活動概要
金井宣茂宇宙飛行士がNASA極限環境ミッション運用 - 最新探査技術(NEEMO-NXT "ニーモ・エヌ・エクス・ティー":NASA Extreme Environment Mission Operations - Neoteric eXploration Technologies)に参加しました。
従来、NEEMOは米国フロリダ州タバナー沖の海底に設置されている「アクエリアス」と呼ばれる居住スペースがある海底研究室に滞在し、閉鎖環境におけるチームワーク・リーダーシップ・自己管理および異文化対応などのチーム行動能力の更なる向上を図るとともに、ISSや将来の有人探査に向けた技術の検証・評価を行っていました。
これに対して、NEEMO NXTでは、有人探査を模擬したミッションとして、将来探査に必要な運用訓練や技術開発をより機動的に実施することを重視しています。
今回の実施場所であるカタリナ島は探査ミッションで想定される地質学調査を実演するのに適しており、宇宙飛行士は2日間に亘る地質学実習の実施後、内部を大気圧に保つ硬式潜水服(Exosuit "エグゾスーツ")及び複座潜水艇(Dual DeepWorker "デュアル・ディープワーカー")を用いて、探査ミッションを模擬した潜水作業を実施しました。
金井宇宙飛行士によると、Exosuitは、外見はあたかもロボットスーツであり、その着用感は、NASAの宇宙服とは違い、個人用の潜水艇を操縦する感覚だそうです。
複座潜水艇を使った海中地質学調査の実証では、音声・ビデオをつないで地上側と情報交換して、効率的な地質学的調査を行うために必要な知見を得ました。 最終日、金井宇宙飛行士はDual DeepWorkerに搭乗し、Exosuitとの協調運用を行いました。
参考:これまで複数のJAXA宇宙飛行士がNEEMOに参加しています
- 2019年 金井宇宙飛行士 NEEMO20
- 2014年 星出宇宙飛行士 NEEMO18
- 2012年 油井宇宙飛行士 NEEMO16
- 2011年 大西宇宙飛行士 NEEMO15
- 2007年 古川宇宙飛行士 NEEMO13
- 2006年 若田宇宙飛行士 NEEMO10
実施期間 | 2019年8月19日(月)から28日(水)の10日間(米国時間) |
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実施場所 | 米国カリフォルニア州カタリナ島 南カリフォルニア大学 リングレー海洋科学センター |
参加宇宙飛行士 | 金井宣茂(JAXA宇宙飛行士) Thomas Pesquet(ESA宇宙飛行士) Andrew J. Feustel(NASA宇宙飛行士) |
関連リンク
Exosuitを使った海中での活動は、宇宙服を着て実施する船外活動とは異なりますが、同じくらいの集中力を必要とする大変な作業でした。Exosuitでのダイビングだけでなく、Dual DeepWorkerを使った海中での地質学調査など、何事も初めてという環境で、トラブルに柔軟に対処しつつ、チームとしての目的を達成するという体験は、宇宙飛行ミッションにも通じるものだと思います。