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第1回コロンビア号事故調査委員会(CAIB)公聴会(仮訳)

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2003年3月7日午前1時10分~午前5時30分(日本時間)
テキサス州ヒューストン大学

出席者

証言者

  • NASAジェファーソン・ハウエルJSC所長
  • NASAロン・ディトモア・シャトルプログラムマネージャ
  • ボーイング社キース・チョーン氏
  • テネシー大学教授マクドナルド氏(元エイムズ所長)

CAIBメンバー(7名)

  • ハロルド・ゲーマン委員長(退役海軍大将)
  • ケネス・ヘス(空軍少将)
  • デュアン・ディール(空軍准将)
  • ロジャー・テトラウト(元マクダーモット社長)
  • ジェームス・ハロック(米国運輸省航空安全部部長)
  • シェイラ・ウィドナール(マサチューセッツ工科大学教授)
  • ジョン・バリー(空軍少将)

 

公聴会要旨

ハロルド・ゲーマン委員長:
 

おはようございます。本日、CAIBによる最初の公聴会を開始する。ここJSCにつとめるNASA役員2名を迎え、組織系統、責任系統について話を聞く。まずはJSCのセンター・ディレクターであるジェファーソン・ハウエルJSC所長から始める。公聴会の進行としては、まずはハウエルJSC所長がオープニング声明を読み上げ、その後、CAIBによる質疑応答に移る。その前にまず、これから提供する情報が可能な限り正確なものであることをハウエルJSC所長に断言して欲しい。


ハウエルJSC所長:

A:

断言します。

本日はコロンビア号事故から33日目だ。これまでのCAIBのコロンビア号事故原因究明の努力に深く感謝しつつ、その活動を今後もサポートしていきたいと思う。まず、この国の宇宙計画におけるJSCの役割について説明する。もともと有人飛行センター(Manned Spacecraft Center)と名付けられたJSCは1960年代初頭から有人宇宙探索の中心となってきた。JSCは設立から今日まで、有人宇宙船(human spacecraft)及び人間・ロボットインターフェイスの設計、開発及びテストにおいて中心的役割を果たしてきた。また有人宇宙船のプランニング・コントロール及び実施、宇宙飛行士メンバーの選別・トレーニング及び割り当て、ハードウェア開発及び訓練における船外プランニング、有人宇宙飛行に関連したライフサイエンス研究および関連したバイオメディカル研究、有人宇宙飛行用の大型ハードウェア開発のプログラム管理、宇宙用素材の研究、そしてこれらの活動全てを支えるための安全責任と品質保証を担っている。

このような環境において、私はJSCセンター長としてシャトル・ミッションに必要なサポートを提供する責任を負うものである。JSCはシャトル・プログラムに供するハードウェア及びソフトウェアについて責任を負っている。また、プログラムに供する解析の品質と技術的コンテンツに責任を負っている。JSCのマネージメント側はシャトル・プログラム・マネージャーであるロン・ディトモアと密に連絡を取りながら働き、常にプログラムのステータスや課題、人事問題等について報告を受けている。これらの事項の役割と関係について喜んで私の見解を示したい。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

オキーフ長官で始まるNASAの指揮系統を説明して欲しい。あなたの直接の上司、その上の上司、直接の部下とそのまた部下は誰なのか。Branches and sequelsはあるのか(例:雇用・解雇に関して、経理は違う形で行われているのか)。


ハウエル JSC所長:

A:

オキーフ長官の直接の部下は副長官のフレッド・グレゴリー氏だ。その2人の直接の部下には、企業提携管理者たち(enterprise associate administrators)がいる。コードM(宇宙飛行局)長官はビル・レディ氏であり、彼は私の直接の上司だ。私はNASA宇宙飛行局のセンター長の一人である。センター長は4人いる(私自身(JSC)、MSFC、KSC、SSC)。センター長として私の管下にいる直接の部下は、法律関係(legal h or that type?)や、重要な
(11秒間音声が途絶える)
生命科学と安全・ミッション保証(安全・信頼保証)。これらが主な私の業務だ。それぞれには責任管理者がおり、その下に部門別管理者がいる。なかでもエンジニア課が最大であり、次に有人ミッション運用課の規模が、私が管理する事務局のなかでは、大きい。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

レディ氏も様々なプロジェクトを指揮している(後ほどその一つについて詳しい話を聞く予定になっている)とのことだが。


ハウエル JSC所長:

A:

その通りだ。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

では様々なプロジェクトとセンターの取り組みは同時進行できるということか。


ハウエル JSC所長:

A:

そうだ。もちろんレディ氏の下には、プロジェクトを管理する次長がいる。マイク・コステルニック氏は宇宙飛行・宇宙ステーションプログラムを指揮している。彼の直接の部下がロン・ディトモア氏だが、私たちの管理レベルでは、ディトモア氏と私の仕事は深いつながりを持っている。なぜなら、私が管理するセンター職員の大部分は、ディトモア氏の管理下である業務を支援することが多いからだ。私たちの業務は複雑に絡み合っている。


ジョン・バリー:

Q:

あなたの管轄下にある"astronaut office"の役割とコロンビア号墜落後の役割について述べていただきたい。


ハウエル JSC所長:

A:

"Astronaut Office"の正式名称はFlight Crew Operations Directorateで、長官はボブ・カバナだ。彼の管轄下には幾つかの事業部があり、例えば先ほど申し上げたFCODがその柱となっている。彼は私の命令のもと、宇宙飛行士の補充、選別と訓練を指揮する。彼の責任は、宇宙飛行士たちを一人前に、ミッションを達成できるレベルにまで育てることだ。宇宙飛行士たちは2年間におよぶ過酷な訓練を受け、その後スペースシャトルクルーもしくは宇宙ステーションクルーのどちらかになる。先ほど彼の下に幾つかの部が存在すると言ったが、そのうちのほとんどが宇宙飛行士の訓練にたずさわっている。例えば航空部(Aviation Division)は軍用機、スペースシャトル再突入を訓練する装置などを保有している。上記に述べた業務は全て私の管轄であり、ボブ・カバナは私の代わりに業務を遂行している。


ジョン・バリー:
 

宇宙飛行士という枠の中でロン・ディトモア氏とあなたの役割の違いが明確に説明されたと思う。


ハウエル JSC所長:
 

ボブ・カバナは宇宙飛行士たちを、ロン・ディトモアの要求するレベルに達するよう訓練する責任がある。我々はミッション・オペレーション・ディレクターと共にこの責任を共有する。なぜならミッション・オペレーション・ディレクターがミッションの企画、宇宙飛行士の訓練内容などさまざまなミッションの過程を設定する権限があるからである。実際にミッション・オペレーション・ディレクトレイト(MOD)のメンバーによって宇宙飛行士たちの訓練内容そしてミッションに必要な特殊訓練を受ける。ジョン・ハーポルの指揮するMODは上記に述べた業務を担当する(宇宙飛行士の宇宙滞在期間中指示を出す役割をともなう)。


ジョン・バリー:

Q:

コロンビア号墜落後の役割について述べていただきたい。


ハウエル JSC所長:

A:

私個人は、シャトル・プログラムに関して直接の権限も責任もない。しかし私の部下の中にはシャトル・プログラムに関わる仕事をしている者もおり、彼らの仕事を管理することは私の責任である。私は主に、シャトル・プログラムの予算と関係する業務を担当しており、例えばハードやソフトウェアに関することなどがその主なものだ。私はレディ議長のOffice of Space Flight Management Councilの委員も務め、委員にはセンターディレクターと副官のマイク・コステルニックで構成されている。結果として、間接的にシャトル・プログラムで決定されることに影響を持っている。私はまた、飛行準備審査会(FRR)の委員である。FRRは2週間毎にミッションに関するさまざまな議論を行い、投票委員として私は、ブリーフィングする者に質問や回答、また飛行許可の署名をする権限を与えられている。


ケネス・ヘス:

Q:

委員会のスタッフとリソースの充実性について教えてほしい。


ハウエル JSC所長:

A:

JSCで働く人の過半数はコントラクタで、全体では約1万人の人が働いている。内訳は3千人がNASA職員、7千人が契約社員である。JSC以外で働いている契約社員としてその他に6,000人いる。私の意見では、質の高いチームであると思う。懸念があるとすれば職員とコントラクタのバランスの点で、ほとんどの職員が高年齢化しており定年間近だ。しかし、チームの手腕と技術には自信が持てる。


ケネス・ヘス:

Q:

安全性とミッション保証計画、飛行準備工程と平行して機能面の解説を。


ハウエル JSC所長:

A:

複雑であるが、効果的な構成となっている。宇宙飛行計画に関係する全てのサポート活動を担い、スタッフは品質保証を担当する者、安全保障を担当する者に分かれる。作業上は、安全面を最優先して行っている。しかし独立した、安全保障・品質保証機関のようなチームが必要だと思う。手抜きのない仕事が行われるよう、管理している。シャトル・プログラムに協力し、計画を進めていくことを心がけている。管理者側の管理も重視しており、リスクを減らすための努力を払っている。社員にとって、シャトル・プログラムに協力し働くことと、何か問題があれば、私の所に来て不安や懸念事の相談をすることが両立できている。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

シャトルプログラムの責任者は今までジョンソン宇宙センターの直轄だったことがあるのか?


ハウエル JSC所長:

A:

現在は違う。でもそうだったことはある。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

それはいつまでか?


