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JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在

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金井宇宙飛行士ミッション報告会~「きぼう」利用で未来を拓く168日間の軌跡~(2018年7月27日)

最終更新日:2018年08月08日

7月26日、昭和女子大学人見記念講堂(東京都世田谷区)にて、金井宇宙飛行士の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在ミッション報告会が開催されました。

報告会当日は夏休みに入ったこともあり、特に昼の部は夏休みの親子連れで賑わいました。昼・夜と金井宇宙飛行士から軌道上でのミッションの映像とともに報告があり、観客のみなさんは興味津々に耳を傾けていました。

【昼の部】第一部 金井宇宙飛行士によるミッション報告会

開会は、金井宇宙飛行士のISS長期滞在ミッションを地上から支えたダブル大地フライトディレクタ(インクリメント54:佐孝大地、インクリメント55:中村大地)のオープニング挨拶で始まり、金井宇宙飛行士は、会場内の通路を通って子どもたちと握手をしながらステージに登場しました。

佐孝大地(左)と中村大地(右)のダブル大地フライトディレクターによる挨拶

握手をしながら登場する金井宇宙飛行士

ミッションの報告を行う金井宇宙飛行士

最初に子どもたちに「宇宙ステーションでやっていることって知っている?」、「将来、宇宙飛行士になって宇宙に行きたい人は?」の声をかけ、子どもたちの「はーい!」の声と共に報告会が始まりました。

昼の部は小学生、中学生向けのミッション報告会でしたが、金井宇宙飛行士は映像を使用しながら、国際宇宙ステーションの大きさから、長期滞在ミッション時に行った数々の実験について子どもたちに分かりやすく説明しました。

質問に答える金井宇宙飛行士

ミッションの報告後、ダブル大地を交えての質問タイムの時間となり、金井宇宙飛行士とダブル大地は、たくさんの子どもたちからの質問にひとつひとつ丁寧に答ました。

「宇宙ステーションに行って病気になったらどうするんですか?」という質問には、「実は、僕はお医者さんでもあるんですよ。」と答え、佐孝フライトディレクタからは「地上にも宇宙飛行士を支える専門の医者」がいるとのお話がありました。

また、「これからの目標はなんですか?」との質問には、「深いですね~」と答えつつ「次の野口宇宙飛行士のミッションを地上からサポートすること、また、宇宙を身近に感じられるような社会を実現したい」と答えるなど、質問時間いっぱいまで子どもたちの質問に答えました。

【夜の部】開会の挨拶

開催にあたり、山川宏JAXA理事長から開会の挨拶、新妻秀規文部科学省大臣政務官から来賓の挨拶がありました。

山川宏JAXA理事長

新妻秀規文部科学省大臣政務官

夜の部は、高校生以上向けの報告会として開催され、特に第三部、第四部では専門的なテーマについてトークセッションが行われました。

【夜の部】第一部 金井宇宙飛行士によるミッション報告会

第一部では、ダイジェスト映像を流しながら、168日間のISS長期滞在を振り返りました。

船外活動でISSロボットアーム(SSRMS)先端部の交換および船内回収を行ったこと、ドラゴン補給船運用14号機(SpX-14)のSSRMSによる把持、「きぼう」のエアロックを使用した超小型衛星の放出、軌道上での科学実験(アルツハイマー病の原因分子とされる「アミロイド線維(アミロイドβ)」の形成機構を調べるための実験、タンパク質結晶生成実験、宇宙ストレスにおける環境応答型の小動物飼育ミッション)など、29の実験を行った中から、具体的に説明を行いました。

手を振りながら登場する金井宇宙飛行士

アミロイド繊維実験の報告をする金井宇宙飛行士

【夜の部】第二部 公開インタビュー

金井宇宙飛行士とダブル大地フライトディレクタ

ここでは、柳田さやかアナウンサーが金井宇宙飛行士、ダブル大地フライトディレクタに事前に募集した観客者および視聴者が興味のあるISS利用、宇宙飛行士等に関するトピックをもとに、インタビューが行われました。

質問を始める前に金井宇宙飛行士より「フライトディレクタを知っている人はどのくらいますか?」の確認があり、まずは、フライトディレクタの業務内容のお話がダブル大地から説明がありました。その後、特に質問が多かった内容について答えました。

