国際宇宙ステーション(ISS)の第48次/第49次長期滞在クルーである大西宇宙飛行士は、米国のNASAジョンソン宇宙センター(JSC)と、ドイツ ケルンにある欧州宇宙機関(ESA)の宇宙飛行士訓練センター(EAC)で、ISS長期滞在に向けた訓練を行いました。
JSCでは、ISS運用全般に関わる訓練を行いました。
船外活動に関わる訓練では、ISSの実物大の訓練施設が沈められている無重量環境施設(Neutral Buoyancy Laboratory: NBL)のプールを利用して、船外機器の交換作業を想定した訓練を実施しました。この他に、船外活動時に着用する船外活動ユニット(Extravehicular Mobility Unit: EMU)の定期的なメンテナンス方法やフィットチェック、セルフレスキュー用推進装置(Simplified Aid For EVA Rescue: SAFER)の操作などについて訓練を行いました。
大西宇宙飛行士は、ISS長期滞在をともにするアナトーリ・イヴァニシン、キャスリーン・ルビンズ両宇宙飛行士と一緒に、ISSで緊急事態が発生したことを想定した訓練も実施しました。訓練では、火災発生が模擬され、ISSのモックアップ(実物大の訓練施設)の中で、手順書に沿ってクルーで協力しながら対処にあたりました。また3人は、ISS滞在中に仲間のクルーが心肺停止状態になったことを想定した訓練を実施し、人工呼吸・心臓マッサージの手法やAED(自動体外式除細動器)の操作を確認しました。大西宇宙飛行士らは、ISSでの日常的な作業の流れを体感するためにタイムラインに沿って作業を進めるシミュレーション訓練も実施しました。
これらの訓練の他に、大西宇宙飛行士は、ISSの米国モジュールの軌道上メンテナンスに関する試験を受けました。大西宇宙飛行士は、メンテナンスに関わる技術・知識に加えて、不具合に対して地上と連携して適切に対処する技能を有するオペレータの認定を受けました。
また、大西宇宙飛行士は、医学データの取得作業も行い、JAXAのSynergy実験の飛行前データを取得しました。
6月8日から12日にかけて訪れたEACでは、「コロンバス」(欧州実験棟)のシステムと実験装置について訓練を受けました。大西宇宙飛行士は、「コロンバス」のシステム全体を学び、オペレータとしての資格を取得しました。実験装置については、筋萎縮抵抗研究・運動システム(MARES)などの機器の概要を学びました。
大西宇宙飛行士は、日々の訓練の様子をGoogle+で紹介していますので、是非こちらもご覧になってください。