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宇宙実験サクッと解説:茎の形態実験編


宇宙実験調査団のピカルがAniso Tubule実験を大調査!
実験提案者の曽我先生とも仲良しの物知りハカセに聞きました。

物知りハカセ

ピカル

ピカル:

ハカセ、こんにちは。 今度のAniso Tubule実験は、Resist Tubule実験の保尊先生と長年一緒に研究を続けている曽我先生の提案と聞きました。

ハカセ:

そうじゃな。曽我先生は、保尊先生のところで以前から宇宙実験に関わっているのじゃ。それに今年実施予定のアズキを使った宇宙実験「アジアの種子2013」にも加わっているんじゃよ。
さて、ピカルはResist Tubule実験で勉強したことを覚えておるかのう?Aniso Tubule実験もResist Tubule実験と同様に、植物が重力を感じて、重力に打ち勝って成長するために体を丈夫にしていく仕組みを詳しく調べる研究じゃ。

ピカル:

だから「Tubule」のところが同じなのですね。確か「Tubule」は管(くだ)って意味じゃなかったですか?管のことをチューブっていうし。
そういえば、Resist Tubule実験の時に微小管という、小さな管のことを勉強したことを思い出しました。

ハカセ:

うむ、よく覚えておるな。ピカルは2008年からこのシリーズを始めてもう5年、数にすると30近くもの宇宙実験を勉強していることになるな(ピカルの解説シリーズ一覧はこちら)。もう立派な宇宙実験のエキスパートといえるぞ。
まずはResist Tubule実験で勉強したことの復習じゃ。表層微小管は、細胞壁の構造を細胞膜の内側から支える役割があり、細胞膜の内側に沿ってたくさん並んでおる。その配列と垂直の方向に細胞は成長するんじゃったな。そして微小管が並んでいる向きとセルロースの合成が行われる向きは同じで、これによって細胞壁が強化され、しっかりした茎が上に伸びていけるわけじゃな。

ピカル:

そうそう、重力をかけてやると、重力をメカノレセプターで感じて、微小管の向きを変えて、その結果、セルロースの合成の方向が変わって、細胞が横向きに大きくなるってことでした!

ハカセ:

そうじゃ。Resist Tubuleは2012年10月から3回に分けて宇宙実験をしているんじゃ。次はAniso Tubuleじゃ。

ピカル:

でも、Resit Tubuleとの違いってなんですか?それにAniso Tubuleの「Aniso」ってどういう意味なんですか?

ハカセ:

そうじゃな、まず一つ目の質問の答えじゃ。微小管を光らせてリアルタイムで観察することはResit Tubuleと同じ。しかし使う顕微鏡が違う。

ピカル:

へえ〜!新しい顕微鏡ですか?

ハカセ:

そのとおり。JAXAが新しく開発した顕微鏡で観察するんじゃ。顕微鏡はこれまでの実験でも活躍していたが、時代に合わせて、より性能の良い顕微鏡を使うことにしたんじゃよ。見たいもの、条件に応じて、使う機材も変えていくのがJAXAのやり方じゃ。前の顕微鏡も用途に応じてまだまだ使うんじゃがね。

ピカル:

へえ〜!やっぱり時代が進むと技術も進み、電化製品も買い替えますからね。宇宙も同じなのか。身近に感じます。

ハカセ:

もうひとつの質問への答えじゃが、Anisoというのはanisotropicという形容詞から来ていて、「異方性の」という意味を持つ。

ピカル:

いほうせい?

ハカセ:

細胞は、何も影響されるものがなければ、中心から均等にまんまるに成長するはずなのじゃ。ところが、植物の細胞は均等ではなく、縦長方向に成長する。均等じゃないことを、異方性と呼ぶんじゃ。細胞の成長の方向を決めているのが、細胞壁の内側に並んでいる、微小管なのじゃ。曽我先生は、微小管の方向が、重力による細胞の形づくりに大きく影響していると予想しておる。今回は顕微鏡も高性能になったことだから、細胞の表面の微小管の方向の違いがもっとよく見えると期待しておる。

ピカル:

新しくなった顕微鏡で、微小管の方向をよく見るということなんですね。

ハカセ:

うむ。茎の細胞を拡大して、微小管を見るのじゃ。

ピカル:

へえ、すごいですね。

ハカセ:

しかもこの実験、1実験が割と短い時間でできるようになっておって、宇宙飛行士の時間が余ったときなどに時間を無駄にすることなく、やってもらうように計画されているのじゃ。

ピカル:

どのくらいの時間ですか?

ハカセ:

1個の実験で1時間半くらいじゃ。打ち上げるサンプルは、顕微鏡ステージにセットするためにあらかじめシロイヌナズナの種子を内部にセットした容器と、水やりの注射器だけで、水をやったり、顕微鏡にセットしたり、1回の作業がそれぞれ20分くらいでできるから、とっても柔軟に計画できるんじゃよ。宇宙飛行士はメンテナンスやたくさんの実験で忙しいから、一度に何時間もかける実験はスケジュール調整が大変で、ここぞという時以外はなかなかできんのじゃ。

ピカル:

宇宙飛行士って忙しいんですね。分刻みでスケジュールが決まってるって聞きました。Aniso Tubuleでは、全部で何個の実験を行うんですか?

ハカセ:

合計10個のさまざまなシロイヌナズナの変異体を準備して実験するんじゃよ。最初の5個は、今年種子島から「こうのとり」で打ち上げる。残りの5個は来年打ち上げる予定じゃ。

ピカル:

全部で10個も調べるんですか?いっぺんに実験しようとすると15時間もかかるところを、宇宙飛行士の空き時間で、効率よく実験していくわけですね。それにしても、繰り返して10回の実験を行うと、微小管の抗重力反応における役割を調べるためのデータは、かなり得られそうですね。

ハカセ:

さすがピカル、よう分かっておる。今回の実験で、Resist Tubule実験で知ろうとしている「植物が重力を感じて、伝えて、反応する過程」がさらに詳しく、明確になると期待しておる。ほんに、細胞の形を変える原動力は何じゃろうな。

ピカル:

ハカセ、植物って、僕たちの食生活の基本だし、種子で保存しておけばわりと長持ちするから宇宙実験にぴったりですね。重力が小さいところで細胞はどんな形に変わるんだろう・・・。宇宙の顕微鏡で見るのが楽しみです。

ハカセ:

うむ。早ければ、今年中に1つ目の結果が出るようじゃよ。

ピカル:

わくわくしますね!こういう基礎研究をもとに、将来宇宙に出た人類が野菜をちゃんと食べられたり、地上で植物の形を自在に変えられたりするといいですね。今日はどうもありがとうございました!


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