Q. ミッションの成功の秘訣は?

金井宇宙飛行士:宇宙飛行士になる前は、外科医をしていて、手術は準備8割で決まると思っていました。宇宙飛行士になって訓練を重ねるうちに、宇宙飛行士も前職と同じで準備が一番大事だったと感じます。

佐孝フライトディレクタ:地上から軌道上の金井宇宙飛行士、また、地上での管制官と一番たくさん会話をした。コミュニケーションが成功の秘訣です。

中村フライトディレクタ:お互いに正直に話すことが大事であり、とてもいいチームワークを築けました。

Q. ミッション中に緊張したエピソード、感動したエピソード、忘れられないエピソードは?

金井宇宙飛行士:緊張したエピソードは、宇宙実験を提案された研究者の期待を一身に託された実験サンプルが届いて、それを開けるときは、手が震えるような、非常に緊張を覚えました。

Q. 船外活動はどんな気持ちで作業していたのか?

金井宇宙飛行士:地上での訓練では、サポートしてくれる人がいて非常に賑やかだが、本番で宇宙空間に出ると、辺りは真っ暗で自分とパートナーの2人しかいなくて、すごい孤独感を感じながら作業を行いました。

Q. 長期滞在中に髪を切らなかった理由は?

質問に答える金井宇宙飛行士

金井宇宙飛行士:ロシア人宇宙飛行士のゲナディ・パダルカは、"げん"を担ぐために、長期滞在中は髪の毛を切らないと聞いていた。そのため、自分もその真似をしました。日本に帰国後、すぐにつくばの床屋さんで切りました。

【夜の部】第三部 健康長寿に関する実験の取り組み

小動物飼育装置(MHU)の説明をする金井宇宙飛行士

ここでは金井宇宙飛行士が軌道上で実施した実験の中から「第3回マウス長期滞在飼育ミッションの成果について」のトークショーを行いました。

金井宇宙飛行士、東北大学メディカルメガバンク機構 代表研究者 山本雅之機構長、JAXAきぼう利用センター 芝 大(しば だい)技術領域主幹、また、一般財団法人日本宇宙フォーラム 寺門和夫主任研究員をモデレータとして、今後、何に活用されどのような病気に活かせるのかなど、まさに金井宇宙飛行士のミッションテーマである健康長寿につながるトークセッションが行われました。

以下にトークセッションの様子を要約して紹介します。

金井宇宙飛行士:宇宙で生活していると、何もしないと筋肉や骨が弱くなってしまうので、それを防ぐために毎日2~2時間半くらい体力トレーニングをしています。

芝技術領域主幹:JAXAでは、この宇宙で骨や筋肉が弱くなる仕組みを宇宙空間で微小重力環境と重力を模擬した環境で飼育できる装置を開発し動物を用いて詳しく調べる研究を進めてきました。
30日間ほど宇宙で飼育したマウスの大腿骨のCT(コンピュータ断層撮影)を撮ると、微小重力環境にあったマウスの骨は1/3くらいにスカスカになっています。こういったことは生存回収することで調べることができました。たった30日間で大きな変化が起きるので動物飼育ミッションは非常に有意です。
この小動物を用いた研究データを、人につなげるために山本先生と一緒に研究を進めています。

山本代表研究者:今回、「きぼう」船内にある小動物飼育装置(MHU)で30日間マウスを飼育して、2つの世界初となる業績が得られました。
1つは、遺伝子ノックアウトマウス(Nrf2という特定の遺伝子を無くしたストレスに弱いマウス)を宇宙で飼育し全匹生存帰還させたこと。もう1つは軌道上でマウスの微量採血を実施したことです。
Nrf2の無いマウスは、心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中や肺気腫になりやすく紫外線にも弱い、騒音環境では難聴になってしまうという、ストレスに弱いマウスです。
今回のマウスは成長期であり、同時に宇宙で飼育した野生型(遺伝子欠損の無い)のマウスは太ったのですが、Nrf2の無いマウスは体重が増えませんでした。増えなかった原因として内臓脂肪があまりたまっていませんでした。ストレスを受けて脂肪がたまらないような病態になっていたものと考えています。
マウスで分かったことを人の病気に役立てたい、高齢者が寝ていると筋肉や骨が衰えて寝たきりになってしまうことを防ぐような健康寿命を延ばすヒントを、頑張って宇宙から帰ってきたマウスを解析することで明らかにしたいと考えています。

