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コロンビア号事故調査委員会(CAIB)公式記者会見(仮訳)

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2003年2月19日 午前5時00分(日本時間)

今後、できれば毎週火曜に委員会による定例報告を行いたいと思う。

ハロルド・ゲーマン委員長

まず、今週の委員会の活動報告をする。そして各サブボードのメンバーの方からも報告がある。右からジョン・バリー空軍少将。彼は設備・マネージメントに関する問題に取り組んでいる。それから米国連邦航空局(FAA)のスティーブン・ワレス、オペレーションやクルーに関する問題に取り組む。それから運輸省のジェームズ・ハロック博士、エンジニアリング及び技術解析の問題に取り組むグループに属する。彼らが話した後に質疑応答に入る。

先週末にかけて、私たちはケネディ宇宙センター(KSC)、マーシャル宇宙飛行センター(MSFC)、ミシューの外部タンク組立工場施設内で何百人ものNASA職員及びコントラクターと会った。情報は随時公開してきたので、今日、一週間分の大量の情報を公開することはないし、冒頭に読み上げる特別に新しいこともない。今週、熱解析結果、写真など興味深いものが出てきたが、これらの情報もその都度公開してきた。

コロンビア号の事故原因を慎重かつ迅速に追及するために、私たちはあらゆる可能性を追求している。また、直接の原因に影響を与える可能性のある予算、マネージメント、workforce、安全の問題など、あらゆる可能性も加えている。

10人目のメンバーが加わった。マサチューセッツ工科大学(MIT)の空気力学専門家(aerodynamicist)のシェイラ・ウィドナールだ。彼女は高速空気力学の分野で専門知識を提供してくれる。

また、今後も当初のNASA職員に代わってNASA以外のスタッフを委員会に加えていくつもりだ。たとえば私の左にいる方も今週、プレス担当の人もNASA以外のスタッフと交代する。ワシントンDCオフィスも開いた。これは主に議会及び大統領府との連携を深めるためのものだ。トーマス・カーター氏が代表となる。

来週より公聴会を毎週木曜日に行う予定。場所と時間は未定である。この公聴会はふたつのパートに分かれる。まず、証人を呼び事実関係を公開・記録していく。

第2のパートは、それぞれ独自の研究の元、事故原因に対しての仮説や意見を我々に報告したいと申し出た専門家たち(米政府外)を招くことである。

これから継続して行う公聴会は全てこのパターンで行う。まず証人からのヒアリングを行い、次に政府外の信頼の置ける専門家たちの意見を聞く(分析・調査の独立性を保つ)。

CAIBに直接問い合わせをできるシステムを確保している。(NASAに関係なく連絡できる)メールアドレスを作った。録音付きのフリーダイアルもまもなく使えるようになる。CAIBのウェブサイトも制作中である。

CAIB独自の事故調査方法(Road Map)を確立している。NASAのFault Tree Analysis(FTA)だけに頼るのではない。

先週、KSC、MSFC、ミシュー組立工場にて、何百人ものNASA関係者、NASAコントラクターと会って、話を聞いた。学ぶことも多く、これから追って調査すべき内容も数多かった。各スタッフの努力と意識に感心している。

CAIB関係者たちは全米各地を回り、今週後半には、またKSCやマーシャルに戻って調査を続ける。事故調査の効率は急速に上がっている。

破片回収作業は、依然重要である。重要な証拠はまだ残っていると思われる。ボランティア、民間・政府機関などの協力に感謝している。約4,000の破片がKSCに集められた。その内2,600の破片は分析・分類された。10,000の破片はバークスデール基地、またはKSCに輸送中である。一般の方々にも、引き続き破片回収に協力をお願いしたい。

コミッションの目的を達成出来ると思う。幅広く、念入りに調査を行い、事故調査委員会の独立した体制を保ち、調査を進行させつつISSにいる3人の宇宙飛行士の問題を考慮した上で事故原因の解明を行っていく。
隣にいる同僚を紹介する。現在行っている作業の一部のサンプルを発表する。これは作業の内容を理解してもらうためである。その後質問に答えたい。

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回収された破片の一部

 

ジョン・バリー空軍少将(Material Management Group)

幅広く、念入りに調査を行うこと。我々の目的はこのような事故が二度とおきないようにすることである。現在の我々は、事故につながるあらゆる要素を確認しようとしている。新しい情報、事故原因の発表はないが、消去法を用い事故原因になり得ない要因を消していく段階にいる。もちろんシャトルの左翼部分に注目が集まるが、我々のやらなければならないことは事故原因に成り得る要素をみつけることである。オービタ自体、内部、外部を検証していく。

グループ1の構成は私をいれてステファン・ターコット、デュアン・ディールからなる。我々はユタ州サイアコール社、カルフォニア州パームデール(オービタ組立工場)、KSC、マーシャルを訪問する予定である。我々の責任を大まかにまとめるとすれば、それは、メンテナンス、設備及び管理である。

メンテナンスと設備について、まずシャトル・システムの検証とオービタの着陸から打上げまでの工程について検証していく。全ての要因、要素を調べる。RCC製主翼前縁部、オービタのデブリ、車輪格納庫、外部燃料タンク、固体ロケットブースター(RSRM)、全てのシャトルシステムの機能を統合した上での検証を行っている。

3つの特定部分に注目している。ひとつ目は、研究開発という環境の中で老朽化する宇宙船の検証である。ふたつ目は、オービタの改良作業が(Orbiter Major Modification: OMM)カリフォルニア州パームデールから全てKSCに移管したこと。

3つ目は、改良作業がKSCに移管したことに伴い、パームデールで改良作業を行っていた下請け業者(ベンダー)の閉鎖によるもの。これら3つのメンテナンスの現状成果は問わないが、これからそれらの責任が果たされたかを解明していくことが必要である。

