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コロンビア号事故調査委員会(CAIB)公式記者会見(仮訳) | |||||||||||||||||||||
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記者会見要旨
先週、予定されていた上院科学委員会(Senate Science & Congress Committee)への報告は、現在の世界情勢により中止された。 今朝の公聴会でのデブリについて説明された情報では、デブリ回収確率が高いとされている区域の3分の2は回収作業が終了したということだ。あと30日くらいで残りの区域の回収作業が終了する予定である。デブリの化学解析、金属解析、科学分析は始まったばかりである。
デュアン・ディール氏は先週の殆どを、ミシュー(外部燃料タンク工場)で様々な面談を行い、燃料タンクの組立て過程から打上げ直前での状況まで断熱材の加工過程についても検証した。タンクの異常を確認するため同種の燃料タンクを切開することから始めた。その結果、断熱材が吹きつけられる部分にいくつかの空洞(void)がバイポッド・エリア(外部タンクとオービタの結合部)で見つかり、この空洞がクライオポンピング(cryo pumping)もしくは何か破損を起こした可能性がある。同様の現象が類似した他の燃料タンクでも確認できるかこれから調査する。 ジョン・バリー氏は、ミッションの2日目にレーダ信号で確認された機体から遠ざかる物体の調査に加わっている。その物体が何であったかを解析するため、いくつかのサンプル(パネル、タイル、ブランケットなど)をライトパターソン空軍基地の研究所に送り、物体とサンプルのレーダ断面の整合を確認する。 そのデータを処理し、進めるに連れて追跡調査も出てくるだろう。 私はRCCパネルをダラスの工場で視察した。(実物のRCCパネルを示しながら)これはパネル16である。厚みが1/4インチでシリコン炭化塗装がされている。この塗装が熱負荷を吸収する。その間には19層もの繊維(fabric)が埋め込まれており、これが荷重を受ける。 このT-sealが個々のRCCパネルを結合している。 スペースシャトルの主翼前縁部とRCCパネルの間はこのような構造だ。現在、断熱材と同様、RCCパネルの製造過程、材質の劣化の可能性、品質、製造された年、機体にどれほど装着されていたか、点検は行われたかの有無などを調査している。断熱材そしてRCCパネルを調査する際、実際の状況を確認するために非破壊検査を行うことで打上げ時にどのような状態であったか確認を行っていく。
グループ2(スティーブン・ワレス、サリー・ライド、ケネス・ヘス)はワシントンDCでNASAの政府高官と多数の面談をおこなった。ワレスはシャトルプログラムの再開に向けての作業及びCAIBからの勧告に係わる作業に携わっている。ライドはSTS-107ミッションの打上げ決定過程やDOD(アメリカ国防総省)の画像取得依頼やこれまでのSTS断熱材問題を含めどのように決定されていたか調査を行っている。Eメールに関しては全体図の一部ではあるが背景理解に気を使っている。先週から安全に係わる組織をみている。この組織には責任と説明責任に関する質問をしたい。デブリ回収作業は最終段階に向かっている。デブリ委員会を通して簡単な説明を行い、この作業をいつ終了するかの決定についてNASAと調整していくことも考えている。1週間から10日以内で事故に関係があると思われるクルー(飛行士)の訓練と能力、認定に係わる調査も終了する予定だ。
取得できるデータ全て、テレメトリ、デブリ・フィールドや検査、ダウンリンクされた情報などをもとに解明できたことを発表していき現在までの調査で得られた結果として事故の原因ではないと特定できるものを排除していきたい。今日は、次の3つの点を説明したい。まず回収されたOEXレコーダについて、それから視覚的データ分析について(外部燃料タンクの断熱材について)、最後に断熱材衝突試験について述べる。
