajectory Onto Left Wing) (スライド:Aero Torques Build over Time) (スライド:Debris Evidence: Theory Likely to be Eliminated)
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最終更新日:2003年 4月 3日 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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