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Flight 2A シャトルミッション STS-88: 地球軌道に新しい時代を築く


打上げ日時1998年12月3日、午前3時45分CST(アメリカ中部標準時)
打上げ場所KSC(ケネディ宇宙センター)39B射点
オービタエンデバー (13回目の飛行)
軌道/軌道傾斜角高度200マイル(約322km)/51.6度
ミッション期間11日
ペイロードベイ(貨物室)・ペイロード−2個の与圧結合アダプター(PMA)が取り付けられたユニティ・ノード
 (国際宇宙ステーション(ISS)組立フライト 2A)
−IMAXペイロードベイ・カメラ(ICBC)
−マイティサット1号(ISS組立作業完了後に放出)
飛行クルー−ロバート・D・カバナ(海兵隊大佐)、コマンダー
−フレデリック・スターコフ(海兵隊少佐)、パイロット
−ナンシー・J・カリー(陸軍少佐)、ミッション・スペシャリスト
−ジェリー・ロス(空軍大佐)、ミッション・スペシャリスト(EVAクルー)
−ジム・ニューマン,Ph.D.、ミッション・スペシャリスト(EVAクルー)
−セルゲイ・クリカレフ、ミッション・スペシャリスト


STS-88 概要

 STS-88のペイロードベイレイアウト:前方はドッキングシステム、後方にノード1(ユニティ)が搭載されている。
 STS-88ミッションのクルー、トレーナー、ミッション・プランナー、フライト・コントローラーは、史上最大の国際協力での宇宙への挑戦となるこのミッションに備えるため、ジョンソン宇宙センターですでに1年前から訓練を開始しています。

 スペースシャトル エンデバー号は、初めてアメリカが製造したISSの構成要素である、ユニティ(Unity)という名のノードと2個の与圧結合アダプター(PMA)を載せて、1998年12月に打上げられます。エンデバーは、ISSの最初の構成要素であるザーリャ(Zarya)コントロール・モジュールの打上げに続き、1998年12月3日に打上げが予定されています。

 ザーリャは、ロシアのプロトンロケットでカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられます。このモジュールは、アメリカの予算でボーイング社とロシア宇宙機関(RSA)により組み立てられました。ザーリャは、初期段階のISSに推進系や電力を供給する自律したアクティブな宇宙機です。軌道投入後は、エンデバーとユニティの到着を軌道上で待ちます。ユニティは、将来アメリカのISSモジュールや構成機器の主接続部となるモジュールです。

 宇宙飛行士ロバート・D・(ボブ)カバナ(米国海兵隊大佐)は、STS-88を指揮します。カバナ船長と共に、エンデバーのフライトデッキには、パイロットのフレデリック(リック)スターコフ(米国海兵隊少佐)が搭乗します。ミッション・スペシャリスト(MS)のナンシー・カリー(陸軍少佐) 、ジェリー・ロス(空軍大佐)、ジム・ニューマン博士およびロシア人宇宙飛行士のセルゲイ・クリカレフがクルーとして加わります。また、ロスとニューマンは、EVAクルーに任命されており、ミッション期間中3回の船外活動(宇宙遊泳)を行います。STS-88は、カバナ船長にとっては4回目の宇宙飛行となります。彼はSTS-88のクルーに選抜されるまで、1994年からJSC(ジョンソン宇宙センター)の宇宙飛行士室(アストロノーツ・オフィス)で室長を努めました。カリーMSとニューマンMSは共に今回で3回目の宇宙飛行となります。ロスMSは今回で6回目の宇宙飛行となります。スターコフMSは初めての宇宙飛行となります。クリカレフMSは3回宇宙飛行を経験しており、宇宙ステーションミールへ2回、スペースシャルへ1回搭乗しています。クリカレフMSは、1999年中旬に新しいISSに滞在する最初の宇宙飛行士の1人でもあります。


ザーリャとのランデブと把持

 ザーリャとシャトルのランデブは、実際にはエンデバーの正確な時間での打上げから始まります。打上げから48時間の間、ランデブのための定期的な一連のマヌーバー(軌道制御)が、カバナ船長とパイロットのスターコフによって行われ、ザーリャにゆっくりと接近すします。ザーリャとの最後のランデブの1日前には、カリーMSがシャトルのロボットアームを使って水平状態で固定されていたユニティ(ノード1)をペイロードベイから持ち上げ、垂直状態に立てた状態でペイロードベイ前方のオービタ・ドッキング・システムの上にしっかりと結合させます。
 
