この実験は溶液結晶化観察装置(SCOF)という実験装置を使って行います。
この実験装置は顕微鏡と干渉計を備えており、結晶成長過程を詳しく調べることができます。
この実験に用いる供試体(注1)の写真を図3、図4に、セル部の模式図を図5に示します。
供試体は溶液結晶化観察装置の中に設置します。
供試体の核形成セルの温度を冷やすと氷ができます。
その氷はガラス細管を通って結晶成長セルへ導かれます。
温度制御された結晶成長セルの中で氷が成長する様子、とくに円盤状の結晶が不安定な状態になるときの様子を詳細に観察して、その厚みや直径、成長速度を計測します。
また、結晶周辺の局所的な温度を干渉計を用いて詳細に調べます(図6)。
実験データの再現性を確認する必要がありますので、結晶成長セル内の温度条件を変化させながら、何度も繰り返し実験を行います。
氷が成長する様子を2方向から観察できるように、この供試体の中には観察装置が入っています。
装置の観察系で成長の様子を正面から観察し、供試体内の観察系で側面から観察することで、結晶の立体的な形態が分かりますし、結晶周囲の温度も3次元的にわかるのです。
私たちにとって身近な存在である氷の結晶がどのようにしてつくられていくのか。
その不思議が宇宙実験によって解明されていきます。
注1:各実験用に製作した小型実験装置のことを「供試体」と呼んでいます。
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図5 Ice Crystal 供試体セル部模式図
2方向から観察することで、結晶の立体的な形態が分かります。
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図6 ガラス管の先端から成長している円盤状氷結晶
左:振幅変調顕微鏡写真
右:マッハツェンダー型干渉顕微鏡写真
結晶周辺の温度が変化すると、その部分の縞が曲がります。
画像から縞の曲がり具合を調べ、計算によって結晶周辺の温度を調べることができます。
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