Q. 日本の小動物飼育装置の特徴は?

芝技術領域主幹:遠心機に設置するため非常に小型で、個室になっていることがNASAとの大きな違いです。
NASAの飼育装置のように群飼育だと、エサや水を取り合ったりして、宇宙のストレスなのか、競争に負けてしまったストレスなのかわからないのです。病態や弱いマウスも飼育するといった考え方で装置開発をしているのがJAXAの強みになっていると考えます。

金井宇宙飛行士:日本ならではの小型、高性能でメンテナンスもしやすいです。エサもカートリッジ交換式で、クリーニングや糞の回収も底板の粘着シールを剥がして捨てて新しいものに交換するだけできれいになるというように、非常に高性能で作業がやりやすかったです。

Q. 宇宙空間では宇宙飛行士にどのようなストレスがかかってくるのか?

山本代表研究者:重力が無いということは寝たきりと同じです。重力の無いストレスが宇宙のストレスの1つです。また宇宙放射線にさらされることも大きな量ではないにしてもストレスがあります。
マウスが打ち上がったとき、元気に船内に出てきたとき、地上に帰還し取り出したときは、本当に感動したことをお伝えしたいと思います。

Q. 今まで細胞から始まって魚の飼育を行ったが、小動物のマウスとなると、かなり難しい技術が必要になってくるのか?

芝技術領域主幹:飼育ケージを作るのに2年ほど、1回目の実験を行うまでに3年くらいかかっています。地上では普通に水が飲めるが宇宙では漏れないように水のバルーンをつくるとか、地上であれば下にたまる糞が宇宙では浮き上がらないようにケージの中に非常に弱い風をかけてケージの底に押し出したり、2年くらいかけて実験をして開発しました。
また、打上げと帰還時は無人の宇宙船になりますから、加速度や着地の衝撃に装置が耐えられるのかという試験と、動物を入れた状態で耐えられるかということを考慮した設計と、打上げから帰還までトータルに検討した上でミッションに取り組んだことが非常に大きな難しさだったと思います。

Q. 軌道上のマウスで起こったことを参考にしながら地上の人たちが健康長寿に暮らせるかどうかということの大きな知見が得られるというふうに期待してよろしいか?

山本代表研究者:もちろんです。人間だったら60年、70年経たないと年を取りません。マウスは2年くらいで年を取りますが、宇宙では10倍、20倍というスピードで年を取ってくれます。その様子をよく調べて急速な老化を防ぐような手法を開発したいというのが夢です。
今回の提案で、素晴らしい装置と、金井宇宙飛行士の医者としてのマウスのケア、この2つが無かったら実験できなかったと思います。日本の総力を結集した良い実験ができたことに感謝しています。

Q. 軌道上で実験をうまくこなす上での秘訣は?

金井宇宙飛行士:実験の成功の8割くらいは、素晴らしい実験装置のおかげだと思います。そしてミッション成功に秘訣は準備が8割くらい重要なんじゃないかと思います。そしてこの実験の意義を理解することで、非常にモチベーション高く実験をすることができました。

Q. 飼育装置の特徴で0GだけでなくGを変えられることで今後開ける世界というものは?

芝技術領域主幹:人を含む動物が月や火星の重力下で長期間生活した場合に、どのように適応していくのか、そういったことを研究していくことができます。0~1Gの環境で骨以外の組織、心臓などにどのような影響が出るのだろうかなど、次の可能性が沢山ひらめいてきます。
このミッションが終わり、先程の骨のデータなどを得た後、NASAから宇宙探査に関する知見のためにこのようなGを可変的に変えた装置を使って一緒に飼育ミッションをしないかという打診を受け、一歩一歩進んでいるなと感じています。

