|
||||||
コロンビア号事故調査委員会(CAIB)公式記者会見(仮訳) | ||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||
記者会見要旨
まず、私が書いたオキーフ長官への手紙について。調査範囲がNASAの管理体制の問題(様々な監視、委員会、組織について)に広げられ始めている。NASAとCAIB両方の調査に加わっている捜査主任の何名かが、調査の対象となるNASA管理体制に係わっている人がいる。NASAではなくCAIBが調査することになる。しかし、直接シャトル・プログラムに関係したマネージャが特に技術面の捜査に係わってはいけない。誰に非がある、責任があるということではなく、調査体制として、重要捜査員がシャトルプログラム管理者であることは、好ましくない。 オキーフはこの提案に賛成した。その手紙に私は特に期限も、人名も特定していない。この体制の変更は進んでおり、私は満足している。 今週の木曜に公聴会を行う。目的はふたつある。ひとつは、我々が調査している内容を、公式に記録することだ。もう一つは、NASA外部の専門家の見解、意見、研究を、正式に発表する機会を設けることだ。 公聴会は論理的な流れで行う。最初はNASAの組織における作業、報告等に係わる責任の所在を明らかにする。まずプログラム・マネージャーであるディトモア氏とJSCセンター長(今回は副所長が代理する)を招く。また、NASA関係者を2人呼ぶ。ハリー・マクドネル氏は引退されているが元エームズの所長で、以前行われた大規模な調査委員会(Shuttle Independent Analysis Panel:SIAP)の議長を務めた。我々もその調査内容に目を通した。もう一人は、断熱材の専門家である、ボーイングのキース・チョング氏である。断熱材の理論的解説をしてもらう。 公聴会はより頻繁に、3週間の内2週間、週2回のペースで行われるだろう。議題も、より深刻に、論争を呼ぶ内容になっていくだろう。段階的に行っていくこの公聴会だが、次は発射・発射前準備の手順について、そして打上げ上昇時、いずれは着陸時のEメールのやりとりなどについて討議する。 ほとんどはヒューストンにて行われるが、KSC、マーシャル、必要があればワシントンでも行う。調査委員会のメンバー追加についても、必要なカテゴリーについて検討が進められており、特にNASAの歴史、文化、予算に詳しい人や物理学者を探している。 CAIBのWEBサイトに大量のアクセスがあった。色々な調査についての提案をEメール等で大量にいただいているが、全部に目を通し、3つのサブ委員会に振り分けてフォローしている。意見は皆貴重なもの。私の話は以上で、これから各担当者に報告してもらう。
我々のグループは主に設備と保守と管理について見ている。設計から各オービタの保守期間にわたるまでの設備、保守を見ている。特に、前回の飛行から今回の飛行までの保守期間について重点的に見ている。 今週はユタ州のサイアコール社において、SRB組立工場の設備と品質管理組織から、文書の流れ等全てを様々な角度から見ている。 我々のメンバーのデュアン・ディール氏はミシュー組立工場(外部燃料タンク)で調査を行った。特に断熱材の組立の初めから終わりまでの全工程、品質管理工程、今回の飛行で使われたタンク等の履歴について見る。 ジョン・バリー氏はパームデールでの調査を行った。パームデールは全てのシャトルが組み立てられた工場だ。シャトルのメンテナンスの工程がまだあり、シャトル内部の保守に対しての作業や文書作成がまだそこで行われている。この調査は複雑である。
それを示すための証拠写真が会見後にウェブサイトに掲載される3枚の写真だ。1枚目がKSCのオービタ整備棟OPF-1のものである。次の写真はディスカバリーが入った他のOPFのものだ。非常に素晴らしい施設だ。膨大な量の文書を調査しており、前回の飛行から今回の飛行の間だけでも、150万に近い文書を丹念にチームで1週間休みなしに働いて検査している。
もう1枚は左主脚格納庫の写真。大変複雑であり、電線、油圧ライン等たくさんのものがある。オービタ全体から、繊細な部分までの全ての作業を調査する。大変時間がかかる。 主要なオーバーホール工程期について見るが、対象文書は2,000万~4,000万になるかもしれない。見落としが無いように、保守とロジスティックのプロセスがシャトル・プログラムの安全な運営のために適切に行われていたかどうか調査する予定。私の報告は以上だ。