ハウエル JSC所長:

A:

直轄を外れてから1年もたっていない。自分が来る直前まで。自分は昨年4月にセンターの責任者に就任したのでここは長くないのだが、オキーフ氏が長官になってからすぐ、センターの2大プログラムをJSCの責任者直轄から宇宙飛行局次長の直轄に移すという決断がされた。これはヤング委員会の推薦、提案だと思う。そのような決断が下され、自分が4月に来たとき移行期間はすでにはじまっており、夏までにはそのプログラムはコステルニック司令官の直轄になっていた。NASAの長い歴史を考えればごくごく最近のことだ。当局がセンターからセンターへ、あるいは本部に異動するのは過去にも何度かあったようだが、これが一番最近のものである。


ジェームス・ハロック:

Q:

自分の理解では、スペースシャトルのプログラムに密接に関連しているのは4つの宇宙センターで、あなたがディレクターであるジョンソンと、ケネディ、マーシャル、ステニスだが、あなたのレベルでは他のセンターとはどんな交流があるのか?


ハウエル JSC所長:

A:

定期的に連絡を取っている。毎日話をすることもあれば、1週間何も話さずに終わることもある。自分達のレベルでは大きい問題について激論を交わすこともある。

現場レベルでは、継続的な連絡、コミュニケーションと、実際の他のセンターとの統合エンジニアリング作業があり、マーシャルとはバーチャルエンジニアリングシステムを使って定期的に自分たちのところと向こうの技術者が一緒に活動している。ケネディとは機体の工程での協力関係もあり、宇宙飛行士が訓練や機器に慣れるなどのためにしばしば行き来するので、非常に密接な協力関係にある。自分の管轄では、常にセンター間の情報のやりとりがあり、継続的な協力関係にある。


シェイラ・ウィドナール:

Q:

ミッション運用責任者は誰の直轄なのか?


ハウエル JSC所長:

A:

ミッション運用責任者は私の管轄だ。


シェイラ・ウィドナール:

Q:

あなたの管轄でミッションの安全保証を担当する組織があり、その目的はミッションの安全に関して独立査定を受けることだとおっしゃっていたが、今までに安全保証担当機関の提案で主要なプログラムやミッションに変更を加えたことはあるのか。何を主要というのかはちょっと自分でもわからないが、何か例があれば記録のために教えてほしい。後で教えていただくのでもかまわない。


ハウエル JSC所長:

A:

今は特に例が思いうかばないが、このような問題については部下が取り扱っているので、自分の所に直接持ち込まれることはほとんどない。安全についてここで働いている全員がどれ程気を遣っているか、どう説明してよいかわからないが、最優先に考えて当たり前のものだ。何か安全に問題があれば、いつ、どの分野の、どのレベルの、誰が指摘しても、すぐに修正される。自分のところでは直接個々の案件について取り扱わないので就任して以来の具体例は今はあげられないが、現場レベルで変更はたくさんあるのはわかっているし、調査しようと思う。


シェイラ・ウィドナール:
 

とても興味深いですね。

Q:

職員に関する論議について。あなたが参加した報告書「シャトルプログラム民営化のコンセプト(concept of privatization of space shuttle program)」によれば、1993年以来、NASA職員の50%が削減され、その結果、技術と経験を持つ人材が大量に失われた。運用コントラクタがNASA業務を請け負うようになるにつれ、NASAの技術基盤は失われ続けるとこれに書いてあるが、このことについてあなたのご意見とこの報告書に関わった状況について聞きたい。


ハウエル JSC所長:

A:

私はその報告書に参加していない。私自身、現在の職員とコントラクタの配分に異論はない。10年前から、かつて職員がやっていた仕事をコントラクタが行うようになった。では十分な監督業務を可能にするために必要な職員の必要人数はどれほどだろうか?私自身、これ以上職員を減らすべきではないと思う。もちろん調査を行った上で決めるが。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

例えばエンジニア部の技術者は、大プロジェクトを支援するために配置されるとある。それは実際、どのような仕組みになっているのか?あるプロジェクトの人が「技術者が足りない、増員を求める」と言った場合、誰が配属先を決めるのか、どのようにして人員不足を補うのか?


ハウエル JSC所長:

A:

「内輪で解決する」と言う表現が一番適当だろう。JSCの利点は、シャトルとステーションプログラムの両方が同時に存在するということだ。エンジニア・ディレクターやMODなどがそれをサポートする。毎年、彼らはどのようなサポートが必要かガイドラインを提出し、私たちがそれをもとに予算を作成する。

技術者には2つのタイプがある。各プログラムには、フルタイムと仕事に応じ配属される(assigned)人がいる。現在、シャトル・プログラムには職員が700人強いる。700人全員がフルタイムというわけではなく、一部がフルタイムで一部がマトリックス(母体)、つまり何人か併せてフルタイム扱いとなる。ステーションに関しても同じ。予算を立て、どのような業務体制にするか合意に至る。

組織内で何かあった場合、例えば フローライナー(flowliner)亀裂の時などは、私たちは原因究明に全力を尽くした。治金学なども調べた。こういう時は一連のチームを結成し、原因を解析して問題解決を試みる。あの時は、シャトル・プログラムに属さない技術者150人を集めて数週間フルタイムで働かせた。トレーニングの人材やステーション部門からも人を集めた。このように、JSCで何か問題があったらいつもこのやり方で全員が協力する。こういう場合の予算の組み方については、財務担当のジョン・ディールに聞かなければならない。だがとにかくやっているし、金も出ている。彼らは何かあれば担当するプログラムが違っていても必ずお互い助け合うのだ。仕組みの詳細については後で報告する。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

権威や予算にも興味があるが、しばしばチームは独立して動いているのか、あなたのために動いているのか、あるいはプロジェクトマネージャーのために動いているか。


ハウエル JSC所長:

A:

プロジェクトマネージャーのために動いている。彼らから求められた協力を私たちは与えていると思う。ロン・ディトモア氏が責任者である。彼らが適切な行動をおこし、適切な分析とテストを行い、私が責任を持っている。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

あなたは誰の利益を代表しているのか?宇宙飛行士たちの利益を代表しているのか、工学部門とフライトディレクターの利益の代表か、その特色をきかせてください。


ハウエル JSC所長:

A:

それは重要な点で、私が代表するのは全てのJSC関連の活動だ。私は管理しなくても良いことに関しても確認している。宇宙飛行のすべてに関して代表している覚悟がある。すべてのシャトル準備工程管理者、MOD、オペレーションディレクター、SRQA(Safety Reliability and Quality Assurance)、そしてフライトクルー・オペレーションディレクターに関しFRRが行われ、すべての書類や行動が管理されている。正式なFRRを私自身は行わないが、ブリーフィングですべてのことを報告され、把握している。そして実際にFRRがすべての情報を持っていると自信をもって言える。


デュアン・ディール:

Q:

マトリックス組織であるNASAの民営化の動きと最近の組織内の改革について。それらの変更によって、数年前に比べ、センター長と財源の共同責任者として必要な作業を迅速に行うために、組織を運営しやすくなったと思うか。


ハウエル JSC所長:

A:

私はまだ新人なので、その質問には答えられない。しかし、今の体制には満足している。SLI、軌道式宇宙船などのプロジェクトを今後行うにあたって、プロジェクトの管理をワシントンで統一するという考えは、正しいと思う。個人的には、ビル・レディ氏とマイク・コステルニック氏とは良い信頼関係を築いており、予算などについても、私の意見を聞き入れ、共に解決している。民営化については、確かS-FOT(?)契約がそれに関係があると思う。しかし、私は一年前にこの体制を受け継いだばかりだが、今の組織体制にとても満足している。


デュアン・ディール:

Q:

ここ数年で実施された改革のひとつ、サブコントラクタのサポートが、ハンティングトン・ビーチからJSCに移ったことについて、何か、特に職員の専門知識について懸念はあるか。この移動の利点と不利点は。


ハウエル JSC所長:

A:

全体的に、取引や作業の中心に施設を移すことになったこの判断は正しかったと思う。ただ、確かにカルフォルニアに残してきた(異動を拒んだ)専門家たちが大勢いる。マイク・モット氏と私は長時間にわたって討議したが、彼は、新しい適切な専門家たちを招くことを保証してくれた。このような変更に問題はつきものだ。しかし、体制を立て直せば、以前よりも必要に応じて対応できる組織になるだろう。


デュアン・ディール:

Q:

機体の保守・点検作業(OMM)がパームデールからKSCに移動された件は、あなたが直接その決断に関わったのか。


ハウエル JSC所長:

A:

いや。その決断は私がセンター長になる前に行われたので、まったく関わっていない。


シェイラ・ウィドナール:

Q:

飛行中に起きた異常の解決、設計や材質のウェーバの認可、それから私は脱進(escapement)と呼ぶが、基準に満たなかった機器の使用や起こるべきではなかったミッション中の出来事との関わりについて、例えば、異常事態の解決にはどのような手順があるのか。


ハウエル JSC所長:

A:

私たちには、日々のミッションの管理や、異常事態での問題の軽減を行う、ミッション管理チーム(MMT)がある。直接指揮してはいないが、管理下にある事務局の主要スタッフがMMTに加わっている。わたしはその事務局の統括として、MMTの作業の質が高いことを保証する責任は感じるが、各MMTのメンバー(12人ほど)にはそれぞれ優秀な技術者が12人ほどついている。彼らの仕事に私は絶対的な信頼を置いている。


