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国際宇宙ステーションNASAステータスレポート #04-36
第9次長期滞在クルー 国際宇宙ステーション(ISS)に滞在するふたりのクルーによって実施された2回目の船外活動は万事うまくいきました。姿勢制御システムに電力を復旧するための作業は首尾よく完了し、今後実施する予定だったいくつかの作業を前倒しで行った上、予定より早く終了することができました。 今回の船外活動は、第9次長期滞在クルー(コマンダーのゲナディ・パダルカとNASAサイエンスオフィサーでフライトエンジニアのマイケル・フィンク)が、予定より20分早く「ピアース」(ロシアのドッキング室)のハッチから船外に出た当初から順調に進みました。今回は彼らにとって2回目の船外活動でした。先週実施された1回目の船外活動は、フィンクが着用していたオーラン宇宙服の酸素制御ハンドル(スイッチ)が正しい位置に入っていなかったことが原因で、数分後に中断されました。今回の船外活動の作業時間は5時間40分でした。 今回の主目的となる作業は、ISSの姿勢を制御する4基のコントロール・モーメント・ジャイロ(Control Moment Gyro: CMG)のうち電力が断たれた1基を復旧させるために新しい電力ブレーカを設置することでした。宇宙時代のふたりの電気工(フィンクとパダルカ)は、この作業を予定より1時間早く完了しました。ミッションコントロールはその数分後、CMGへ電力が供給され、正常に動作していることを確認しました。電力が回復したCMGは、早ければ7月1日の午後には完全な状態に復旧され、ISSの姿勢を制御できるようになる予定です。 地上とクルーとの間の通信は途切れることはなく、緊急時の手信号は必要ありませんでした。今回は、船外活動の指揮権がモスクワとヒューストンのフライトコントローラ間で移行された初めての船外活動でしたが、うまく対応できました。ふたりのクルーが船外活動で外に出ている間、ISSの全システムは自動設定で問題なく作動していました。 パダルカとフィンクは米国中部夏時間午後4時19分(日本時間7月1日午前6時19分)にISSから外に出ました。ふたりはピアースから、長さ50フィート(約15メートル)の「ストレラ」(ロシアのクレーン)とハンドレール(手すり)を使ってスムーズに移動し、午後5時9分(同7月1日午前7時9分)にISSの米国モジュールに到達しました。この時点で、船外活動の指揮権はモスクワのミッションコントロールからヒューストンへと移りました。 ヒューストンのフライトコントローラたちは、クルーをS0(エスゼロ)トラス上の作業場所まで案内し、4月21日に故障した遠隔電力制御モジュール(Remote Power Control Module: RPCM)の交換作業を見守りました。午後6時52分(同7月1日午前8時52分)には、パダルカとフィンクは故障したRPCMの交換を終えました。その15分後、交信担当者のレックス・ウォルハイムが、CMGへの電力が復旧したという喜ばしいニュースを伝えました。CMGが正常に動くことを確認するため、毎分30回転の速度でCMGを回転させる試験が行われました。明日には通常の回転速度である毎分6,600回転にまで上げて、ISSの姿勢制御をCMG3基で行うようになる予定です。 フィンクとパダルカは工具を片付け、午後8時11分(同7月1日午前10時11分)にロシアモジュールへ戻り始めました。これに伴い、ヒューストンのミッションコントロールは船外活動の指揮権をモスクワへ戻しました。ピアースへ戻る途中、クルーはこれから先の船外活動で予定されていた作業を前倒しで実施しました。彼らはふたつのフレキシブル・ハンドレールを設置し、ISSのスラスタからの排気を計測するモニタを取り付け、ピアース上のふたつの環状ハンドレールの端にキャップを取り付けました。 クルーは午後9時59分(同7月1日午前11時59分)にハッチを閉め、船外活動は終わりました。今回の船外活動は、ISSの組み立て・保守としては54回目、ISSから外に出て行った29回目の船外活動で、パダルカにとっては4回目、フィンクにとっては2回目の船外活動となりました。 ISSクルーの活動状況、今後の打上げ日、また各地域でのISSの可視状況などについてはhttp://spaceflight.nasa.gov/をご覧ください。 ISSでの科学実験の模様については、アラバマ州ハンツビルのNASAマーシャル宇宙飛行センターのペイロード運用センターのサイトhttp://scipoc.msfc.nasa.gov/をご覧ください。 次回のISSステータスレポートは、7月1日午後あるいは何かイベントがあればその時に発行する予定です。
*併記の無い限り日時はすべて米国日時とします。 最終更新日:2004年7月2日
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