グループ3は技術的な問題の担当だ。特定の問題を詳しく検証する。 外部タンクとタイルシステムの担当者はスコット・ハバード委員だ。現在、彼はサウス・ウエスト・リサーチでタイルとRCCパネルのテスト・プランを確認している。「故障の木」解析とセンサー調査はジェームス・ハロックが担当し、シェイラ・ウィドナールは境界層分析(boundary layer analysis)及び航空力学の解析に取り組んでいる。私は、特に主翼前縁システム(RCC製主翼前縁部、主翼前縁を繋ぐステンレス構造)を担当している。またケネディー宇宙センターに運ばれてくるデブリのテストと解析の結果の発表を実行する権限を持っている。 先週の大半はケネディー宇宙センターでデブリの検証を行っていた。シャトルのタイルシステムとRCCシステムの専門家(ハロルド・ゴールドスティーンとドン・レガリー)と検証を行った。
ケネディー宇宙センターに仮のデブリ回収所を設置、責任者はスタンフォードのDr.グレッグ・コーバック氏だ。今からウェブ・サイトに掲載される写真を見せる。写真はデブリの保存、再建が行われている格納庫(ハンガー)の中で撮影されたものだ。 床に青く記されている部分はオービタの翼、後尾そして胴体だ。赤く記されている箇所は主脚格納庫だ。もう一つ小さい格納庫(ハンガー)では内部タンクやエンジンの部品が保管されている。この写真では集められたデブリ全部は映っていない。22,563個のデブリが回収され、その内の16,063個が識別された。回収されたデブリの総重量は32,100ポンド、これはオービタ全体の13.7%の重量だ。 写真の左側に写っている灰色の容器にはタイルが保管されている。先週木曜日の時点で視察した際、105個の容器を確認した。タイルのシリアル番号が確認出来ないため、オービタのどの位置かを推測出来ない。多くのタイルに薄い黒い跡が確認されたが、これは過去には発見されたことが無い、黒い跡からは高濃度のアルミが確認された。タイルの赤い跡は分析した結果、油圧制御用の流体だと判明した。左の内側エレボン・アクチュエーターが発見された。アクチュエーター・チューブに大きな穴(4×2インチ)があることを確認出来た、これはオービタの再突入時に出来たものだと考えられる。漏れた油圧制御用の流体を分析した結果、管に焼け穴ができているにもかかわらず特筆すべきオーバーヒートの現象は無いとの結果が出た。
この写真もウェブに掲載される。上の写真は右主脚タイヤ、下の写真は左内側主脚タイヤだ。 2つの写真を比べると大きな違いが確認できる。左主脚格納庫のタイヤは2つとも回収できた。タイヤの正確な位置の確認もとれた。左右のタイヤには大きな違いが見られる。左タイヤの爆発はイベント(事故)の終盤に発生したと考えられる。タイヤの製造元はミシュラン社であり、調査の支援を要請した。右主脚のタイヤの1つはKSC、もうひとつはKSCに向かっている。前輪タイヤはKSCにある。 約35個のタンクの内、少なくとも25個の胴体の内部タンクが回収され、現在KSC(ケネディー宇宙センター)に保管されている。 オービタの右側の主脚格納庫ドアがほぼ回収された。3つの左主脚格納庫ドアフレームの内側(機体側)の回収もされた。しかし左主脚格納庫ドアはまだ発見されていない。 左翼の前縁部分の話に移ろう。22のRCCのうち、16個を回収し、うちひとつを識別できた。これらの破片はRCCか、あるいは翼の構造上のステンレスであると考えている。破片によってはその両方であることも識別した。週末にRCCパネル9番の分析を行った。分析の結果、アルミニウムとステンレス・スチールの成分が検出された。 我々の仕事は始まったばかりだ。やるべきことは熱の流れを追うことである。まずは翼の亀裂箇所の特定から始める。熱力学や航空力学コンピューターモデル、テレメトリーなどの全ての機材を使い調査をする。テレメトリーに関しては、高い確信をもって、センサーがいつ切れたか特定できる。しかし異常値を示したタイミングについての確信は多少減る。センサーやタイムラインを見るときには細心の注意を払ってみる必要がある。 ほとんどの発見されたデブリは事故の後半にできたものとみている。シャトルの空中分解中、あるいは空中分解寸前の頃と考えられる。事故の早期にできたデブリがもっとも(原因解明の)助けとなる。それらはカリフォルニア州とユタ州上空付近での空中分解からのデブリだ。そして現段階ではそれらの地域からデブリが発見されたり、発見の報告はいっさい入ってきてない。 まとめると、今我々は質問の数のほうが答えより多い。そして今左翼の亀裂箇所がどこであるのかを調査中である。この亀裂箇所がみつかるまでは、すべての可能性は仮定でしかない。