まず、OEXレコーダについて:回収された時の状態は全般的に良いと言える。1インチのテープで28トラックある。右下の写真をみると、テープの終わり部分が見える。10~15インチのしわになった部分があった。昨日行われた調査の結果、この部分には情報はなかったことがわかった。これを良いことだと受け止め、しわになっていない正常な部分に情報が入っていると考えている。テープの正常な部分はここKSCで複製を作りJSCに今週の金曜日までに搬送される予定である。データは週末に処理され、月曜日(31日)にデータの解析がスタートする。このテープの内容については、楽観的に考えると721の計測数値(measurement sensor outputs)が判明するだろう。これは翼、胴体、尾翼の表面を含む。興味深いデータとして期待されるのが、182の圧力、53の温度、そして447の荷重/力学的データである。左翼の荷重/引張り/温度/圧力データが含まれる。しかし、テープに記録が残存しているかどうかはわかっていないし、データの質もわからない。ただ、理解しておかなければならないのは、OEXレコーダからの配線は他のセンサと同様に車輪格納庫付近を通っているため信号が無くなったセンサからの信号についてはOEXレコーダにもデータが無い可能性がある。今後数日間のうちにどれだけのデータが揃うか待つ必要がある。もし全てのデータが揃えば、これはシャトルに何が起こったのか解明する情報がもりだくさんということになる。通常であれば、30分程度の上昇時データと帰還時データが1時間入るはずである。
次に、スペースシャトル外部燃料タンクに係わる視覚分析の説明を行いたい。ご存じだと思うが、スペースシャトルの映像を撮影したカメラがふたつあった。ひとつはビデオで、もうひとつはフィルムで記録している。記録された映像の中から、(打上げから)82秒後のスペースシャトルの断熱材が剥がれ落ちる映像を検証した。現在映し出されているスライドは、視覚分析チームが両方の映像を基にデブリの軌道を3次元のCGで表したたものだ。デブリの軌道は赤い線で表示され、軌道はバイポッド・ランプから始まり主翼前縁部まで延びている。
次のスライドで断熱材デブリ(断熱材)の軌跡分析に関しての説明を行う。デブリが剥がれ落ちる際の“足跡(footprint)”をたどった。“足跡”は直径2フィートから3フィート強の大きさだ。このスライドは直径2フィートのデブリの“足跡”を表している。衝突予測範囲はパネル5からパネル6、そしてパネル7まで、主脚ドア近くまで。ふたつの映像記録を基に作成されたデブリ軌跡の予測から、実験・検証を行うことが可能になったことで、事故原因について考えることができるようになった。
次のスライドは、デブリの軌跡予測を表している。デブリの衝突範囲はT-SealからRCCパネル6そしてClose Out Panel Area(パネルの切れ目の部分)までと推測されている。この情報は、スペースシャトルのどの部分を調査するべきかを教えてくれるものだ。 このテストは4つの材料を対象とする。主脚格納庫ドアのタイル、翼のタイル、キャリアーパネル(closeoutパネルとも呼ばれているもの)、RCC前縁サブシステムだ。 NASAチームでは現在ふたつのサイズの評価を行っている。テストのプランは、最初はグループ3、委員会、そして必要に応じて委員会全員にテストを行う前に提出される。 今見ているのは、時速500マイル(秒速700フィート)で動く1ポンド及び、2ポンドのものだ。ひとつは3×12×24インチのサイズで、現在のところ、実際にタンクからはがれてタイルにぶつかったデブリの画像解析から得られた大きさ。もうひとつは6×14×24インチのサイズで、ミッション中、最初に評価された大きさだ。角度は視覚的な観察に近い角度で、10~20度。サウスウエスト・リサーチインスティチュートにて、ガスで圧力を加えた銃で適切なサイズの銃身を使って行われた。 (バイポッドエリアの断熱材モデルを示しながら)また、これはSTS-50で実際にはがれた破片のサイズから計算されている。 これは原寸大のフォームのモデルだ。この黒の線はSTS-50から落ちた破片の大きさでほぼ1ポンドで、700立方インチ位、これは今回の視覚的な観察から計算された大きさに近いものである。 従って、これくらいの固まりが落ちて前縁に衝撃を与えた可能性がある。一度全ての分析が終わったら、このような固まりを銃から、説明したような4つのサンプルに向けて発射する。この衝突が4つのサンプルに与える衝撃を調べる。最後にキャリブレーションテストの様子を見てもらいたい。この白いものはただの空気で、寒い朝に暖かい空気が入っただけなので気にしないで欲しい。 こういうものが今までに行っている、断熱材を使って、観察された角度で行っているキャリブレーションテストの様子だ。最後に、試験、分析と、観察された事象を合致させるように努力を続け、原因が何だったかという結論は、理論と事実が合うまでは限定できない。
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最終更新日:2003年 3月27日 | |||||||||||||||||||||
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