シェイラ・ウィドナール:

Q:

ミッション中のみならず、準備段階で起きる判断、基準に満たなかった機器の使用や設計や材質のウェーバの認可について知りたい。


ハウエル JSC所長:

A:

ミッションの問題や課題は常に私に報告される。ロン・ディトモア氏ともこれについて毎週会議を行っている。ミッションの準備段階から、わたしは状況を把握している。


シェイラ・ウィドナール:

Q:

しかし、あなたは正式な判断過程(sign-off process)に関わっていない。


ハウエル JSC所長:

A:

その通り、わたしは決定(decision matrix)には関わっていない。


ケネス・ヘス:

Q:

来年、宇宙ステーションのコア・コンプリートに近づきますが、スケジュールを維持するために発生するストレスや緊迫感について聞かせて欲しい。


ハウエル JSC所長:

A:

私は成功指向と疑われている。しかし何事をするにしても安全面が何よりも最優先されるべきだと考えている。複雑な組立てミッションに関して、複雑な機器を打上げ、組み立てて、使えるようにすることは素晴らしいことである。完成を熱望している。しかし、誰に対しても安全面や品質面を維持するために圧力を掛けることはしないだろう。今回の問題で一時的に止まった事に関し誰一人苦情をいってきたものはいないし、理解を得て再開に向けて問題解決に努力している。私はすべての人員が、何が一番大切かを認識し、最優先事項を意識している態度に満足している。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

委員会を代弁して話す。各宇宙センターに行き、生産工程を視察し、オービタを隅々まで観察して、NASAの全責任者と面会し、委員会は安全面の査定に賛同する。NASAの評価のひとつで気になることは、大きな視野での安全面の観点を見逃すことがある。何かを繰り返し修理・修正するときに、安全面の問題が浮かび上がることがない。安全面に関して最初から問題とせず、実際は特定なことがらを問題にしている。あなたはこの件に関してどのように考えているか?


ハウエル JSC所長:

A:

これに関して私たちは仕事の終わりにコーヒーを飲みながら話し合ったりしている。まず私たちは計画的である。それはミッションを支援して成功させたいからだ。人々が見失いがちなのは、今チームがすでに結成され働いていることだ。それは新しい宇宙機の開発や、さまざまな改良や修正、安全面の改良、そして信頼面を改善することである。ステーションに大きな機材を運ぶためにシャトルが必要である。これらの働きはまだ公表されてないか、あるいは公表されない。従事している人員はみな詳しい知識をもっている。私たちがやっていることは、今ある物を改良するだけでなく、将来のための開発も行っている。安全面に関しては、もし管理する人が増えれば、それだけ安全性も高まるかもしれない。安全面をクリアして準備が整ったことを決断することは非常に難しいことで、知識が豊富な適任者が決定する。


ジョン・バリー:

Q:

予算についてあなたの意見を述べて欲しい、特にスペースシャトルそして宇宙ステーションに関しての意見を聞きたい。


ハウエル JSC所長:

A:

1年前、私が初めてNASAに来た時、すでにNASAの予算に関する問題が浮き彫りになっていた。何をするために、幾らかかるのかが分からない状態だった。ショーン・オキーフ氏がNASA長官に就任された後、彼が最初に手がけたのは予算の見直しだった。NASAが公約したことにいくらかかるか、調査が行われた。結果として、さまざまな所で予算削減が行われた。なぜなら、公約を実行する資金が無かったからだ。ショーン・オキーフ氏はNASAにコスト意識("Budgetary Discipline")をもたらしたが、同時にそれを批判する声も多かった。なぜならショーン・オキーフ氏は、増資不要という決断を下したからである。彼は現段階で所持している資金と資源でやりくりをする、という方針をうちだした。少し前に大統領に提出した予算案は、スペースシャトルと宇宙ステーションを数年間、維持するだけである。当初の目標である科学研究や実験を実行できる程度の要求だと私は思っている。長い目で見れば、私たちの方針は将来予算を要求する時に役立つだろうと考えている。私たちの言葉(要求)には信憑性があるからである。


ロジャー・テトラウト:

Q:

スペースシャトルと宇宙ステーションの予算はプロジェクト単位で行われていると理解している。技術者や科学者は、プロジェクトごとに異動するのか。NASAは新しく全部原価計算を基盤としてた("Full Costing Basis")方針で予算をまとめるという情報があるが、このことについて意見を聞きたい。


ハウエル JSC所長:

A:

NASA職員である技術者の給料は、スペースシャトルや宇宙ステーション予算から支出されている。しかしスペースシャトルと宇宙ステーションの予算以外に "Institutional Budget"というものが存在する。例えば、私が持っている"Institutional Budget"で作業に必要な技術者を補充できる体制がある。"Institutional Budget"でミッション成功に必要な要素を補う。例えば "Institutional Budget"を用いて、技術者の能力水準を高く保つなどの措置をとる。

"Full Costing Basis"は"我々にとって大きな冒険となる"と表現したい。次の予算ではこの方針が変更されると認識している。現在、私も"Full Costing Basis"について詳しく調べている状態で、答えるだけの知識がまだない。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

長年NASAはコントラクタ "USA Alliances (SFOC) contract"を使いプログラムやミッションを行ってきたと理解している。コントラクタの業績(責務を果たしているかどうか)を調査する期間や委員会は存在するのか。


ハウエル JSC所長:

A:

コントラクタの業績(責務を果たしているかどうか)の調査を担当する役員がおり、役員はコントラクタの評価そして管理を担当する。さまざまな契約があるので、ひとつひとつが異なっており、特に金銭面での違い(fee、固定価格など)がある。一般的にコントラクタには政府の役員が1人つき、役員の評価で支払い金額の提案が提出される。私の上級職員が提案を確認して支払いを行っている。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

では小さい規模での監視、調査が行われている訳ですね。JSCもコントラクタを使っているのか。


ハウエル JSC所長:

A:

使っている。センターではコントラクタが数社存在し、全ての業者に政府の役員がつき先ほど説明したようなシステムが設定されている。

 

ハロルド・ゲーマン委員長:

 

2番目はロン・ディトモアです。
(手順を説明した後質問)
委員会のために、軍隊用語で言うところの「指揮系統」をオキーフ長官から始まってあなたまでと、あなたの直轄の1つか2つ下の段階位までの組織系統を説明してもらえませんか?

(ディトモアが質疑応答の前にオープニングの声明を用意していたので、それからはじめる事にする、というゲーマン委員長とのやりとりがある。)

ロン・ディトモア(スペースシャトル・プログラム・マネージャー):

 

<謝辞などが入る>

スペースシャトルプログラムのマネージャーとして、私は全体的なプログラムとプロジェクトの管理を含む、プログラムに関連した活動すべてを指揮している。それには統制と運用、スケジュールの指揮と管理、設計と開発の計画と実施、試験、製造、運用が含まれる。 私はプログラムの安全や技術的な運用的作業・業績、スケジュール、予算の担当であり、責任を負っている。

私はワシントンDCのNASA本部のマイケル・コステルニックISS宇宙飛行局次長直轄の部下であり、コステルニック氏とは定期的に会い、日常的に彼の部下に関心事や、問題、全般的なプログラムの状況を報告している。

ご存知の通り、スペースシャトルプログラムのオフィスは、テキサス州ヒューストンのJSCにある。ここにはほとんどのプログラムの事務所があり、スタッフが駐在している。私が管轄している追加のプログラムマネージメントは、アラバマ州ハンツビルのMSFCと、フロリダ州のKSCにある。

スペースプログラムの管理は、各有人宇宙飛行センターの直接の報告とマトリクス的報告の組み合わせを通して、ミッション運用、飛行クルー運用、地上での工程を含むハードウェアと運用的要素を調節しながら行っている。このような責務に当たっては、フィールドセンター機関管理支援組織の強力な支援を受けている。プログラムとフィールドセンター(JSC,MSFC,KSC,SSC)の関係は非常に良く、安全とミッション成功への期待に応えるべく、人的、物理的、予算的、技術的その他の資源を必要に応じて受けている。

私はスペースシャトルプログラムの目標と目的を達成するために、各有人宇宙飛行センターの責任者各氏(ハウエル氏、スティーブンソン氏、ブリッジズ氏、パーシーズ氏)とその支援組織とも密接に協力している。コロンビア号事故調査委員会の活動に非常に感謝しており、調査に完全に協力し、私の自由になる資料は調査のために提出する。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

ありがとう。私の質問の半分には既に答えていただいた。あなたの上部指示系統については理解したが、あなたの直轄の指示系統、特にJSC以外のものについて教えて欲しい。


ロン・ディトモア:

A:

もういちど上の指示系統から、確認のために説明する。私の上司はコステルニック氏で、彼の上司はレディ氏であり、レディ氏の直属の上司はオキーフ長官だ。私の直轄の組織については、直接的な下部組織と、マトリクス的な下部組織があります。直轄組織の一例は、ビークルエンジニアリングオフィスのラルフ・ロー。オービタ、船体関連ソフト、飛行クルー設備、遠隔操作システム(船体のすぐ下にあるアーム)の責任者である。プログラム統制担当マネージャーのリンダ・ハムは、基本的に飛行製品、飛行準備の統制、ミッション制御センター関連の活動、飛行設計と貨物エンジニアリングや、プログラム内部の統制、具体的なミッション中の飛行実施責任者だ。主な直属部下のもうひとりは、ケネディ宇宙センターに駐在する打上げ管制マネージャーで、この人はフロリダで実施される工程作業の責任者であり、新入りの管理職(new in board chairmanship)と私たちが呼んでいる、毎日の工程作業を続けるためのプログラム提出など、日々の工程文書の管理を任せている。承認が必要な追加作業や試験などの、あらゆる工程に関するものだ。MSFCにいる直属の部下は、MSFCのプロジェクトオフィスの責任者であるアレックス・マックールで、MSFCで担当しているプロジェクトの部分の監督だ。外部タンク、固体ロケットモーター、固体ロケットブースター、スペースシャトル・メインエンジンのマネージャー達の監督である。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

資金の流れに関しても同様か?例えば来年度の予算を申請する際に、直属の部下が翌年必要な分の見積書をマトリックス・サポートとして形で作り、それをコステルニックとレディ氏の元に提出するのか?