 ザーリャへの最終アプローチ(接近)は、カバナ船長の手動操縦によって、ザーリャの下方から上へ向かって接近する形(R-Barまたはradius vectorと呼ぶ方法)で行われます。このアプローチは、シャトルがロシアの宇宙ステーションミールとドッキングしたやり方とほぼ同じです。シャトルがザーリャに接近すると、カリーMSはロボットアームをザーリャを把持できるように、ペイロードベイの上方の位置に移動させます。カリーMSがザーリャをロボットアームで把持し、ユニティに取り付けられた与圧結合アダプター(PMA: Pressurized Mating Adapter)にドッキングできるように、カバナ船長は、エンデバーのペイロードベイの端からザーリャまでが10ft(約3m)の距離になるまで近づけ、ランデブを完了させます。

 シャトルの船室の窓からのザーリャの眺めは、ユニティによって遮られるため、最後の数分のランデブと把持は、クルーがオービタ・スペース・ビジョン・システム(OSVS:STS-88に向けて試験が行われてきた光学的な位置決め用の装置)のサポートを受けて、テレビモニタのみを見ながら行うことになります。この位置決めシステムは、オービタのCCTVカメラを使用し、遮られて直視できないザーリャ・モジュールに取り付けられた特別なマーキングを見ながら精密なマヌーバー(スラスタを使用した位置の制御)を助けるものです。

 ユニティは、円錐形のPMAを両端に結合した状態で打上げられます。1つは、ユニティとザーリャ間の恒久的な結合に使われ、もう片方は、以後の、シャトルとのドッキング用のポートとして使われます。ユニティには、1999年の初めに訪れる予定(訳注:その後多少延期されています。)の最初のISSクルーが使う機器を入れた1個の保管ラックが搭載されて打上げられます。ユニティには、このほかに、後のISSの組立て時に運ばれる予定の3個のラックを設置するスペースがあります。


STS-88で実施する船外活動

 ザーリャとユニティが結合すると、ジェリー・ロスMSとジム・ニューマンMSが、ユニティおよびPMAとザーリャの間の電力およびデータ通信用ケーブルを接続するため、3回の船外活動(EVA)を行います。6時間の船外活動は、ザーリャとランデブ、結合した日の翌日から始まり、1日おきに実施されます。

EVA 1
 最初のEVAは、PMA、ユニティ、ザーリャ間のアンビリカル・ケーブルとコネクターの接続が主作業である。ロスとニューマンMSは、ペイロードベイおよび作業場所で3回のEVAのための作業準備を開始します。安全を確保するため、また、PMAとユニティ間のアンビリカルの接続を行う際のクリアランスを提供するために、最初にスライドワイヤーが設置されます。合計8本のアンビリカルが接続されますが、そのうちの4本は主系で、残りの4本は冗長系です。
 PMA、ユニティ、ザーリャ間のアンビリカル・ケーブルの接続に続き、ロスとニューマンMSは、ユニティの外壁に取り付けられているMDM(マルチプレクサー/デ・マルチプレクサー)の断熱カバーの取り外しを行います。

 ヒューストンのミッション・コントロールとモスクワのミッション・コントロールとの間のコマンド・チェックが翌日に実施されます。一方、クルーは、オービタのドッキング・システム(ODS)のベスチブル部を与圧し、リークチェックを完了させた後、2回目のEVAで取り付ける予定のS-Bandの通信機器の準備を行います。地上の管制所では、ヒューストンからモスクワのコントロールセンター経由でザーリャに送信するコマンド送信機能の検証を含めた試験を行います。ザーリャに取り付けられたPMAは、リモート・コマンドで与圧され、リークチェックが行われます。ユニティとザーリャ内部のフィルターと換気用のファンも同様の方法で起動されます。

EVA 2
 2回目のEVAでは、ロスとニューマンMSは、ユニティにハンドレールとワークサイト・インタフェース(WIF)の設置を行います。また、同様にユニティの結合機構(CBM)(左と上部の結合機構)のハッチとペタルのロンチ・レストレイン(打上げ時に使う固定具)の取り外しを行います。2人の宇宙飛行士はまた、S-Band初期通信システム・アンテナ、MDMのサン・シェード(日除け)、トラニオン・ピン・カバーの設置を行います。翌日、すなわち、最後のEVAの前日に、クルーはシャトルのドッキング機構を通り、ユニティ、ザーリャに初めて入室します。入室すると、S-Bandの初期通信システムの追加装置と共に、携帯用のファンと照明が設置されます。

EVA 3
 3回目、そして最後のEVAは、ユニティの結合アダプター(PMA)の一つからワイヤリング・ハーネス(配線)を取り外し、コネクタに安全カバーを取り付けることから始まります。取り外したコネクター・ケーブルは、その後APCU(Assembly Power Converter Unit:組立時の電力変換ユニット)に取付けられます。また、ユニティの外壁に将来の組立クルーが使用するEVA作業用の工具箱が取り付けられます。船外活動クルーは、ザーリャの端まで行き、ハンドレールおよび他の機器を取り付ける予定です。
 EVAの翌日には、エンデバーはドッキングを解除し、最初のISS組立ミッションが完了します。ISSの更なる情報についてはホームページ(http://spaceflight.nasa.gov.)を参照して下さい。