マネージメントについては、スペースシャトルプログラムにおけるマネージメントの判断に注目している。マネージメントもメンテナンス同様に主に3つのエリアがある。ひとつ目は、コントラクターに対するNASAの管理、ふたつ目は、コントラクターからNASAへの移行上の管理、3つ目は、NASAからコントラクターへの移管作業増加による品質保証維持への影響。

この3つのメンテナンスと3つのマネージメントが、これから我々の今後の行動を決めていく。さらに事故原因解明につながる要因をできるだけ早く見つけることが大切だ。

 

スティーブン・ウォレス米国連邦航空局事故調査部長

委員長も話したように、私たちはオープンな調査をしていく。様々な分野グループに分かれて調査しているが、グループ間の境界は柔軟にしているし、それぞれの活動分野が重なることもある。アメリカ空軍安全センター(Safety Center)のケネス・ヘス空軍少将もメンバーである。また、医者及び元宇宙飛行士からの、様々な支援を受けている。

私たちのグループの焦点は打上準備完了審査(flight readiness)などにおける全ての決定プロセスなどだ。安全やリスク管理やそれに関連するプロセスにも注目していくので、ジョン・バリー空軍少将のグループのテーマと重なる部分もあるだろう。現在、私たちのグループは(事故と関係のない)様々な要素を排除するプロセスを行っているため、マスコミが注目している様々な事故原因には焦点をあてていない。打上げ決定に至るまでのプロセスを追っている。例えばグランド・コントロール、フライトクルーなどオペレーションに関わったスタッフ全員のトレーニング及び資格を調査している。もちろん何も問題はないと思うが、これはルーチンワークとして行っている。

次にペイロードの分野も調べている。STS-107は32個のペイロードを積み、59種類の多岐に渉る実験を行っていた。ペイロードに関しても何ら事故原因となる要素はなかったと思うが、これもひとつひとつ丁寧に調べていく予定だ。最初はジョンソン宇宙センターを調査し、その後、別の施設に移動し調査を進める。ゲーマン委員長が言ったように、私たちは必ず事故原因を解明するつもりだ。

 

Dr. ジェーム・ハロック米国運輸省航空安全部部長

私は技術・エンジニア面の調査メンバーを代表している。我々の焦点は事故自体である。シャトルの発射時から墜落までを徹底的に研究している。私が代表する調査メンバーは、スコット・ハバード、ロジャー・テトラウト、そして新メンバーのDr.シェイラ・ウィドナールである。

依然、膨大な解析すべき内容があるが、同時にNASAの調査、破片回収作業、一般からの情報提供も重要であり、全ての情報が集まっていないため、調査は若干遅延している。

現在集中して取り組んでいるのは、事故が起きた環境を理解することである。私が関わったことのある航空事故調査は、いずれも約1,000フィート上空で起き、今回は200,000フィートと、随分状況が違う。その環境で発生する超高温ガスの影響、通常の場合と異変がある場合の違いを見分けなければならない。

我々はシステム・アプローチを用いて調査を行っている。例えば、ひとつのタイルについても、その接着剤、アルミ下部構造など、全ての要素がどう関わり合っているのかを解析している。各構造部の特質、それらが超高温ガスにどう影響されるのか、シャトルの下降時の影響など、集中的な分析を行っている。

我々が注目しているものの幾つかに、メインランディングギアや高熱量関係の問題などが挙げられる。原因解明には、逆算していくことも大切である。事故の原因がタイルに問題があったのか、あるいはRCCに問題があったのか。さらにそれらが事故の原因ならば、何が原因でその問題が起きたのか、軌道飛行中に宇宙の塵や小隕石に当たったのか、 あるいは打上げ時の事故が原因だったのか。この打上げ時の事故も断熱材が原因だとしたら、断熱材そのものが原因だったのか、あるいはそれについている鉄片が原因だったのか、あるいは氷が事故を起こしたのか。まだ我々には様々な原因と考えられる要素が数多くある。また主脚格納庫のドアも注目している。格納庫のドアの周りには無数のタイルシールがあり、高熱ガスが入り込む可能性のある場所でもある。宇宙のゴミも原因の可能性があるが、その塵が浮遊しているであろうシャトルの飛行領域の環境も検討中だ。

また我々はひとつだけを見るのではなくフライト全体を通して調査中である。シャトルが軌道上飛行中に何かがシャトルから離れたとされているが、これが何だったのかも調査中である。これら全ての要素は原因解明のための手がかりやきっかけの一部である。しかしこれらの調査はまだしばらく時間がかかるであろう。

時間がかかる理由のひとつは、数多くのデブリが回収されているがそれらひとつひとつの重要度がまだわかっていないことにある。デブリそのものにも問題があり、デブリには小さなものや、それが燃えたデブリなのか、爆発で吹き飛んだデブリなのかもまだ不明である。いま集まったデブリを調査しながらも、これから発見される様々な事にも注意している。

 

ハロルド・ゲーマン委員長

私の役割は、進行している各調査のまとめ、関連性の見極めなどもあるが、この事故が起きた状況について考えることも含まれている。ここ数年の研究、有人飛行プログラム、チャレンジャー号の事故など、この事故が起きた経緯と、現在の宇宙開発・探検プログラム全体でこの事故がどう位置するのかについて、この調査委員会は最終的に報告する。

来週の火曜、大体同じ時間に会見を行う。
一週間ほどでウェブサイト・フリーダイアルを立ち上げる。

Columbia Accident Investigation Board Charter(PDF 24.2KB)

 

最終更新日:2003年 2月19日

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