JAXA宇宙飛行士活動レポート 2015年6月
最終更新日:2015年7月28日
JAXA宇宙飛行士の2015年6月の活動状況についてご紹介します。
油井宇宙飛行士、ISS長期滞在に向けた訓練を実施
国際宇宙ステーション(ISS)の第44次/第45次長期滞在クルーである油井宇宙飛行士は、ISS長期滞在に向けて、米国のNASAジョンソン宇宙センター(JSC)とロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センターで訓練を行いました。
JSCでは、ミッション固有の作業に関する手順や、ISSのロボットアーム(SSRMS)を操作して無人の補給船を把持する手順などについて復習したほか、ISSで使用するカメラの確認などを行いました。
油井宇宙飛行士は、各種医学実験の飛行前データの取得も行い、JAXAの「長期宇宙滞在飛行士の姿勢制御における帰還後再適応過程の解明」(Synergy)のデータも取得しました。Synergy実験は、宇宙から帰還した後の地上への再適応過程に注目し、宇宙飛行士の帰還後のリハビリテーション法に応用できるデータを計測することを目指します。
ソユーズ宇宙船のシミュレータで訓練を行う油井宇宙飛行士ら(出典:油井宇宙飛行士のTwitterより)
訓練の合間には、ミッションコントロールセンターでISSとの交信を行うCAPCOM(Capsule Communicator)の業務に立ち会う機会もあり、油井宇宙飛行士は、ISSに滞在するクルーと地上のコミュニケーションの取り方について、理解を深めました。
6月末にはロシアへ移動し、ソユーズ宇宙船の飛行中の運用を想定したシミュレーション訓練を実施しました。油井宇宙飛行士は、手動操縦でISSにドッキングする手順の訓練や、オレッグ・コノネンコ、チェル・リングリン両宇宙飛行士とともに、打上げからドッキングするまでの流れを確認する訓練などを行いました。
- 油井宇宙飛行士のISS長期滞在
- 油井宇宙飛行士のツイッター
大西宇宙飛行士、ISS長期滞在に向けた訓練を実施
国際宇宙ステーション(ISS)の第48次/第49次長期滞在クルーである大西宇宙飛行士は、米国のNASAジョンソン宇宙センター(JSC)と、ドイツ ケルンにある欧州宇宙機関(ESA)の宇宙飛行士訓練センター(EAC)で、ISS長期滞在に向けた訓練を行いました。
JSCでは、ISS運用全般に関わる訓練を行いました。
EMUのフィットチェックにおいて、スイッチの操作性を確認する大西宇宙飛行士(出典:大西宇宙飛行士のGoogle+より)
船外活動に関わる訓練では、ISSの実物大の訓練施設が沈められている無重量環境施設(Neutral Buoyancy Laboratory: NBL)のプールを利用して、船外機器の交換作業を想定した訓練を実施しました。この他に、船外活動時に着用する船外活動ユニット(Extravehicular Mobility Unit: EMU)の定期的なメンテナンス方法やフィットチェック、セルフレスキュー用推進装置(Simplified Aid For EVA Rescue: SAFER)の操作などについて訓練を行いました。
大西宇宙飛行士は、ISS長期滞在をともにするアナトーリ・イヴァニシン、キャスリーン・ルビンズ両宇宙飛行士と一緒に、ISSで緊急事態が発生したことを想定した訓練も実施しました。訓練では、火災発生が模擬され、ISSのモックアップ(実物大の訓練施設)の中で、手順書に沿ってクルーで協力しながら対処にあたりました。また3人は、ISS滞在中に仲間のクルーが心肺停止状態になったことを想定した訓練を実施し、人工呼吸・心臓マッサージの手法やAED(自動体外式除細動器)の操作を確認しました。大西宇宙飛行士らは、ISSでの日常的な作業の流れを体感するためにタイムラインに沿って作業を進めるシミュレーション訓練も実施しました。
これらの訓練の他に、大西宇宙飛行士は、ISSの米国モジュールの軌道上メンテナンスに関する試験を受けました。大西宇宙飛行士は、メンテナンスに関わる技術・知識に加えて、不具合に対して地上と連携して適切に対処する技能を有するオペレータの認定を受けました。
また、大西宇宙飛行士は、医学データの取得作業も行い、JAXAのSynergy実験の飛行前データを取得しました。
コロンバスの訓練後に撮影したひとコマ(出典:大西宇宙飛行士のGoogle+より)
6月8日から12日にかけて訪れたEACでは、「コロンバス」(欧州実験棟)のシステムと実験装置について訓練を受けました。大西宇宙飛行士は、「コロンバス」のシステム全体を学び、オペレータとしての資格を取得しました。実験装置については、筋萎縮抵抗研究・運動システム(MARES)などの機器の概要を学びました。
大西宇宙飛行士は、日々の訓練の様子をGoogle+で紹介していますので、是非こちらもご覧になってください。
- Google+
金井宇宙飛行士、NEEMO20事前訓練を実施
船外活動ツールを確認する金井宇宙飛行士ら(出典:NASA NEEMOのTwitterより)
金井宇宙飛行士は、第20回NASA極限環境ミッション運用(NEEMO20)訓練に備えて、NASAジョンソン宇宙センター(JSC)で事前訓練を行いました。
金井宇宙飛行士は、一緒に訓練に参加するメンバーとともに、訓練の概要や、訓練期間中に滞在する海底実験施設(アクエリアス)について講義を受けたほか、訓練中に実施される船外活動で使用するツールの使用方法などを学びました。
NEEMO訓練は、閉鎖環境におけるチームワーク・リーダーシップ・自己管理および異文化対応などのチーム行動能力の更なる向上を図り、ISS長期滞在に備えることを目的としています。
- 第20回NASA極限環境ミッション運用(NEEMO20)訓練
古川宇宙飛行士、航空機操縦訓練を実施
古川宇宙飛行士は、6月1日から12日にかけて、大分県国東市にある大分空港で、本田航空株式会社が所有する双発機ホーカー・ビーチクラフト式 G58型(Baron)を利用した航空機操縦訓練を行いました。
この訓練は、航空機を操縦しながら交信・判断などを行い、宇宙飛行士に求められる資質のひとつであるマルチタスク能力の維持・向上を図るものです。
訓練期間中、古川宇宙飛行士は、フライトシミュレータを使用した操縦方法の習熟訓練や、飛行に関するさまざまな講義を受けました。実際の飛行においては、航空機の姿勢・高度・位置・針路の測定を計器のみを頼りに行う飛行や、異常発生時の対処などを実習しました。
「スペースドーム」リニューアル記念内覧会に星出宇宙飛行士が出席
スピーチする星出宇宙飛行士(出典:JAXA)
筑波宇宙センターの展示館「スペースドーム」が6月23日にリニューアルオープンするのに先立ち、6月22日、つくば市や協力機関などを招いた記念内覧会を開催し、このイベントに星出宇宙飛行士も参加しました。
今回のリニューアルで、「きぼう」日本実験棟の実物大模型は、宇宙博2014(幕張)で展示されていた模型に一新され、外観・内装ともに本物さながらとなりました。内覧会において、星出宇宙飛行士は「きぼう」の見どころを関係者に説明しました。
- 筑波宇宙センター 展示館スペースドーム リニューアルオープン!
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