ロン・ディトモア(スペースシャトルプログラムマネージャ):
昨日の追悼式はすばらしかった。国中の方々、メディアに方々に感謝したい。引き続き困難な日々が続くが、だんだんよくなってきました。人間的なプロセスが始められるようになりました。いろいろな人のサポートがありました。
作業は加速しつつあります。タイムラインについては多少の進歩はありますが、過去24時間でほぼ安定してきたので、今日は新しい報告はありません。
以前報告した32秒間の追加データについては、うまく回収できていません。もっと時間がかかります。32秒間の情報は存在するがデータの信憑性に確証がまだ持てないのです。情報が抽出できれば報告します。
左翼の温度上昇とセンサ喪失については、熱源がどこにあったのか、現在、reverse
analysisによって原因究明を試みています。フライト・コントロール・システムに関しても同様のreverse analysis中で、空力反応とジェット噴射を誘発した空気抵抗や空力負荷を割りだそうとしています。
原因については、特定の題材に絞り込むことなくあらゆる可能性を模索しています。故障の木解析(Fault Tree Analysis: FTA)を、オービタと外部燃料タンクの両方に関して作成しています。両者が密に関連していると思うので、両分野でcomplimentary
analysis を進行中(外部燃料タンク、断熱材衝突、タイル強度のテスト)です。
今日は皆さんに見せるために断熱材を持参しました。超軽量で弾力性があり、タンクの気温を低く保つための断熱効果があります。タンク周辺の空力負荷(aerodynamic
load) と気流(flow stream)の抵抗を減少させるようにデザインされています。
このタイルはクラストがついています(大部分の断熱材がそう)。タンクの部位によっては表面が滑らかな断熱材もあります(柔らかく空力効果高い)。ごらんのように超軽量で壊れやすく、粉々になりやすいのです。
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断熱材の衝突前(左)、衝突後(右) |
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打上げ時の写真による解析を継続しています。解像度を改善しようと努力しています。発射時の写真を持参しました。この写真には17フレームもの情報が取り込まれています。左は衝突前の写真、右は衝突後です。これらはビデオで撮影されたので残念ながら解像度が低く細かい解析には適しません。しかしふたつの写真を比べると大きな損傷は見られません。より情報を得るため解像度を上げようとしています。総体的には何も深刻な問題は見つかりませんでした。
さらに写真などの解析について全国の一般市民から多大な協力を得ています(特にカリフォルニア、アリゾナ、ニュー・メキシコ、西テキサス)。数日前の問いかけに続き、何らかの写真や情報を持つ者は是非話を聞き、その情報をいただきたい。(ビデオや写真など)
情報提供者はNASA緊急オペレーションセンター(NASA Emergency Operations Center)(281-483-3388)に連絡してください。
各サイトでは引き続き破片を敏速に回収しています。最初のトラック1台分の破片がバークスデール空軍基地のstaging
areaに届きました。これからの数日、破片が回収されるペースは急速に高まると予想されます。今週末までには大量の破片が届く予定です。
赤札(特に重要な破片を識別するために付けられる札)を付けられた破片はまだ回収されていません。回収されればすぐにエンジニアが分析します。当分回収された破片はバークスデールで保管されるが、最終的にはケネディ宇宙センター(KSC)に搬送されます。
タイルについて情報を加えて言うと、スペースシャトルの飛行があるたびに、スペースシャトルの胴体下部のタイルには損傷が起こります。平均で100箇所以上のタイルが傷つきます。その内、25~35%の損傷は1インチ以上になります。しかし112~113回の飛行を行ってきた中で、それでもこれまで安全上の問題になったことはありません。比較的損傷が多かったフライトもあります。それぞれの場合、問題の究明をし、是正されてきました。そのうち11回のフライトは著しい数の1インチ以上の損傷が見られました。地上に戻ったスペースシャトルのタイルを点検するときの要因は損傷の数、1インチ以上の損傷の有無です。タイルについては常に調べられている部分です。タイルの深刻な問題について3つのレポートが出されています。これら1990年、1994年、1997年のレポートは公開されています。
断熱材は水分を吸収しません。非常に水分に対する耐久性が高いのです。(吸収すると重さが増えるため)氷について条件がそろえば燃料タンクに付着する可能性があります。しかしこれに関してはどこにどの程度の氷がついてよいか厳しい基準があります。この基準をクリアーしているか確認するため、発射前の燃料充填の後には必ずアイスチームが外部燃料タンクの外部に付着した氷を隅々まで点検します。アイスチームはlaunch
complexに戻りミッションマネージャに報告します。氷の付着が基準に合致していなければ、打上げは延期されます。発射が容認されるためにはこの氷の度合いが非常に重要です。
デブリの衝撃解析については、20×16×6インチ、重さ2.67ポンドのデブリが当たったと思われます。この重さについては安全側にみてマージンをとって解析しているが、この断熱材を持ってみてもらえればわかります。発射82秒後の対気速度は750フィート/秒でした。スペースシャトル自体は2,300フィート/秒で加速しますがオービタと燃料タンクの間のlocal
velocityは750フィート/秒程度です。我々の解析では衝突スピードを倍の1,500フィート/秒と予測しました。
つまり、対気速度、デブリの重さともに安全側にマージンを十分とって、いろいろなケースで解析しました。ツールを使用してダメージを実際チェックもしました。エンジニア、マネジメント、チームとしてこの断熱材の衝突が飛行に支障を起こしたとはとても考えられません。
そこで、他の原因を追及しています。我々は見落とした部分があるかどうかの調査に力を注いでいます。他に原因があるはずです。そのため故障の木解析(FTA)を進め、ありとあらゆる可能性を探っています。
もうひとつ言いたいことは、各フィールドで、デブリ採集に当たっている方々に注意を呼びかけます。採集には十分な注意が必要です。毒性のある物質、まだ解明されていない危険が存在するかもしれません。
火工品は見た目ではわかりにくく判断が難しいものもあります。内部は爆発する可能性があるので、扱いには細心の注意をしてください。バッテリーでも毒性が強いものがあるので注意が必要です。毒性が強いだけではなく、装置が中に入っているものがあるということなので、注意してください。