グループ2のスティーブン・ワレスだ。 グループ2の同僚はふたり。ひとりはケネス・ヘス米空軍 Safety Center長。先週、私はKSC(ケネディ宇宙センター)に行った。整備施設(reconstruction facility) からはじめた。また、打上げ前準備審査会議長(launch readiness review chairman) に会った。当グループはオペレーションと訓練以外に飛行準備の認証(flight readiness certification) や飛行準備の認証の過程、軌道上運用のMMT(Mission Management Team)の側面、ミッション・ペイロードも担当している。だから、訪問の目的のひとつは打上げ前準備審査会(launch readiness reviews)に関わっているKSC側の人たちと会うことだった。打上げ準備審査会(launch readiness review)は正式な飛行準備審査会(Flight readiness review)の数日前に行われる。飛行準備審査会は打上げの数週間前に行われる。そちらがNASAの署名がつく正式な審査会(review)だ。 また、最終点検チーム(final inspection team)とも会った。射点で、外側から打上げの前の最終チェックをするところだ。下から上まで外観や赤外線によるチェック、氷、デブリなどをチェックする。 打上げ実施責任者(Launch Director)にも会った。打上げはすべて通常通りだったという。ただし、今までの打上げと違うのは、安全性の問題に関して非常に神経質だったということ。イスラエルの飛行士、現在の時勢などが背景にある。 最終点検チーム(Final inspection team)はまた、打上げ日のビデオのreviewも担当している。シャトルに向けられた19台のカメラがあるが、テープをすぐ取り出して、編集(composite)に入り、当日のレポートを書き上げる。異常(Anomaly)、軽微な異常(funny)、観察(observations)などに映像を分類するのだが、STS-107で見つかったのは全てobservationであった。アンビリカル(Umbilical)、つまり外部燃料タンクからオービタに燃料を供給する部分だが、これも観察(observations)の項目になっていた。氷の脱落や霜も観察されていたところもある。セロファンと似た包装のようなものがあるが、これも吹き飛ぶのが普通である。さらに外部燃料タンクの底部には焦げあとがつくが、これも正常である。このようなことについてレポートしてもらったが、予定通りだったという。 また、ペイロードに関わっているため、宇宙ステーション整備施設(space station processing facility)にも行った。ステーション用の施設だが、今回のペイロードに係わる組立工程に関しては同じ設備を利用していた。 このミッションのペイロードは3つに分けられる (スペースハブ・ダブルモジュール、free star platform、ミッドデッキペイロード)。まだ特に新発見はない。 次に我々が集中する予定なのは、飛行準備やミッション管理チーム(MMT)である。これから1~2週間で多くの聞き取り(面談)を行う。過去の断熱材に係わる処置や、国防省と交わされたEメールの内容なども、フライト準備手順の調査に関わってくる。 飛行復帰の条件には、ふたつの項目がある。まずISSの運営を確保するために、誰が、何の目的で、行くべきかというbig picture。また、我々は短期間においての勧告を行う。我々の手順は民間航空の世界と似ている。国立輸送安全委員会(NTSB)も調査に深く関わっている。その民間航空の事故手順と同様、特定の事故要因を排除し、影響を最低限に抑え、許容範囲に収まる状況を確保し、通常体制を復帰する。 先週、1日平均で4,000人と12機のヘリコプター、及び固定翼でデブリの調査に当たっている。NTSBには感謝している。海軍のダイバー達はテキサス州西側の湖を調査してもらい、重要なデブリを発見した。
| ||||||||||||||||||||||
最終更新日:2003年 3月 5日 | ||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||
|