ロン・ディトモア:

A:

そうだ。実は私が今述べたよりずっと幅広い。今述べたのはプログラムの一部に過ぎない。それぞれのプロジェクト要素が私にとってマトリックス・サポートだが、それについて話すともうちょっと時間がかかる。

例えば、ハウエルJSC所長の話したミッション・オペレーション・ディレクトレイト(MOD)はセンター・ディレクターの直属にあたるが、私にとってはマトリックス・サポートだ。私が予算申請を呼びかけるとMODがシャトルプログラムの私のもとに来て翌年の予算申請書を提出する。FCOD(Flight crew operations directorate)はセンターの直轄にあたるが、それでも私のところに予算申請書を提出する。JSCであれ、MSFC であれ、KSCであれ、プログラム全体にわたってこのようにしている。また、私の直属のビジネス・マネージャーもいる。いったん、予算の詳細について本部からガイダンスを受けると、そのガイダンス内容を各プロジェクトやプログラム・エレメント(要素)に伝える。直属の部下であれマトリックス・サポートであれ、いずれの場合もそうする。その後、その年の予算請求の詳細に関する一連の徹底的な検討を行う。結果、その予算請求が正当なものであるという十分なデータが集まれば、それをコステルニック氏に提出する。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

ISSプログラム・マネージャも同じことを行うのか?


ロン・ディトモア:

A:

ほぼ同じだ。ステーション・プログラムと私のプログラムは一部、財源を共有している部分があるので、話し合う場合があるが、共通の機能を持つ部分があるので、正しい配分を行うためにも相談する。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

だが、センター・ディレクターから予算について同意を初めて得た段階で、コステルニックからレディ氏に行くのか?


ロン・ディトモア:

A:

コステルニック氏の所に持っていく時にも、このプログラムではまずセンター・ディレクター達とそのスタッフと話してから先に進むようにしている。プログラムの方向性について彼らが知らない、という事態は避けたいからだ。また、彼らがその方向性に賛成であれ反対であれ、本部に行く前に彼らの意見を聞くチャンスを与えたい。従って私はフロリダのヘール氏にブリッジス氏と話をさせ、また、マーシャルのマクール氏にスティーブンソン氏と話をさせ、検討中の情報を各センター・ディレクターに伝え、活動や方向性の改訂を求められれば、少なくともその意見を認めた上で本部に持っていくようにしている。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

マネージメントと責任体系について大きな変化があったが、そのことについて聞きたい。いくつかの分野において決断が行われたようだが、その1つは機体の保守・点検作業(OMM)をパームデールからKSCに移行した決断だ。また、ほぼ同時期にコントラクタ理事会?(contractors board)ハンティントンビーチからJSCに移行する決断が行われた。

また、先程ハウエルJSC所長にも話した民営化コンセプトについてだが、レポートによれば「1993年以来、NASAの職員の50%が削減され、その結果、技術と経験を持つ人材が大量に失われた。コントラクタがNASA業務を請け負うようになるにつれ、NASAの技術基盤は失われ続けるだろう」とある。

また、様々なセンターを訪れた私たちは、コントラクタのプロフェッショナリズムに感銘を受けたが、一時に行うには早急すぎたのでは、という批判的な意見もある。その決断に至った理論的根拠があれば聞きたい。


ロン・ディトモア:

A:

それについては主に3つのことが挙げられる。まず、機体の保守・点検作業(OMM)をパームデールからフロリダに移行する決断、それからエンジニアリング部をハンティントンビーチからテキサスとフロリダに移行すること、それから3つめが今言った民営化レポートだ。

OMMを行うのにふさわしい場所については、以前から論議があった。90年代に2、3の調査、97年頃にNASA内部での調査が行われ、98年に監察官(Inspector General) のオフィスによって行われた調査もある。これらの調査は全て、最もコストパフォーマンスが良く、長期的にオービタのメンテナンスを行う技術的キャパシティのある場所を探すために行われた。

90年代終わりに行った調査レポートによれば、場所の適性はフライト回数に依存するということだった。例えば年間6回以上のフライトを行う場合は、フロリダで整備を行うための設備がなかった。既存の3つのオービタ整備設備OPFをフル回転させてもフライト回数に追いつくのが精一杯で、設備の1つをメンテナンスに宛てることができなかったからだ。また、同調査によれば年6回以下のフライト回数の場合はフロリダが候補になった。当時は年8回のフライトを予想したので、コロンビアの整備をパームデールの設備で整備を行うことにした。だが、予想フライト回数が変われば場所を再検討するようにということだった。

コロンビアの整備が終了すると、その後の予想フライト回数は6回以下に減ったことがわかった。事実、その後のフライト回数は2年で4回、1年は6~7回に増えたが、今後は5回位になりそうだ。6に増えることもあるかもしれない。このフライト回数ならばフロリダの施設がふさわしく、新たな施設を用意することもないと判断した。事実、新たな施設の建造費が法外だったのでそれは正しい判断だった。

また、労働人員についても考慮が必要だった。パームデール施設の場合、大勢の労働力を雇い、整備が完成すれば解雇するというやり方をとっていたが、長期的に見ると、人を雇っては解雇するという方法では技術力やマネージメント・スケジュール・プランニングに関する知識が失われると判断した。オービタのような複雑な乗物のオーバーホールの場合、これは非常に重要な要素だ。

また、ほとんどの技術専門家がKSCに移行している事態になっていたので、フロリダには安定した労働力があった。こういうことから、人員の入れ替えの激しいパームデール(つまり雇用と解雇を繰り返し、技術力を失う可能性もある)と、KSC側のオービタに関する知識豊富な安定した労働力を天秤にかけると、長期的に考えてもフロリダがオービタの整備に適すると判断したわけだ。

またフロリダは技術面、安全面だけでなく、コスト面でも適していた。既にインフラがそろっていたからだ。というわけで、安全面コスト面でフロリダが非常に捨てがたかったので、私がフロリダ移行を推した。先月のOV103整備に関しても、スケジュール面、技術面、コスト面で全て順調だ。フロリダでの活動には非常に満足している。また、フロリダ施設の調査については実は90年代初頭にも行っているので最初ではない。次にハンティントンビーチへの移行について話そう。

ハンティングトン・ビーチからのエンジニア設備の移動は、もとはユナイテッド・スペース・アライアンス社(USA)の発案だった。

より顧客に近く、東海岸と西海岸を結ぶために、エンジニア設計センターと、ヒューストンとフロリダに位置するオペレーション・センターの相関性をもとに、NASAに提案された。長期的には、効率性も上がり、コスト削減も可能であると思われた。ユナイテッド・スペース・アライアンス社は元請業者で、ボーイングはその下請け業者である。ボーイングはエンジニア設備の統合という難題を引き受けてくれた。

当初はこの移動について多くの懸念が見られた。まず移動に必要とされた手順は、重要(必要)な技術の識別、新しい社員の研修企画、認定書(certification)作成だった。移動後、適切な技術と専門知識が備わるように手配された。

ラス・ターナーUSA最高責任者とマイク・モット・ボーイング社本部長とは、定期的に会議を重ね、この移動の数多くの課題について話し合った。USAとボーイング社の高官、影響を受けるプロジェクト事務局(システム緩和局とオービタ事務局)は、具体的に移動に加わる社員の名前や、必要とされる専門知識について毎週詳しく話し合った。

最終的には前からいた社員は24%となり、残りは全員新しく雇った。しかし、新しく雇ったといっても、10年から15年のシャトルに関する経験を持つ人材ばかりを集めた。各技術グループに必要な専門家が足りているかなども審議された。足りない(out of family)と見なされた場合は、NASAの技術スタッフが、支援して管理するシステムをとった。最初は大いに懸念されていたが、NASA、USA、ボーイング社の総合協力によって、飛行ミッションの実施率も維持し、必要な技術と専門家も補うことができた。


ケネス・ヘス:

Q:

SRQA(Safety Reliability and Quality Assurance)機能に関心がある。組織の大きさや、責任はどうなっているのか。


ロン・ディトモア:

A:

安全面に関しては、組織面での責任を重視する。それで安全面を保たれると考えている。安全面を理解するには、インライン安全面と独立した査定の関係を知る必要がある。第1責任はインライン組織にあると考えている。それはデザインセンターから、優先管理改善作業(PRIME?)に報告され、プロジェクトオフィス、プログラムオフィス、そして飛行準備審査会(FRR)に報告される。まずデザインセンターが絶対的な安全の責任をもち、そして飛行準備審査会(FRR)に報告するまでのすべてに責任がある。その第1責任が強固に維持されることが重要だ。

