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ISSと「きぼう」

第1回「きぼう」日本実験棟船内実験室利用テーマ公募 一次選定テーマ概要

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装置名:細胞培養装置

テーマ名 概要

両生類培養細胞による細胞分化と形態形成の調節

微小重力が形態形成に及ぼす影響について遺伝子レベルでの検討を行う。両生類(アフリカツメガエル)由来の培養細胞で、地上において形態形成を起こす腎臓由来のA-6細胞、及び形態形成を示さない肝臓由来のA-8細胞の2種の細胞を微小重力下で培養する。軌道上で形態形成を位相差顕微鏡で観察するとともに、固定して地上に回収した2種の細胞の遺伝子をRT-PCRで比較解析する。またA-6細胞およびA-8細胞に特異的発現する遺伝子の定性および定量的解析も行う。凍結状態で回収した培地から、形態形成に影響をおよぼすアクチビンやフォリスタチンなどの産生蛋白質について定量解析する。
さらに微小重力下では未知の遺伝子発現が起こる可能性があると考えられるため、地上で遺伝子ライブラリを作製し、回収した細胞から得られた遺伝子ライブラリと比較解析することにより新規発現遺伝子を探索する。

微小重力環境における高等植物の生活環

約4億年前から、1Gの重力下で誕生、進化してきた陸上植物の生活環は重力刺激に強く依存している。陸上植物が根を地下に伸ばし、茎を上に伸ばすことができる理由は植物が重力の方向を認識して、その器官の成長方向を調節できるからである。したがって、植物の成長は微小重力環境下では大きく変化すると考えられるが、その詳細は解明されていない。アラビドプシス(Arabidopsis thaliana L.)は植物サイズが小さく、生活環が約1ヶ月と短いため「きぼう」での宇宙実験に適している。またゲノムサイズが小さく、多数のトランスジェニック株が作製されており、様々な現象が遺伝子レベルで研究されている。
本実験は、このような特徴を持つアラビドプシスの野生株およびトランスジェニック株を用いて、発芽、成長、花芽形成、開花、結実等の生活環の各過程を観察する。さらに、地上に回収した種子を発芽、生育させ、種子形成への微小重力の影響を検討する。また回収試料から植物体の物理的、生化学的性質を分析する。これらからアラビドプシスに代表される陸上植物の宇宙環境での生活環を明らかにする。
以上により生活環に及ぼす重力の役割を理解するとともに、宇宙での植物生産に不可欠な基礎情報を得る。

宇宙放射線および微小重力環境の哺乳類細胞に対する影響に関する研究

哺乳類に対する宇宙環境の影響について、細胞の受けた損傷の微小重力下での修復能および被爆効果の長期蓄積の効果を解析し、長期宇宙滞在に及ぼす危険因子を検討する。
修復能の解析は、地上で宇宙線に模した重粒子線を照射した細胞を凍結状態で軌道上に打ち上げ、微小重力環境下で培養後、再凍結して回収する。この細胞を地上で再培養し、微小重力下での修復状態を細胞致死・クロマチン(核染色質)損傷・突然変異を指標として解析する。
宇宙線損傷の蓄積に関する解析は、凍結状態の細胞を「きぼう」内で長期間凍結維持した後に回収して、宇宙放射線の被曝による損傷の蓄積に関して細胞致死・染色体異常・DNA損傷・突然変異等を指標として解析する。

最終更新日:2006年4月26日


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