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国際宇宙ステーションNASAステータスレポート #05-52
第12次長期滞在クルー 宇宙空間の実験室である微小重力下の国際宇宙ステーション(ISS)に慣れてきた第12次長期滞在クルーは、実験作業と2003年以来初めてとなる米国製宇宙服を使ったISSからの船外活動に向けての準備を行いました。また、大西洋上に発生した熱帯低気圧、ハリケーン「ウィルマ」の壮大な写真とビデオ映像を撮影しました。 今週、第12次長期滞在クルーのコマンダーでNASAのISSサイエンスオフィサーのウイリアム・マッカーサーとフライトエンジニアのバレリー・トカレフは、11月7日に予定されている船外活動に向けて、手順の確認を始めました。今回の船外活動は米国製宇宙服を着用し、「クエスト」(エアロック)から行う予定です。5時間30分の予定で行われる今回の船外活動では、ふたつの作業が優先して行われます。このふたつの作業は、ISSの一番端にあるP1(左舷)トラスの先端に新しいビデオカメラの取り付けと、ISS周囲の電位を測定していたP6トラス先端の測定器の取り外しです。 ISSには、プログレス補給船(19P)のタンクから酸素が供給されました。ロシアの専門家達は、ISSの主な酸素供給源であるエレクトロン(酸素発生装置)を再び起動できるように故障の原因究明を行っています。水を酸素と水素に分解することで、酸素を発生させるエレクトロンは、先週後半に急速に水の量が減少し、停止しました。 ロシアの技術専門家達による委員会は、10月18日に実施されたプログレス補給船(19P)の推進剤とスラスタを使った軌道上昇(リブースト)の停止原因を調べています。ミッションマネージャ達は、スラスタがどのように作動しているかという情報がとぎれたため、ロシアの航行コンピュータが適切な判断を行い、スラスタを停止したものと考えています。この件のさらなる原因究明用のデータをロシアの技術者が得るために、10月26日に問題のスラスタの試験噴射が行われる予定です。 今週、マッカーサーはISS内に放出された気体を分析する新しい装置の検査を行いました。米国と欧州宇宙機関(ESA)の科学者達によって、地上での8年以上にもおよぶ設計、開発そして試験が行われた後に、この肺機能システム(Pulmonary Function System)は、人体研究ラック2(Human Research Facility:HRF-2)に組み込まれた状態で、7月にスペースシャトル「ディスカバリー号」でISSに運ばれました。このシステムは当初は「コロンバス」(欧州実験棟)と共にISSへ打ち上げられる予定でした。HRF-1は2001年の2月に「デスティニー」(米国実験棟)と共に打ち上げられました。 マッカーサーとトカレフは3回の腎臓結石予防実験の内、1回目を行いました。ふたりは、採尿を行い、24時間の間に摂取した全ての食事と水分を記録しました。この継続して行われている実験ではクエン酸カリウムが宇宙滞在中に腎臓結石が生じる危険性を最小限に抑えるための手段として使えるかどうかを調べます。地上ではクエン酸カリウムが腎臓結石の生成を最小限に抑えることは証明されています。 通常、尿中のカルシウム量は宇宙滞在中の方がはるかに高いため、宇宙滞在者には腎臓結石が生じやすくなります。採尿期間中のクルーの食事を把握することで、尿中のカルシウム量の増加は食事が原因であるのか、微小重力環境に対する反応なのか、研究者が特定することを支援します。 NASAマーシャル宇宙飛行センターでは、ペイロード運用チームがISSでの米国の科学活動について調整しています。 マッカーサーとトカレフは6ヶ月の宇宙滞在期間中に、実験と少なくとも2回の船外活動、そして12月のプログレス補給船(20P)到着の監視を行う予定です。また、ソユーズ宇宙船(11S)を「ピアース」(ロシアのドッキング室)から移動させて、次の船外活動時にはピアースから船外に出られるようにします。ピアースはエアロックとドッキングモジュールのふたつの役割を持っています。 ISSクルーの活動状況、今後の打上げ日、また各地域でのISSの可視状況などについてはhttp://www.nasa.gov/stationをご覧ください。 次回のISSステータスレポートは、10月27日または新規イベントがあれば発行する予定です。 出典:http://spaceflight.nasa.gov/spacenews/reports/issreports/2005/iss05-52.html *併記の無い限り日時はすべて米国日時とします。 最終更新日:2005年10月25日
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