チェック&バランスとヘルシーテンションという用語がある。チェック&バランスはシステムの中に適切なスキルがあることを確かめ、物事を把握している安全審査官がいること。ヘルシーテンションはどう組織を設定するかだ。デザインセンターと工学デザインセンターの間にはヘルシーテンションが必須だ。

もうひとつ安全面を保証する重要な方法がある。それは独立した組織である。かれらは同じように製造工程などを視察して加わるが、大きな違いは彼らが別組織であること。そして彼は私に独立した別な安全面のチェック結果を報告する。達成したことに対して同意してくれない人が私の上にいるということは重要である。独立した、別な情報源をもつ組織があることが重要である。かれらは私と話し合うときに、独立した意見を提供してくれる。

SR&QAの話をするのに重要なのが、私が直接関係している保証と、独立した組織が両方組み込んで進めていくことだ。


ジェームス・ハロック:

Q:

老朽化が進む機体とRD環境に関する質問だ。これに関しての取り組みと重要性の意見をきかせて欲しい。RD環境のことで、オペレーション環境ではない。


ロン・ディトモア:

A:

RDとオペレーションの混合にあると思っている。オペレーション面では繰り返しミッションを行えることを目指す。RD面では、経験を積んだ車両を繰り返し飛ばしていることが目的だ。注意すべき点は、繰り返し使うことによる影響が、材質や構造、サブシステムにあるかだ。可能な限り推測できるのは、審査のインターバルやサブシステムの検査のインターバル。今まで審査の回数を減らすような圧力があったが、デザインセンターは必要条件を減らすことに抵抗してきた。

わたしたちが直面している課題は、メンテナンス期間の解体作業中に問題を発見して改善する時間があるかどうかを特定することだ。これは経験的に改善されている。

ハロルド・ゲーマン委員長:

 

時間切れです。12時半に再開します。



デュアン・ディール:

Q:

ISSプログラムとSTSプログラムの予算の関係について述べて欲しい。


ロン・ディトモア:

A:

最初に言わなければならないことはスペースシャトル・プログラムとISSは密接な関係にある。私はISSマネージャーのウィリアム・トガーステンマイヤーと親しい関係にあるが、なぜなら2つのプログラムは同じ資源を共有するからだ。例えばミッション・オペレーションズ・エリア(Mission Operations Area)、フライト・クルー・オペレーション(Flight Crew Operation)そして船外活動の機能 (Space Walk Functions)も共有する。資源を使用する時も話し合いでお互いに必要な量を公平に分配する。作業や予算の時の指揮権および主導権も話し合いで決めることがある。話し合いで折り合いがつかない場合マイク・コステルニック氏に事情を説明し、仲裁に立ってもらうこともあるが、ほとんどの場合私たち2人の相談結果を報告することが多い。これを受けてマイク・コステルニックは私たちの意見を予算委員会に報告する。現段階での予算共有は無い。私たちは独自に予算の要求を提出し、お互いの資料を比較することはある。現段階ではこの方法は非常によく機能していると思う。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

あなたはプロジェクトマネージャーとなってどのぐらいたつのか。


ロン・ディトモア:

A:

私がプロジェクトマネージャーに就任したのは1999年の4月で、プロジェクトマネージャーとして4年になる。


ジェームス・ハロック:

Q:

スペースシャトルの打上げ時のあなたの責任と役割について述べてもらいたい。


ロン・ディトモア:

A:

打上げの2日前に、全ての権限が打上げチームとオペレーションチームに引き渡される。プログラムの管理はManager of Launch Integrationに引き渡され、彼はフロリダにいる私に直接経過報告をする。Manager of Launch Integrationはミッション・マネージメント・チーム(MMT)の議長を務めることになる。わたしたちは皆、Launch Control Centerに集まる。ミッション・マネージメント・チーム(MMT)が最終的に打上げを決定する。ミッション・マネージメント・チームの議長が特に大きな役割をもつ。T-9分には、Manager of Launch Integrationが打上げディレクターに打上げを認められることによって打上げが行われる。

この時間枠内での、私とManager of Launch Integrationの関係と役割について述べる。Launch Control Centerでは少し離れた位置でお互い作業に取り組む。なにか問題や不審点があれば電話で連絡をとる。なにも問題がない時にも連絡をとっている。先ほど"Launch Control Centerでは少し離れた位置でお互い作業に取り組む"と言ったが、面と向かって話しをする必要があっても、お互いの距離は近いので問題はない。私はLaunch Control Center のSenior Management Areaにおり、隣にはAssociate Manager of Space Flightビル・レディが座っている。全てのSenior Managerが近くにいるため、何か問題が発生した場合でも早急に対処できる体制が整っている。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

Launch Director、Manager of Launch Integration、そしてあなたの関係をもっと詳しく説明してもらいたい。私の理解ではLaunch Directorが通常時は指揮をとり、問題発生時に修正を行うのがミッション・マネージメント・チームの作業なのか。


ロン・ディトモア:

A:

その通りだ。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

あなたがミッション・マネージメント・チームの決定を却下することは可能なのか。


ロン・ディトモア:

A:

Manager of Launch Integrationは私が任命した人物だから、打ち上げを中止する権限はある。


ジェームス・ハロック:

Q:

ここ2週間にわたりJSCで、あなたの部下と話しをする機会がたびたびあったが、皆非常に協力的であり、ここにいるわたしたちと同じくらい、すべての事について真相を追求しようというやる気がみなぎっている。あなたがこの時点で皆から感じている倫理観のようなものはどんなものか。


ロン・ディトモア:

A:

全体的には、わたしたちが活動している状況を考えれば、倫理観はかなり良いものと言えるだろう。わたしたちの生活を一変させた出来事から6週間、作業員に関しては毎日良くなっている。この事件に関しての私たちにとって最良のセラピーは、具体的な問題に関して大いに関わるということだ。皆がこの問題に、例外なく関わりたいと思っている。全員関わる必要はないのだが、幹部から技術者まで、全員が関わりたいという熱意をもっている。

目覚めて仕事に来ようとする理由、彼らを突き動かすものは、委員会のあなた方を補佐し、問題を解決し、飛行を再開するために改善できる事があったら、何でも実行するということである。そういう意味で倫理感は非常によい。やる気や、献身性は増しており、システムを詳細に考察し、弱点を発見し、根本的原因とされるものよりも幅広く見ようとしている。根本的原因には関係なくても、システムの全体的な構造を改善できるような、長年存在している他の原因があるのではないかという点を考察し、改善点について私に提案をすることに非常に関心もあり、またかなり関わっている。だから彼らの、委員会の活動を絶対的に100%サポートしていこうという気持ちを感じていただければと思っている。


ジェームス・ハロック:

 

それはよく分かる。


シェイラ・ウィドナール:

Q:

チャレンジャー事故の後、NASAが組織的に変わっていく様子を見ていて、多くの人が、NASAは飛行の安全性を保証するのが重要だという機関から、危険性の保証を必要とする機関に移行している、とコメントしている。はっきりとお分かり頂けるか分からないが、言いかえれば、打上げの決定をする場合に、安全性の保証をするより打上げが安全ではないと誰かが宣言する、基本的にそれを止める必要があるという状態になっているのではないか。

これに関連しての問題は、明らかにエンジニアリングサイドの作業員からふつふつとわき上がる心配事をどのように受け止め、このような先行きの不安を解消するため現実に実行可能なプログラムへどのように移行していくのかということだ。


ロン・ディトモア:

A:

全般的な観察では、プログラム全体でわたしたちは、飛行の安全性を保証するため非常に熱意を持っているということだ。わたしたちの業績がそれを裏付けてくれるだろうと思う。

一例をあげよう。おそらく打上げと飛行は継続できたのに、中止した様々なケースが多々あった。それは、わたしたちがその事象の背景を理解できていないか、納得できないか、飛行の安全性に自信を持つほど十分な話し合いができなかったためだ。そのやり方は正しいと思っている。中止、中断、24~48時間の延期などで、自分たちが納得するまで必要なだけ時間を取り、対策を取ってきており、今話している事を立証する強力な業績があると思う。

去年の夏、技術者のひとりが非常に小さく重要度も低いと考えられる徴候を導線に見つけた結果、全工程が止められたが、何で止めるのだとは言わなかった。誰かが危険性を指摘していたが、わたしたちは、「導線に損傷がある。工程をとめて機体すべてを検査し、問題がどのくらい重大なのか判断する」という行動で応えた。理解できなければ、飛行が安全だとは言えないからだ。それが6週間の延期を引き起こし、プログラム全体にかなりの労力を費やさせた。政府や、民間企業も、学術界からもかなり集中的に労力を集めた。

その年の後半に、もうひとつ同じことがあった。ディスカバリー号(OV-103)の大幅な改修作業中、ビースターと呼ばれる手すりのタイルの追加組み立て工程で小さな徴候が見つかった。それ自体は非常に小さく、もし「飛行の危険性を保証する(中止する)」という雰囲気だったなら、(そのための)書類の処理のみで終わりにされるようなシステムもあっただろう。しかし私たちの場合はそうでなく、すぐに上の管理部に報告され、検査のため再度工程を全部止め、それから飛行の安全が保証されるまで検査を行った。ここでも、飛行準備を継続してよいと保証できるまでかなりの時間と資源が費やされている。

