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  List: マーキュリー時代の宇宙食 / ジェミニ時代の宇宙食 / アポロ時代の宇宙食 / スカイラブ時代の宇宙食 / 現在の宇宙食 / 宇宙食の例 フリーズドライ / 宇宙食の例 ドリンク / 宇宙食の例 調味料やトレー / 生活空間 / 食事風景
 
 
 
 
ひと口サイズの固形食や練り歯磨きのチューブに似た容器の先にストロー状のパイプを付けたものを使用して、クリーム状、ゼリー状の食べ物を摂取していました。チューブ式の宇宙食は離乳食のようなものですから、宇宙飛行士たちには評判が良くなかったそうです。 写真は、マーキュリー時代初期のころのチューブに入った宇宙食とゼラチンでコーティングしたスナックです。アメリカ人として初めて軌道上の宇宙船内で食事をしたNASAのジョン・グレン宇宙飛行士の食事には、チューブに入ったアップルソース、ビーフグレービー、野菜ペーストが含まれていました。
 
 
 
ひと口サイズの食品、中程度の水分を含んだ物、そして乾燥食品が使われ、不評だったチューブ式の宇宙食は無くなりました。この時代には、包装を開くためのはさみや乾燥食品に水を加えるためのウォーターガンなどの器具が登場しました。 写真は、1965年、最初に船外活動を行ったアメリカのジェミニ4号で使われた宇宙食で、牛肉、イチゴシリアルキューブ、ビーフサンドなどです。 ウォーターガンは、乾燥食品を戻すのに使い、ハサミは、パッケージを開けるときに使われました。
 
 
 
お湯が使えるようになったり、食品を水で戻して通常のスプーンで食事ができるようになりました。食事のメニューも増えました。当時の宇宙飛行士に必要なカロリーは、1日1人あたり2800kcalで、チューブ入りの宇宙食では一日分で重量2kgもあったものが、600gと約3分の1の重量になりました。
 
 
 
生医学実験なども行われたため、食事内容も綿密にコントロールされました。約半数は、まだ水で戻す方式の加水食品でしたが、残りの半数は、地上の食事に近いもの(温度安定化食品、自然のままの食品、あらかじめ料理された凍結された食品)になりました。 容器はフタ付きのアルミ缶になり、加熱用のトレーの上にのせて暖めました。また、スカイラブには冷凍冷蔵庫やダイニングテーブルがあり、ナイフ、フォーク、スプーンを使うようになって食事環境はかなり向上しました。
 
 
 
 
 
現在ではより地上の食事に近いものとなり、メニューの種類もさらに増えて、一般に売られている食品をそのまま利用するものや、温度安定化食品(レトルト食品)、加水食品(スープ、ライス、スクランブルエッグなどのフリーズドライ食品)、半乾燥食品(乾燥フルーツ、乾燥肉など)、自然形態食(ナッツやクッキーなど)、新鮮食品(リンゴ、オレンジ、バナナ、ニンジン、セロリ、ロールパンなどの新鮮な果物や野菜)などがあります。スペースシャトルの宇宙食はプラスチックの容器に入っており、水やお湯を加えて元に戻すもの、オーブンで加熱することができるものなどがあります。NASAの宇宙食には、短期ミッション(スペースシャトル)用メニューと長期ミッション(ISS)用メニューの2種類があり、それぞれ180種類以上の食品がメニューに載っています。また、ロシアの宇宙食のメニューは100種類以上あって、ボルシチなどのロシア名物料理もメニューに含まれていますが、NASA宇宙食と比べて缶詰食品が多いようです。
 
 
 
宇宙食についているアダプターから水を加え、ハサミで上面を開き、スプーン等で食べます。加水の量や待ち時間は食品によって異なり、各宇宙食のラベルに記載されています。写真は、国際宇宙ステーション(ISS)のロシアのサービスモジュールで水を加え手でもんで調理している様子です。
 
 
 
粉末の状態で宇宙に持って行き、水を加えて飲みます。飲むときにはストローをつけますが、ストローにはクリップがついていて、クリップを閉じると水が飛び出さないようになっています。  水を飲む時は空の容器を持って行き、ギャレーでその容器に水を入れて飲みます。写真は、2000年10月、STS-92ミッションで若田光一宇宙飛行士がロボットアームを操作する前にソフトドリンクを飲んでいる様子です。
 
 
 
調味料も塩、こしょう、ケチャップ、マスタード、マヨネーズがそろっていますが、塩とこしょうは飛び散らないように液体になっています。また、食事用のトレーには宇宙食を固定できるよう、マジックテープがついています。
 
 
 
 
 
写真は、国際宇宙ステーション(ISS)のロシアサービスモジュール内で、缶詰などの宇宙食を乗せた調理台と調理用機器を見せるセルゲイ・トレシェフ宇宙飛行士です。
 
 
 
ISSに長期滞在経験のあるクルーの間では、食事が一番の楽しみだったという意見もあるそうです。3ヶ月から半年間という長期にわたり宇宙という閉鎖空間で生活するため、ISSのクルーにとって、宇宙飛行士の日課の中でも食事は重要な役割を占めるようです。仕事の合間に一息入れて、同僚との会話がはずむ食事時には宇宙食は大活躍です。国際宇宙ステーション(ISS)では、スペースシャトルやプログレスで補給が来たときは、野菜やフルーツなど生鮮食品が食べられます。写真は、2002年4月16日に国際宇宙ステーション(ISS)サービスモジュールで撮影されたSTS-110クルーと第4次長期滞在クルーとの合同食事の様子です。宇宙食は、飛行前には必ずNASAジョンソン宇宙センター内の「フード・ラボ」で、審査を受けることになっています。ここでの検査に合格すれば、宇宙飛行士は好みの食事を宇宙に持っていくことができます。