Q. 微小重力下での飼育ミッションが、将来の宇宙探査に使われることについて、可能性についてどのように考えているか?

金井宇宙飛行士:現在もISSの先、月、火星にどうやって人を送るか国際的な話し合いが進んでいます。その中で日本の宇宙実験成果が将来の宇宙探査につながることはとても意義のあることですし、日本がリーダシップを取っていく1つの武器になるのではないかと考えます。

【夜の部】第四部 これからの有人宇宙活動

民間企業による低軌道商業化の現状を説明する岩本 裕之部長

JAXA新事業促進部 岩本 裕之部長を交えての、地球低軌道の利用や月探査などこれからの有人宇宙活動についてお話があり、ここでは、A.T.カーニー株式会社プリンシパル/一般社団法人SPACETIDE代表理事 石田真康モデレータを加えての、トークセッションが繰り広げられました。


民間企業による低軌道商業化の現状や、民間企業利用を促進するための取り組みとして、J-SPARC(宇宙イノベーションパートナーシップ)を立ち上げ、人類の活動領域を広げる(軌道上サービス、遠隔存在技術)、地上の社会課題を解決する(ビックデータ、AI、IoT(Internet of Things)、宇宙輸送)、宇宙を楽しむ(衣食住、コンテンツ・VR/AR、宇宙旅行)という、JAXAと民間企業とが協力をしあい、低軌道ビジネスを拡大していくとの説明がありました。

以下にトークセッションの様子を要約して紹介します。

岩本部長:今アメリカはペンス副大統領を中心に宇宙の議論を国家全体でしており、それまで火星に行くというのがオバマさんは言っていたのですが、もっと現実的に月に戻ろうと。月に戻るといっても、もう一回、アポロみたいに月表面で活動するのではなくて、月の周りのところに人が住む拠点とか燃料の補給基地を置いて、まずそれをゲートウェイ、宇宙の入り口というような言い方をし、新しい宇宙探査をしましょうということですね。この月の周りにあるモジュールから月の表面に行ったり、火星に行ったりするようにしましょうということをアメリカが提案し始めています。アメリカも予算が限られているので、これを進めるにあたっては、今まで全部国でやってきたことを産業がどんどん盛り上がっているので産業界と一緒にやりましょうと。

もう一つは国際協力をもっと打ち出しましょうということで、この3月には45ヶ国が集まってISEF2国際宇宙探査会議を日本で開催し、次の探査をどうするかという議論も始まっています。NASA、アメリカと協力するにあたり、一つは「きぼう」モジュール。われわれは実績があるので、人が住めるモジュールを月の周りにつくりましょうと。それから、こうのとりは宇宙に物を運ぶ技術があるので、それを使って補給技術を。さらに月に月面着陸をする技術では、日本は車がすごく得意なので、月面ローバー。こういったものを日本は国際協力の中でできるんじゃないかということを提案しているというのが現状になります。

Q. 地球から遠く離れた地点に人が活動する拠点を作る意味は?

金井宇宙飛行士:月は遠いがはやぶさ2など、月よりもっと遠くの天体で宇宙探査を行っています。月が火星や他の天体を調べていくための最初の停車駅になるんじゃないかと、期待を抱いています。

Q. 38万キロも離れた場所で行っていく有人宇宙活動の難しさ、課題は?

金井宇宙飛行士:宇宙ステーションは、月の遠さと比較すると本当に地球の表面を飛んでいるような近さですから、地上の管制官と密にコミュニケーションを取りながら地上の管制官の100%コントロールのもとにオペレーションが行われております。一方、遠く離れた月でオペレーションをしようとすると、なかなか地上の管制官が全てをコントロールすることができませんので、宇宙飛行士が自立的に自分たちで判断をしながら、その時その時でオペレーションを進めないといけません。

その中で安全性を担保したり、ミッションの信頼性を担保するために、一つ考えているのはAI(人工知能)を使ったようなミッションサポートですね。日本のコンピューター技術はとても進んでいますから、日本がリーダーとなってAIを開発し、宇宙飛行士だけが考えるんじゃなくて、それをコンピューター、人工知能がサポートしてくれるような、何かSFの映画みたいな話ですけれども、そういった将来の宇宙オペレーションというのが考えられるんじゃないかなと思います。

