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無重量の世界では上下の区別がないので、宇宙飛行士はどこでもどんな向きでも寝ることができます。ただし、寝ている間にふわふわとどこかに飛んでいっては困るため、スペースシャトルでは小さい寝室や寝袋を使い、体が浮かないように軽くしばって寝ます。
空調ファンの音や機械音で眠れない宇宙飛行士のために、睡眠用のアイマスクや耳せんなども用意されています。スペースシャトルの生活では、睡眠時間として約8時間ありますが、作業が長引いたり、窓の外の景色をながめていたりして、実際の睡眠時間は6時間くらいが多いそうです。写真は、国際宇宙ステーショ
ン(ISS)の個室とその中のベッドです。顔を出しているのは、第3次長期滞在クルー、ミハイル・チューリ
ン宇宙飛行士です。
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無重量状態では水が流れないので、地上のように蛇口の下に手を出して水で洗うことができません。実はISSやスペースシャトルには洗面台やシャワー室はありません。手や顔のよごれを取りたいときは、アルコールでふくか、液体石けんを含ませたタオルでふきます。体のよごれは、ボディシャンプーを含ませたタオルでふき取ります。髪を洗う時は、船内にあわが飛び散らないように、水を使わずに洗えるシャンプーを使います。洗い終わったら、乾いたタオルでふき取っておしまいです。写真は、1992年にエンデバー号内で撮影されたSTS-47ミッションに参加した毛利衛宇宙飛行士が、シャンプーで髪を洗っている様子です。
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1960年代初め、宇宙での食べ物は、荷物が重くなったり、場所をとったりしないように、チューブ入りやひと口サイズのものでした。1970年代初め、アポロ計画のころから少しずつ宇宙食の品数が増え、現在では
約150種類以上あり、地上での食事と同じようになりました。宇宙食はプラスチックの容器に入っていて、水やお湯を加えて元にもどすもの、オーブンで加熱することができるものなどがあります。果物やパン、ナッツなどそのまま食べる物もあります。飲み物など液体を飲むときは、パックからストローで吸います。まわりにこぼして機器の故障を起こさないようにするためです。ISSでは、約300種類のメニューが用意されています。写真は、第7次長期滞在クルー、コマンダーのユーリ・マレンチェンコとNASAのISSサイエンスオフィサーのエドワード・ルーが食事を取る様子です。
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ISSの中には洗面台やシャワー室はありませんが、トイレはあります。奥行き1m、幅約1mの広さで、男女共同で使います。形は地上の洋式トイレと似ていますが、ちょっとした仕かけがあります。体を浮かないように固定して、そうじ機のような機械で吸いこみ、そのあと排泄物を真空にして乾燥させてしまうのです。ドアはなくカーテンで仕切られています。ですから、外に音が聞こえるのではと思うかもしれませんが、ISSの中は空調ファンなどで結構うるさく、また、トイレを使うときのモータの音がうるさいので、トイレの音が外に聞こえることはありません。なお、体が浮いてしまう状態で直径10cmくらいのトイレの吸いこみ口に正確に座るために、地上ではカメラ付きの訓練装置でトイレを使う感覚を訓練します。
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ISSの船内は、地上と同じ1気圧に保たれていて、快適に生活できるように温度や湿度が調整されています。このため、打上げと帰還の時に着るフライトスーツ以外は特別な洋服を着る必要はなく、地上と同じ服装で生活できます。
ISSの中で洗たくはできないので、下着は毎日着替える分を持っていき、綿のシャツとズボンの着替えを数枚持っていきます。船外に出て宇宙で作業するときは宇宙服を着ます。宇宙服は、宇宙放射線や真空状態など、人間がそのまま生活するには厳しい環境から宇宙飛行士を守るための、いろいろな機能を持った高性能スーツで、服というよりはむしろ小さな宇宙船とも呼べるものです。
写真は、アトランティス号で、船外活動の準備をする宇宙服(EMU)姿のSTS-112デイヴィッド・ウルフ宇宙飛行士とそれをアシストする普段着のパメラ・アン・メルロイ宇宙飛行士の様子です
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地上では、人間は寝ているとき以外はいつも重力に逆らって行動しているため、筋肉や骨が体を支えています。ところが宇宙では、重力が作用しないので体には負担がない状態になり、筋肉や骨が弱くなってしまうといった悪い変化を体にあたえます。体に適度な負担をかけるためには運動が必要で、宇宙飛行士はトレッドミルやエルゴメーターといった運動器具を使って、毎日2時間程度の運動をします。トレッドミルは、体をゴムバンドでおさえつけた状態でランニングをする器具です。エルゴメーターは、車輪のない自転車のようなもので、ペダルをこぐ強さを調節することにより、運動量を調節することができます。写真は、2005年4月に撮影された、トレッドミルで筋力運動をするリロイ・チャオ宇宙飛行士です。
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人間が生活していれば、食事のあとのよごれやゴミがでます。宇宙飛行士たちは、食事をする場所の掃除、
空気清浄機のフィルター交換、ゴミの収集、壁や床の掃除をします。掃除も宇宙生活においては重要な仕事なのです。掃除には液体の洗剤や使い捨てのプラスチック製手袋、掃除以外にも使える布巾、掃除機を使います。方法は、洗剤をスプレーした布巾で汚れを拭き取ったり、掃除機でゴミを吸い取ります。洗剤を使うときは使い捨ての手袋をします。写真は、第5次長期滞在クルー、コマンダーのワレリー・コルズンがNASAのISSサイエンスオフィサーのペギー・ウィットソンの髪を切る様子です。切った髪が飛び散らないようにペギー・ウィットソンは掃除機を持っています。
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宇宙飛行士たちはそれぞれ作業担当が決められていて、専門の訓練を受けています。救急医療についてもクルー・メディカル・オフィサーという担当がいて、一般的な応急処置だけでなく、傷口の縫合や、注射もできるように訓練されています。なお、心臓が止まった時の救急蘇生術については宇宙飛行士全員が訓練を受けることになっています。いろいろな医療具や薬は、メディカルキットの中に準備されています。これらは宇宙滞在中の軽い病気や傷を手当するものですが、重傷または重体のクルーが地球に帰還するまでの間、安定した状態を保つためにも使用されます。写真は、軍医のジョセフ・カーウィン宇宙飛行士がチャールス・コンラッド船長の歯を検査している様子です。
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宇宙飛行士たちは、自分だけの持ち物をいくつか持って行くことができます。自分の好きな本を読んだり音楽を聞いたり、中にはギターを持って行って弾いている宇宙飛行士もいます。また、ISSの窓から見る地球や星はとてもきれいなので、それらを眺めたり、写真を撮ったりする宇宙飛行士もいます。ISSでは、DVDソフトの映画を見たり、家族と週に1回ほどですが電話で話しをしたりできます。写真は、第4次長期滞在クルー、フライト・エンジニアのカール・ウォルツ宇宙飛行士が、STS-110クルーをキーボード演奏でもてなしている様子です。
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