だから、ご指摘のコメントがどこからくるかわからないが、わたしたちのプログラム、機関、文化は、飛行の安全を保証するものであり、それを立派に立証できる業績がある。


シェイラ・ウィドナール:

Q:

第2の質問は、エンジニアリング組織から来るふつふつとわき上がる騒動レベルの心配事やコメントをどのように受け止めて、対策をするかということですが…


ロン・ディトモア:

A:

誰もが手をあげ、問題があると発言できるような、そういった文化を養っていかなければならないと思う。作業員の組織や地位がどのようなものでもあっても、飛行の安全の観点から、問題を発見した場合に幹部に報告できるような文化とプロセスがなければならない。そして現在のわたしたちの文化や手順にはそれが存在していると思う。しかしながら、もう一つ言えるのは、健全な緊張感として、予測・結果が分かってからの批判、チェックの行き過ぎを抑え均衡をとる、物事を問題にしてみる、という文化も養っていかなければならない。分析の結果や試験の結果を問題視して欲しいのだ。問題視されることを脅威には感じないし、わたしたちのためにはそれが健全だと感じる。

だから、わたしたちのシステムの中の人員が、ある解析結果を問題視して話しをしているとすれば、それが私が望む文化というものだ。もし問題があるなら、幹部に報告して欲しいと思っている。このような報告しやすい文化が確立されているのにそうしないのならば、それは、幹部に報告するほど強く問題視していないからだと言わなければならない。彼らがこの問題視をするという段階で、わたしたちが奨励している「もし….なら」タイプの話し合いをしているとすれば、私が言えるのは、そういう文化を養っているということだ。どの幹部にも、オープンに誰でもコメントでき、問題があると誰でも発言できるような雰囲気を奨励し、幹部も意見を聞いていると思う。そうでないとすれば非常にがっかりだ。


ロジャー・テトラウト:

Q:

コロンビア号事故の影響でフライト・ミッションが遅延し、その結果、プログラムが削減されるだろう。あなたはその削減が技術者たちにどう影響するのか、懸念はあるか。


ロン・ディトモア:

A:

今の調査段階では、削減について何も討議していない。その可能性の検討もしていない。調査とは別に、通常飛行に戻るために同時進行で行わなくてはならない作業がいくつかある。すべての作業員にもこの場を借りて伝えたい。現段階で、私たちはプログラムの減退、人員削減、その他の削減を全く考えていない。


ジョン・バリー:

Q:

民営化報告書(privatization report)について、ここに書かれている内容の説明をして欲しい。どういう趣旨で書かれたものなのか。


ロン・ディトモア:

A:

まず、その報告書が書かれた状況と今はまったく違っている。報告書が書かれた2001年の夏、「民営化」は話題を呼んでいた。しかし、民営化について特に統一された意見はなく、論争の余地がまだあった。これからより民営化を進めるのかどうかについて、論議が頻繁に行われていた状態だ。その時、今後の構想をまとめるよう依頼された。

もう一つ関係するのは、シャトルプログラム・マネージャーとしての私の立場である。私は常にシャトル・プログラムの今日、1年後、5年後の安全性を考えなくてはならない。2001年の夏、私たちは基本的な運営問題を抱えていた。プログラムの運営に携わる職員が、10年間で40%から50%に大幅に減っていた。確かに、その一部は開発を強調する体制から、ミッション実施重視へと体制が変わったということも影響している。しかし、それでも職員の減少は止まらなかった。同時に、アウトソーシングや民間セクターの拡大についても今後の方向性が問われていた。

わたしがシャトル・プログラム全体の運営を考える時、重要な点が3つある。まず、必要不可欠な抑制と均衡、安全性を確保するための適度な緊張感、そして技術と経験である。

そして付加価値独立審査(Value-Added Independent Assessment)を維持しなければ、それらの3つの分野で、安全に飛行する問題が軽視されることになる。独立審査が弱くなると、知識や技術力を低め、ヘルシーテンションを与える能力も減り、そしてチェック&バランスを保つ能力も減少する。これはゆっくりとしたペースで進行しているので、すぐには効果や結果がみられない。その上、注意深く考案しなければ、3年後や5年後になって何をしていたのかがわからないかもしれない。いま話したのは、関心を集めている適切な労働力をバランスよく維持するための前提である。これは政府側と民間セクターの両方にいえることだ。さらに政府の役割も変わっていない。私たちにはまだこのプログラムに責任がある。おそらく同じ仕事をするのにより少ない資源と、より少ない技術力でやらなければならないだろう。私たちは、頭脳流出(Brain Drain)、経験や技術を失うことを重要視したい。フライト安全のためのチェック&バランス、ヘルシーテンション、そして組織体を重く見ること。これがレポートの基準である。

私のチームではこの関心事を話し合い、NASA側の管理チームとして最初に求めるのは、職員側のどこに弱点があるかを明らかにすることである。最初の行動は弱体化した部分を見直し、将来的に注意を払うべきことを明らかにすることだ。当時の状況や、効果的でありながら削られていく方針を考えたら、最初の選択は確かなものではなかった。残された信用できる選択は、政府側と民間セクター側両方で最善であるようにどうにか労働力を確保し、飛行の安全性を維持することだ。

そのレポートの話をするときに、2001年に注目を集めた事柄を踏まえた上で考えなければならない。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

Certificate of Flight Readiness Waiversに関しての質問がある、私が理解しているウェーバはオービタ制作過程に関係がある。オービタを修理した際ウェーバが発生される、オービタには数百のウェーバが存在すると思っているが私は正しいか間違っているのか答えて欲しい。


ロン・ディトモア:

A:

ウェーバを認めることに関して我々は厳しい基準を設けている。大半のウェーバの認可はNoon Boardによって決定される。なぜならば多くのウェーバはオービタ制作に必要であるからだ。Manager for Launch IntegrationがNoon Boardの議長を務める。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

一般的に、あなたかあなたが指名した人物がNoon Boardの指揮をとるということか。


ロン・ディトモア:

A:

はい。ウェーバを認める基準は書類に記されている。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

過去のウェーバを検証、調査するプロセスは存在するのか。


ロン・ディトモア:

A:

ある。私は3ヶ月(quarterly)毎に過去のウェーバを制度的に検証、調査している。ウェーバの変更内容そして数を確認する。特に"ハザード"そして"Critical Item List"のウェーバを検証する。ウェーバが多ければシステム(体制)に問題があると認識できるプロセスだと思っている。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

Prime Contract "USA Contract"に関して質問がある。コントラクタに報償と罰則を与える決定権は誰が持っているのか。


ロン・ディトモア:

A:

もし契約が"Award Fee Contract"であるならば私が活動評価委員会(Performance Evaluation Board)を招集し、マネジメントチームとして評価を下す。私たちの決定を最終的にマイク・コステルニック宇宙飛行局次長に報告し、彼が最終的な決断を下す。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

最後に、NASAではプログラムを評価する機関は存在するのか。


ロン・ディトモア:

A:

ない。

 

(ボーイング社のキース・チョーン氏による宣誓と職務経歴の説明が行われる)


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

デルタ4使い捨てロケットの断熱材はどのように使われているのか。シャトルの外部燃料タンクと形態は似ているのか。


キース・チョーン:

A:

同じようにタンクの外部表面に断熱材が使われる。タンクを横にし、ロボットアームでタンクを回転させながら断熱材を装着する。断熱材は、ウレタン modified isosynerate(イソシアネート)フォームを使用している。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

その他の細かな部品部分で、手で断熱材をつけなければならない所はあるのか。


キース・チョーン:

A:

基本的に、断熱材の品質や強度を試すためにpluck-pull testを行ったり、密度を調べたり、レーザーを使いT-bondを検出する。


シェイラ・ウィドナール:

Q:

議長の質問を繰り返すが、その他タンクをつなぐ部分などに断熱材を使用しているのか。またそれはどのように装着するのか。


キース・チョーン:

A:

そういう部分は断熱材を注入している。


シェイラ・ウィドナール:

Q:

レーザーの検査というのは、非破壊分析なのか。


キース・チョーン:

A:

そうだ。


シェイラ・ウィドナール:

Q:

超音波検査も行っているのか。


キース・チョーン:

A:

私が知る限りでは行っていない。


ジェームス・ハロック:

Q:

断熱材の認証基準について。最終的な作業終了の許可の前にどのような検査を行うのか。


キース・チョーン:

A:

CBCに装着する段階で、タンク、スプレーブース、ホース内成分の実時間温度とホースの実時間圧力を計測する。その他に、前方、中央、後方と、両側のドームにpluck-pull testを行う。


ジェームス・ハロック:

Q:

断熱材の老朽化問題はどのように扱われているのか。


キース・チョーン:

A:

デルタ4は比較的新しいプログラムである。まだそのようなデータが観測されていないので分からない。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

燃料タンクはマイナス250度あるいはマイナス400度という低温に保たなければならないので、断熱の必要は理解できる。なぜ断熱材をaerodynamic surface の外側に接着したのか?内側に接着すれば外側を滑らかに保てたはずだ。


キース・チョーン:

A:

私がロックフォール社からボーイング社に転職した当初は、マクドネルダグラス社のチームがタンク内側表面に断熱材をつけていた。検査チーム(inspection group)の立場になって考えると、タンク内側に張られた断熱材を検査するのは悪夢に近いと思った。また、断熱材が収縮して金属基盤から剥離する恐れもあった。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

外側よりも内側に貼った方が剥離しやすいのか?ロケットを断熱する代わりにタンクを断熱すれば良いのでは?つまりaerodynamic vehicle の外側を断熱する代わりに機体を断熱すれば良いのではないか?aerodynamic vehicle は打上げや空気力によって圧力を受けてしまうのに何故か?


