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振動流の謎がわかる!?
宇宙実験調査団のピカルくんが
西野先生をたずねて横浜国立大学にやってきました。 |
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西野先生
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ピカル
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ピカル: |
西野先生、はじめまして。
「きぼう」で流れの実験の次のシリーズが始まると聞きまして、今日は、流れについてもっと深く勉強しようと思って、やってまいりました。
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西野先生: |
横浜までようこそ。
今日はお父さんの運転する車に乗ってきたそうですね?
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ピカル: |
はい。
渋滞しちゃって、間に合うかどうかヒヤヒヤしました。
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西野先生: |
渋滞も車の流れですから、私たちの研究に全く関係ないわけじゃないんですよ。
流れの研究は、実は私たちの生活に密接な関係があるんです。
車のエンジンだって、流れがとっても重要なんですよ。
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ピカル: |
え〜っ、そうなんですか?
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西野先生: |
車は、ガソリンと空気の混合ガスに火花を飛ばして混合ガスを爆発させ、そのときに生まれる力を利用して動きます。
このときに重要なのが、ガソリンと空気を上手に混ぜることなんです。
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ピカル: |
うまく混ざらないと爆発の効率が悪くなるわけですね。
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西野先生: |
そのとおりです。
エンジンの中には、ガソリンと空気を送り込む吸気ポートというのがあるんですが、この吸気ポートの設計をよく考えないと、所定の馬力がでないわけです。
うまく設計できていると、ガソリンと空気という2つの「流体」は、「乱流」という乱れた流れによってきちんと混ざることになります。
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ピカル: |
さりげなく「乱流」という言葉が出てきましたね。
イメージとしては、激しい流れってことでいいでしょうか?
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西野先生: |
そういう理解でかまいません。
私たちの生活の中で見られる空気や水の流れは、ほぼ全てが乱流といってもいいくらいで、あちこちで乱流を観察することができます。
たとえば、台風やハリケーンの強風もそうですし、頬をなでる心地いい風も乱流なんです。
ピカル君も外から帰ったら、まず手洗いとうがいをするでしょう。
蛇口からでてくる水だって乱流なんですよ。
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ピカル: |
へえ〜! ほんとに身近なところに乱流はあるんですね。
実験の解説ページを読んだところ、「マランゴニ対流」がだんだん激しくなると「振動流」になって、最後は乱流になってしまうと書いてありました。
マランゴニ対流については河村先生の解説でだいぶ理解できたんですが、振動流がいまいちよくわかりません・・・。
表面流速とかいう言葉もでてきたりして、ちょっととっつきにくいです。
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西野先生: |
そうですね、では、まず川の流れを想像してみましょうか。
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川の底は、岩などがあるので、邪魔されて流れが遅くなります。
逆に水面のところはさえぎるものがないので速くなるわけですね。
川の中の水の流れる速度を調べると、水面から川底にかけて、速度分布がつくわけです。
水面の水の速度を表面流速といいます。
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ピカル: |
な〜んだ、簡単なことですね。
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西野先生: |
そうそう、流れって身近なものですから、そんな難しいことじゃないんですよ。
では次に振動流ですが、これは実は難しいんです。
はっはっは。
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ピカル: |
え〜っ、先生、そんなあ・・・。
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西野先生: |
いや、ここが実はよく分かっていないところなんです。
だからこそ、研究する価値があるというわけですよ。
振動流とは、脈を打つような時間変化を伴った流れのことです。
といっても、なかなかイメージしにくいと思うので、ちょっと動画を見てみましょうか。
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定常流から振動流へ
(クリックすると動画が再生されます)
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ピカル: |
うわ〜!
ほんとだ。
先生、10秒目くらいからトクン、トクンと脈を打つような流れに変わりました。
これが振動流なんですね。
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西野先生: |
その通りです!(西野先生、ちょっと得意気)
どういうときに、定常的で静かな流れから振動流に変化するかについては、まさにこのMEIS実験で研究を開始したところです。
2008年夏に行ったMEIS-1の実験では、シリコーンオイルという液体で大きな柱(液柱)を作り、その中の流れを調べましたが、どうも液柱の大きさにはよらず、ある一定の規則に則って定常流から振動流に変化するようだということが分かってきました。
これから行うMEIS-2の実験では、条件をいろいろ変えてみて、その規則について深く調べようと思っています。
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「きぼう」で形成された長さ60mmの液柱
(2008年9月27日13時56分頃)
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ピカル: |
まさに今から振動流について知見を深めていくという状況なわけですね。
ところで、液柱の中や表面の流れの速さって、どうやって測っているんですか?
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西野先生: |
さすがピカルくん、いい質問ですね。
液体の中に、きらきら光る「トレーサー」と呼ばれる小さな粒子を入れています。
これの光る具合を詳しく観察すると、液体の中の流れがわかるんです。
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ピカル: |
へえ〜、賢い方法ですね。
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西野先生: |
もっと賢いこともやりますよ。
紫外線を当てると一定時間変色する「フォトクロミック染料」という色素を混ぜます。
そうすると、液柱の表面や内部の変色スポットが時間とともにどのように移動するかを調べることで、流速が分かります。
データ解析を工夫することで、表面流速の計測ができるわけです。
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ピカル: |
すごい!
これで振動流の秘密がとけるといいですね。
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西野先生: |
振動流はきれいな結晶を作る時にも関係していますから、ぜひとも秘密を解き明かしたいものです。
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ピカル: |
先生、今日はありがとうございました!
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