STS-88クルー


Robert D.(Bob)Cabana,(ロバート・D・(ボブ)カバナ)

 48才。米国海兵隊大佐。STS-88のコマンダーを担当。1985年に宇宙飛行士として選抜されました。ミネソタ州ミネアポリス生まれで、今回で4度目の宇宙飛行となります。カバナは、太陽の極域に関する研究を行うユリシーズ探査機を放出したSTS-41でパイロットとして1990年10月に初飛行しました。彼は1992年12月のSTS-53(軍事ミッション)でパイロットとして飛行しました。また、1994年7月のSTS-65では、15カ国が参加し、80の実験を行ったスペースラブ飛行の船長を務めました。彼は、宇宙滞在353時間以上を記録しています。また、33種類の航空機で5,000時間以上の飛行時間を記録しています。

Frederic(Rick)Sturckow(フレデリック・(リック)スターコフ)

 35才。米国海兵隊少佐。パイロットを担当。1994年に宇宙飛行士として選抜されました。スターコフはカリフォルニア州のレイクサイドを故郷として考えており、今回が初の宇宙飛行となります。スターコフは、1987年に海兵隊に入隊、飛行技術を磨き、1990年には海軍戦闘兵器(トップガン)学校に入学しました。彼は砂漠の嵐作戦と称した戦闘ミッション(湾岸戦争)で、41回の出撃飛行を行いました。後に彼は空軍テストパイロット学校に入学し、メリーランド州パツーゼントにある海軍航空戦闘センターでテストパイロットを歴任しました。彼は、40種類以上の航空機で、2,500時間以上の飛行時間を記録しています。

Nancy J.Currie(ナンシー・J・カリー)博士

 38才。米国陸軍少佐。STS-88のミッションスペシャリストを担当。
 1990年に宇宙飛行士として選抜されました。カリーは、オハイオ州トロイを故郷と考えており、今回が3度目の宇宙飛行となります。カリーは1993年6月、ユーレカ衛星を回収するミッションSTS-57で初飛行しました。続いて、彼女は1995年7月のNASAの通信衛星を放出するミッション、STS-70でも飛行しました。カリーは454時間以上の宇宙滞在を記録しています。


Jerry L. Ross(ジェリー・L・ロス)

 49才。米国空軍大佐。ミッションスペシャリストであり、EVAクルーメンバーを担当予定。  1980年に宇宙飛行士として選抜されました。ロスは、インディアナ州クラウンポイント生まれで、今回が6度目の宇宙飛行となります。ロスは、ミッションスペシャリストとして、1985年12月のSTS61-B、1988年12月のSTS-27、1991年4月のSTS-37、1993年4月のSTS-55および1995年11月のSTS-74で飛行しています。彼は、850時間以上の宇宙滞在を記録しています。この間、4回、合計で23時間の船外活動を経験しています。

James H.(Jim)Newman(ジェームス・H・(ジム)ニューマン)博士

 40才。ミッションスペシャリストおよびEVAクルーメンバーを担当予定。1990年に宇宙飛行士として選抜される。ニューマンは、カリフォルニア州サンディエゴを故郷としており、今回が3度目の宇宙飛行となります。ニューマンは、1993年9月のSTS-51及び1995年9月のSTS-69でミッション・スペシャリストを歴任。彼は、496時間以上の宇宙滞在を記録しています。この間、1回、7時間の船外活動を経験しています。

Sergei Krikalev(セルゲイ・クリカレフ)

 40才。ロシア人宇宙飛行士。ミッション・スペシャリストを担当予定。
 1985年にロシアの宇宙飛行士(コスモノート)として選抜される。クリカレフは、ロシアのレニングラード(現在のセント・ペテルスブルグ)で生まれ、今回で5度目の宇宙飛行となる。彼は1998年及び1991年にミールへの2回の飛行経験を有しています。彼は、シャトルがミールと初めてランデブした1994年のSTS-60で、初めてシャトルに搭乗するコスモノートとしてシャトルで飛行しています。彼はまた、2000年1月に国際宇宙ステーションに滞在する初めてのクルーの一人でもあります。彼は、7回の船外活動を含めて、1年3カ月以上の宇宙滞在を記録しています。



出典:NASA Fact Sheet Library
 Shuttle Mission STS-88: Launching a New Era in Earth Orbit (1998年 8月)より 
 ただし、現在は登録されていません。


最終更新日:1999年 3月 1日

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