キース・チョーン:

A:

断熱材をサンドイッチ状の核の間に挟めば良いということか?


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

タンクの内側に断熱材を入れることで、空気力学的観点からクリーンな外表面ができる。デルタ4の場合とは違い外部タンクの場合、断熱材が衝突しうる、動く物体やパーツ(オービタの翼、主エンジン、control surface, 固体燃料、solid rocket booster等)が周囲にたくさんある。エンジニア的観点からしても、燃料タンクに断熱材を接着して表面をスムーズに保てば良かったと思うが、そうしなかった理由は?


キース・チョーン:

A:

分からない。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

91年、94年に外部タンク・ワークグループ(external group working group) に話を戻そう。あなたは環境問題を考慮し、発泡剤の変更を進めていた。それまではフロンを使っていたのか?


キース・チョーン:

A:

フロン、CFC11だ。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

フロンは環境に有害だ。ではあなたのグループは、その次に良いとされる発泡剤を見つけたのか?


キース・チョーン:

A:

その当時入手できる最高のものだったと思う。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

フロンより優れていたのかそれともフロンの次に優れていたのか?


キース・チョーン:

A:

フロンの方が優れていると聞いていた。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

ではその発泡剤を最初に外部タンクに使用した時、何が起きたか知っているか?


キース・チョーン:

A:

ポップコーン現象が起きたそうだ。


ジョン・バリー:

Q:

デルタ4プログラムにおけるコントラクタの監督状況について聞きたい。またそれに関するNASAのやり方についても聞きたい。


キース・チョーン:

A:

私は関わっていないので答えられない。


ジョン・バリー:

Q:

フロンの代わりにGX6000を使ったのか?


キース・チョーン:

A:

外部タンク用にはNorth Carolina Foam Insulation 24124だ。


ロジャー・テトラウト:

Q:

あなたが関わっていたワーク・グループは代替フロンを探すことが目的だったのか、あるいは外部タンク全体の問題を探していたのか?


キース・チョーン:

A:

より広範囲の問題だ。KSCからは断熱材接着用の別の技術を探すように言われていた。彼らは、2つのコンポーネントによる断熱材をアルギン瓶に入れて振った上で隙間に挿入するという方法を推薦した。それまでは彼らが混ぜたセムキット(?)に断熱材をパッケージしたが、その方法は素早く混ぜないと断熱材が飛び散るという欠点があった。


ロジャー・テトラウト:

Q:

ワークグループは定期的な断熱材喪失現象を問題視していたのか?


キース・チョーン:

A:

それについては誰も話し合わなかった。


シェイラ・ウィドナール:

Q:

あなたのグループの仕事は94年に終わったが、断熱材問題を解決するために外部タンクに対して他に何をしていたか?また、より粘着性の高い断熱材を開発しようとしたか?


キース・チョーン:

A:

そのような問題があったことは知っているが、私自身はETワークグループ下でスプレイ・オン断熱材の仕事に積極的には関わっていない。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

デルタ4ロケット燃料タンクの断熱材の選択肢の検証を行ったか。


キース・チョーン:

A:

現在使用しているノースキャロライナ製の断熱材以外に、日本製の断熱材が候補として上がったが、コスト面での問題により採用されなかったと理解している。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

あなたの知識と経験からして断熱材は水分を吸収することは可能か。


キース・チョーン:

A:

不可能だ。なぜならば断熱材は少なくても90%が細胞含有物であるからだ。残りの10%は断熱材を整えたり、やすりで磨く過程におこるものだ。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

STSシステムは打上げ30日もしくは5週間前に発射台に輸送されることは知っていると思う。あなたの知識と経験をもとに断熱材に水分が含まれているかどうか推測できるか。


キース・チョーン:

A:

もしあるとすれば断熱材の表面部分に付着していると思う。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

マイナス400度という環境の中で氷に変化することはあり得るのか。


キース・チョーン:

A:

ある。


デュアン・ディール:

Q:

外部タンクに関しての意見を聞きたい。あなたの知識と経験をもとに外部タンクに用いるべき調査方法や提案はあるか。


キース・チョーン:

A:

ひとつある。シオグラフィー(?)を用いることだ。


デュアン・ディール:

Q:

他にはあるか。


キース・チョーン:

A:

ない。

 

ハリー・マクドナルド:
(宣誓と自らの経歴の説明)

ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

AIMS研究センターのディレクターとしてシャトルプログラムについての研究をおこなったことに間違いはないか。研究の内容、日時と研究を実行した理由に関して話して欲しい。


ハリー・マクドナルド:

A:

1999年7月25日、スペースシャトルコロンビア号に2つの故障が発生した。1つ目は打上げ時に"ピン"が折れメインエンジンのチューブに損傷をもたらした。2つ目の故障は2つのエンジン・コントローラーが機能を停止した。運よく設計に含まれていた"Bycops(?")が作動し、エンジン・コントローラーの役割を果たした。その結果、スペースシャトルは軌道を周回することに成功し、無事地球に帰還した。後に技術者からスペースシャトルの配線に問題があるという意見が出され、NASA役員は早急に4つのスペースシャトルの配線を点検した。その時、スペースプログラム自体の見直しが言い渡され、特に安全面の検証が重用視された。その結果、私はShuttle Independent Assessment Team(SAIAT)の議長を務めることになった。NASAからの指令は、手続き、整備そして過程の検証を行うことであり、コスト面を排除した提案が要求された。その時の長官ダン・ゴールディンに言われたことは"Leave no stone unturned"であった。1999年10月から2000年の3月まで私たちの作業は行われた。

この報告は問題の理解とそのメリットに関して、非常に詳細にできていると思う。NASAはスタッフ問題をよく考察しないまま合意に達し、動いた。職員側のシャトルのスタッフ削減をすぐに中止した。追加の安全検査と、プログラムのために求められた追加資源、電線検査と修理は広範囲にわたり全機体に対して実施・監視された。そして、私たちが公式な報告を提出する前に、NASAは100人の新しい調査員をKSCに増員し、同日私たちが報告書を公開すると、当時、有人宇宙飛行のassociate administratorであったジョセフ・ローゼンバーグが800人の追加職員をKSCに異動すると発表した。このように、当局としては明らかに私たちの提言を非常に真剣に受けとめてくれたようだ。

私たちの調査結果と120件以上にも上る提言の大規模な内部評価を受け、私が述べたように、すぐに対策がとられたものもある。効果的ではないと判断されたシャトルプログラムは、評価を受けるために提出され、結果が返ってきた。しかし効果的ではないものや、実現までにかなりの資源を長期間にわたって要するものもあり、実施されたものも延期されたものもある。個人的には、多くの提言が実施されず、または出来なかったことは残念に思っている。提言を文書化したものが、この会議の前に私に提出されたので、ウェブサイトに掲載されている。

CIADの報告書では、提言の実施プロセスが別の独立評価チームによって後で検討されるべきだという提言がされている。CIADはまた、技術的専門家チームが宇宙輸送システムの他のコンポーネント、例えば外部燃料タンクやスペースシャトルのメインエンジン、固体ロケットのモータについて深く掘り下げた評価を行うことも認識している。CIADは、私たちのチームには、他のコンポーネントシステムの見直しをするための専門的技術がなかったことも認めている。

しかしオービタのwhat was wrong? Round? Aroundという質問については、若干の問題がシステムの性質から発生するものなので、他のコンポーネントシステムの調査がどうしても必要だった。私たちの提言のひとつは、適切な資格を持った専門家の独立委員会が作られ、スペシャルエンジンや、固体ロケットのモータや燃料タンクの評価を行うというものだ。

CIADのメンバーはまた、オービタ103飛行復帰状況の確認のために、機体の安全性についての評価も要請された。チームで相当の討議を行ったが、結論としては、CIADの回答は慎重に考慮した上で、限定した声明ひとつだけにすべきだという結論に達した。実施されてきた機体の大規模な調査を踏まえて、提案した追加の電線の検査を終了した後には、最近飛行した他のオービタよりも機体のリスクが減少していることはあり得る。CIADは絶対レベルの飛行の安全性や飛行リスクについての見解は発表せずに、最近飛行したオービタとの比較から飛行リスクを表明した。

終わりに、報告書からの2つの声明を繰り返すと、1つは、シャトルのプログラムは現在世界中でも最も複雑な技術を集めたものであるということ。もう1つは、CIADは、長期的にシャトルに関わってきた人員の技術や献身性、熱心さ、宇宙飛行士の安全への配慮に感服している。そして私はこの2つのコメントのどちらも現在でも修正する理由はないと思う。


ケネス・ヘス:

Q:

報告書を読んでいて感じたポイントの1つは、過去の損害を基準としたリスクを受け入れる傾向があるということだ。NASAのような複雑な組織の中で、ある種のメンタリティに影響を与えるものについて何か発見したか?


