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実験目的と内容


高品位で均一組成を持つインジウムガリウムアンチモンを成長させるためには、どうすればいいのでしょうか。

そのためにはまず、原料から種結晶への熱や物質の運ばれ方、そして成長中の結晶表面での物質の取り込まれ方を明らかにすることが大事です。

結晶ができるときの結晶表面近くへの物質の輸送や熱の出入りは、地上では対流と拡散の2つが関わりますが、宇宙の微小重力環境下ではゆっくりとした拡散だけが司ります(図2)。地上と宇宙の両方で同じ実験を行い、できた結晶の品質を詳しく比較して、原料から種結晶への熱と物質の運ばれ方を調べます。

また、結晶には面方位(結晶の幾何学的形状により定まる平面の方向)があって、その方位によって結晶表面での物質の取り込みが異なる可能性があります。地上では対流があるために、面方位による物質の取り込みの違いを調べることは困難ですが、宇宙で作った結晶を解析すれば、インジウムガリウムアンチモン結晶の品質を左右する物質の取り込みの違いを調べることができます。

この2点に注目して、「きぼう」に搭載された温度勾配炉を使って結晶を作る実験を行います(図3)。

写真:専用機器内部

図2 地上と微小重力環境における対流の影響

地上では重力により自然対流や拡散が影響し、微小重力環境(宇宙)では対流の影響が無くなり拡散だけが液体の流れに影響を及ぼします。

写真:種結晶の再成長の様子

図3 収納容器に収まった供試体カートリッジ

供試体カートリッジは、カートリッジ部(試料が封入された部分)、サポート部(カートリッジ部とボス部をつなぐ部品)、ボス部(電気的・機械的インターフェース)、から構成されています。インジウムガリウムアンチモン結晶を作るための原料や石英ガラス製容器は、カートリッジ部(図3の灰色の左側先端)に内蔵されています。

ココがポイント!


インジウムガリウムアンチモンは、中赤外線に反応して光を電気に変える性質をもっています。熱光発電装置や各種のガスセンサーにはとても重要な材料ですが、今の段階では結晶育成の難しさが実現化に向けての大きな壁となっています。

しかしこの実験で良質な結晶を成長させることができれば、実社会での利用も大きく進むことが期待されています。それは温暖化の要因となっている二酸化炭素の排出を抑えることになり、地球環境を守ることにもつながっていきます。

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