岩本部長:アメリカでも有人宇宙活動や地球観測データ解析など、国を挙げて取り組んでいます。

Q. 地球低軌道での宇宙活動の将来について

岩本部長:宇宙ステーション高度近傍の地球低軌道についても、いろんなビジネスが出てきています。具体的には民間有人宇宙船、民間無人補給船、ISS利用事業(創薬、宇宙での部品製造、超小型衛星の放出)、宇宙ごみの除去、民間事業者による宇宙ステーション開発、ロケット開発など、地球に近い低軌道はビジネスの場になっています。

Q. 宇宙飛行士が宇宙で快適に暮らすためのサービスや製品があればいいと思うものは?

金井宇宙飛行士:現実など、地上で使われているテクノロジーがどんどん使われていったらいいと思います。バーチャルリアリティで、地上の管制官が宇宙ステーションの中の宇宙飛行士と一緒にいて仕事できるようなことができればいいと思います。
さらにロボティクス技術で自分の分身として宇宙ロボットを使えれば、もっといろんなことができると思います。

Q. 多くの人が宇宙へ行ける時代が来たときビジネスやサービスはどんな可能性があると思うか。

岩本部長:アミューズメントやスポーツなど可能性は増えてくるのではないかな。人工衛星から流れ星を見せるサービスも実際に行おうとしている会社があります。

Q. 民間企業が宇宙活動に参加していくトレンドについてどのように観られているか。

金井宇宙飛行士:たぶん航空業界というのも、すごい訓練を積んだ特別な人だけが空を飛べるという、そういうところから始まったんだと思うんですね。それが今を見てみると、もう飛行機に乗って海外旅行するのは当たり前という世界が現実化しています。

宇宙旅行に関しても、今は国がロケットをつくって国が宇宙飛行士を養成して、そして国が宇宙ステーションを運営していますけれども、遠くない将来には、もう民間が飛行機を飛ばすような形でロケットを飛ばし、そして宇宙船を飛ばし、そして例えば宇宙ホテルを運営し、国の役割というのはどんどん宇宙の中で少なくなっていって、最終的には、例えばその交通整理をしますとか、宇宙でのルールづくりをしますとか、そういった形に収束していくんじゃないかなというふうに期待しています。

Q. 民間の活動との連携を深めるJAXAの取り組みについて

岩本部長:宇宙イノベーションパートナシップ(JAXA Space Innovation through Partnership and Co-creation:J-SPARC)という、ビジネスパートナとJAXAが一緒になって新しい宇宙時代を作るための技術開発や事業構想、サービス提供ができるような枠組みを立ち上げました。
例えば、人類の活動領域を広げる軌道上サービスや遠隔存在技術(テレイグジスタンス)、AI、ビッグデータ、IoTを利用するもの、宇宙輸送ロケット、宇宙での衣食住、VRコンテンツなど皆さんと一緒に作っていくこと(共創)ができればいいと思っています。

金井宇宙飛行士:すでにJ-SPARCの枠に入るような作業をしてきましたので、JAXAが持っている宇宙インフラが社会に還元されるというのは本当に将来が楽しみだと感じながら話を聞いていました。

Q. 日本ならではの特徴とか、日本から貢献できるのではと思われる分野は?

金井宇宙飛行士:人工知能の分野とかVRの分野。また人とロボットが一緒になって作業していかないと立ち行かないようになってきます。
日本が自分の得意分野の技術でリーダシップを取っていくことが重要と思います。

【夜の部】閉会の挨拶

閉会の挨拶を行う野口宇宙飛行士と金井宇宙飛行士

閉会の挨拶では、「宇宙でやっていることを身近に感じられましたか」の問いかけに、たくさんの観客が手を挙げられ、「そう遠くない将来に宇宙旅行などのビジネスが花開きます。引き続き日本の宇宙開発をよろしくお願いします。」と締めくくり、続いて、スペシャルなゲストを!!と、2019年後半にISS長期滞在予定の野口宇宙飛行士が登場しました。

最後に、野口宇宙飛行士より本報告会の閉会にあたり、金井宇宙飛行士のミッションにおいて印象的だった「3つのS」の言葉を贈られました。

Science-健康、科学実験

Space Walk-船外活動、長期滞在、ロボティクス

Smile-金井スマイル


※写真の出典はすべてJAXAです。


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