ハリー・マクドナルド:

A:

実際に、多くの評価と関係者との討議の後、基本的な欠点は、善意の人々の論法にあるように思う。それは、もし1/100のリスクがあるならば、事象は最初にも最後にも起こりうるし、その間の事象が起こる確率は平等であるということだ。しかし、NASAの中には、20回飛行したなら、リスクは1回の飛行の時よりも少ないと考える傾向があるようだ。私たちはずっと、リスクを積極的に見直さなければ、50回の飛行でも60回の飛行の後でもリスクの発生する確率は同じだということを伝えようとした。

どのようにその問題に取り組んでいったらよいのか、心配の1つは、誰もが絶対的な安全性を求めており、安全性が重要視されているという事だ。問題は、それをどのように、安全で効果的なプログラムに取り込んでいくかということだ。これは問題の複雑性を考えるととても難しい。提言の中の数個は、コミュニケーションを密接にすることを狙いとしたもので、私たちは周囲が認識するリスクのレベルについて理解している。たとえば、ピンが突き出ていたという事象の追跡については、私たちはPRACA(問題報告と修正のためのデータベース)にはピンの突起の適切な記録がない事に気づいた。そして、ピンの突起の本当の確率は、1/10なのだ。誰もこの本当の確率について気づいていないようだ。この件の2番目の部分は、シャトルのメインエンジンはチューブが破損されるようには設計されていないということだ。メインエンジンが破損に耐えられるチューブ数は4つだと思うが、なぜか2つだけが破裂したため、実際は目にとまりにくかった。しかし、イジェクターチューブをピンで留めているのは、破損した酸素イジェクターに流れが起きないように修理するためだ。しかしピンで留める本当の理由は、メインエンジン発火の危険性があるためで、これとは全く別の話である。

だから、一方では善意の人からのリスクに関する仮説の提示があるが、システム的な背景からは不適切なものだ。だから、私たちの狙いの1つは、密接にコミュニケーションを図り、データベースを改良し、ピンの不具合の確率について対処し、その不具合の本当の影響は何かという事にすぐに対処できるようにすることだ。

このようなタイプの問題の解決策を求めるためには、安全第一の善意の計画を、安全で効果的なプランに変えていく必要があり、そのためには私たちのプロセスの多くが不十分で、古くさい点に注目して欲しい。長い答えだが、鍵となる問題だと思っている。


デュアン・ディール:

Q:

あなたは、以前NASAに勧告した内容が実行されず失望したと述べたが、その勧告した内容のうち、実行されず、今でも懸念していることをいくつか教えて欲しい。


ハリー・マクドナルド:

A:

報告書をスペースシャトル・プログラムオフィスに提出した際、私たちの勧告について細かい批評が返された。そしてまたその批評に対して私たちは返事を返した。詳細に入る前に、その当時の状況を少し理解していただきたい。

〈CIATの批評に対する返事を引用〉

私たちはこのスペースシャトル・プログラムオフィスからの返事を読み、行き詰まったと感じた。少し時間を置き、別の独立調査委員会が再調査したほうが良いのではないかと判断した。もちろん勧告の中には、私たちの手順の不理解に基づいていたものもあっただろう。しかし、すべてがそうではなかったはずだ。


ジェームス・ハロック(音声のみ):

Q:

いくつかの提案が実施されなかったと言ったが、それについてコメントを。


ハリー・マクドナルド:

A:

私が考えていた計画は長期計画だ。長期化する理由は莫大な情報量があるためだ。シャトルのアップグレードプログラムなどが長期計画のひとつで、これは予算がおりた。他の長期計画で予算がおりると期待していた中に、おりなかったのもあった。


ジョン・バリー:

Q:

問題報告と追跡過程に関して、電子メールのやりとりを知っていると思うが、NASA文化についてコメントを。


ハリー・マクドナルド:

A:

これは最新鋭のデータ管理技術などが導入される前の話だ。そしてそれは本質的に追跡手順であって、特定の問題が解決されるようにできていた。PRACA(Problem Resolution and Corrective Action Database)と呼ばれており、これが現代の技術に応用できるように改良されている。

ディトモア氏のような人は、事実を与えられれば、正しい判断を下すと信じている。それは課題ではない。課題は、その事実を提供することである。多くの事実は複雑である。例えば特定の事例の頻度(わたしたちが調査したpin ejectionなど)もその1つである。あなたがたの場合は、STS-87の断熱材問題 の解決方法、STS-87のflight clearness process、またSTS-87、STS-90、STS-91で同じ問題が再発したときの解決方法などがある。ディトモア氏のような人がFRR のための危機評価を行うときは、過去の様々な事例や資料を即手に入れることができる。それらの資料を見ることができたら調査に非常に役立っていたと思うが、あまりわたしたちは重要とされていなかった。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

CIATの報告書に基づき、あなたはNASAの体制が適切に組織全体を把握し、事前に危機要因を察知することができると思うか。NASAの過失の解決と追跡システムは有効だと思うか。


ハリー・マクドナルド:

A:

特にこの件については、報告書を提出した後、副長官と長官の合意のもと、2つの新しい安全性を目標としたプログラムを開発した。1つはコンポーネントという、最先端の危機評価を行うための研究プログラムである(のちに複雑なシステムのエンジニアリングに発達した)その他には、品質、安全、評価などの手順(Quality,Safety,Assessment technics)の再検討も行われた。これらが実施されているかというと、答はノーだ。


ケネス・ヘス:

Q:

今回の悲劇は、コスト削減とスケジュール履行を目的とする労働力削減によって起きたと言われている。また、労働力側が、安全面と実施面の矛盾を感じたことにもよるかもしれない。あなたはある報告書の中で、「決して運用的(Operational) 乗物とは言えないスペースシャトル・プログラムに産業界の基準を採用すると、労働力に矛盾したメッセージを送ることになる。」と呼べている。あなたは労働者にインタビューした結果、このような考えに至ったのか?


ハリー・マクドナルド:

A:

これは全て労働者へのインタビュー及び、彼らの発言に対する私たちの解釈をベースにしたものだ。優秀かつ責任感あふれる専門家達である彼らは、安全こそが最重要事項と教えられていた。もちろんNASA内部の混乱やリストラについて知っていたし、コントラクタの元で働くことになれば雇用条件が変わる事も知っていた。私たちは安全が最重要だと言いつつも、政府指定の検査事項を省くことで、矛盾したメッセージを彼らに送っていた。必要な省略もあったが、省く必要があったことは伝わっていなかったかもしれない。

彼らはそういうことを一対一のインタビューでは言えても、マネージメント側に対してなかなか言えない。私たちの委員会は独立していたので、言いやすかったのだと思う。


シェイラ・ウィドナール:

Q:

報告書の中であなたはフライトに関する勧告(flight recommendation)を出した。ウェーバーや例外事項の再検討や、オリジナルのスペックを必要としないハードウェアやデザインを受けいれるようなやり方の再検討についての勧告だ。あなたの勧告は受け入れられたと思うか?


ハリー・マクドナルド:

A:

はい、自分の提案の一部は採用されたと思っている。我々が最も心配していたのはウェーバの問題だ。なぜならば膨大な数のウェーバをひとつひとつ検証するには時間がかかりすぎるからだ。もうひとつの問題は、ウェーバも評価(内容)が知識の無い者によって判断、決定されると、今後の過程で大きな障害となる要因に発展するからである。


シェイラ・ウィドナール:

Q:

私にはふたつの大きなリスクが確認できる。1つは増加し、もうひとつは減少している。増加しているリスクはスペースシャトルの老朽化問題だ。減少しているリスクは、スペースシャトルミッションから得る新しい発見、知識やノウハウが要素だと思う。これについて意見を述べていただきたい。


ハリー・マクドナルド:

A:

リスクが何かを確認することが大事だと思う。確かにシャトルは安全になったという結果やデータが出ているかも知れないが、根本的にリスクを無くすことが、安全性の向上だと私は考えている。スペースシャトルミッションの成功は、安全面での向上が原因ではなく、ただ確率の問題だと思う。ミッションを行う度に改善や新しい発見をしてきたが、上記で述べた通り、確認されていないリスクや私たちの理解(知識)が少ない分野のリスクが存在する限り、シャトルの安全性を私は疑問視する。


ジョン・バリー:

Q:

CIAT報告書の課題6に、「スペースシャトル・プログラムオフィスは、人間によるシングル・ポイント障害を、すべて組織的に評価し、除去するべきである」と述べてあるが、NASAはこの勧告にどのように対応したのか。この勧告の詳細を教えて欲しい。


ハリー・マクドナルド:

A:

詳細について述べることはできない。基本的に、私たちは全般的な改良を促す勧告を行っていた。実際に人間によるシングル・ポイント障害が見られた事例を挙げることもできたが、シャトル・プログラムへの勧告は、一つ一つの整備作業を見直すことによって、人間によるシングル・ポイント障害を取り除くというものだった。


ハロルド・ゲーマン委員長:

Q:

あなたの話やCIATの報告書を読んだ結果、考えたことがあり、間違っていたら正して欲しい。雇用者を多く雇うことは問題の解決にならないということだろうか。


ハリー・マクドナルド:

A:

その通りだ。私たちが調査していた配線問題(wiring issue)では、特にその当時、他の方法がなかった。しかし私たちが話していることを全体的に考えれば、本当は処理過程問題なのだ。

 

最終更新日:2003年 3月 7日

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