油井宇宙飛行士、ロシアと日本でISS長期滞在に向けた訓練を実施
国際宇宙ステーション(ISS)の第44次/第45次長期滞在クルーである油井宇宙飛行士は、8月前半はロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センターで訓練を行い、8月後半は一時帰国し、筑波宇宙センターで訓練を行いました。
ロシアでは、ソユーズ宇宙船とロシアモジュールについて訓練を行いました。ソユーズ宇宙船の訓練では、シミュレータを使用して、打上げからISSにドッキングするまでの運用を、実際の運用と同じ時間をかけて模擬した訓練や、ISSへの接近・ドッキングおよびISSから分離後の大気圏再突入において、自動制御モードが不具合などにより使用できない場合を想定して、ソユーズ宇宙船を手動で操縦する訓練を行いました。
ロシアモジュールについては、コンピュータ上で在庫管理システムを操作する方法を確認したほか、モジュール内の機器の配置について試験を受けました。また、急減圧が発生したことを想定した訓練も行い、減圧室内に設置されている実物大のロシアモジュールの訓練施設を利用して、圧力差で開閉しづらくなったハッチの操作などを実際に体験しました。
ISSからの緊急帰還を想定した訓練も実施し、ソユーズ宇宙船に搭乗してISSから離脱した後、ソユーズ宇宙船に発生するさまざまな不具合に対処しながら帰還するシミュレーションを行いました。
ロシアでの訓練期間中、油井宇宙飛行士は、ソユーズ宇宙船搭乗時に着用するソコル宇宙服の開発メーカーであるズヴェズダ社を訪れました。油井宇宙飛行士は、自身の体型に合わせて作製されたソコル宇宙服を着用し、ソユーズ宇宙船の自身専用の座席とのフィットチェックや、低圧環境下で宇宙服が正常に機能することを確認する試験に参加しました。油井宇宙飛行士は、ソユーズ宇宙船の開発を手掛けるRSCエネルギア社にも訪れ、普段の訓練では触ることのできない実機を確認しました。
筑波宇宙センターでは、「きぼう」日本実験棟のシステムと実験に関連する訓練を行いました。
「きぼう」船内実験室の運用に関わる訓練を受ける油井宇宙飛行士ら(出典:JAXA)
Aniso Tubule実験に関わる訓練を受ける油井宇宙飛行士ら(出典:JAXA)
「きぼう」のシステムについては、これまでに学んだ知識・技術を再確認する訓練を行ったほか、宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)がISS接近時に使用する近傍通信システム、「きぼう」のエアロック、カメラなどの運用や機器のメンテナンス方法について訓練を行いました。
「きぼう」の運用管制チームと合同で、「きぼう」ロボットアームの運用を想定した訓練も行いました。油井宇宙飛行士は、運用管制チームと連携しながらシミュレータ上でロボットアームを操作し、通常の運用に加えて不具合の発生も模擬される中で、運用管制チームと協調して運用を進める経験を積みました。
「きぼう」での実験については、実験テーマや実験装置の概要を訓練を通して学びました。
大西宇宙飛行士、米国とロシアでISS長期滞在に向けた訓練を実施
国際宇宙ステーション(ISS)の第48次/第49次長期滞在クルーである大西宇宙飛行士は、8月前半は米国のNASAジョンソン宇宙センター(JSC)で訓練を行い、8月後半はロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センターで訓練を行いました。
JSCでは、ISSでの船外活動に関する訓練を中心に行いました。船外活動で使用される工具の確認や、ISSの実物大の訓練施設が沈められている無重量環境訓練施設のプールに潜り、ISSの船外機器のメンテナンス作業を想定した訓練などを行いました。
その他、宇宙飛行準備訓練の一環で、T-38ジェット練習機による飛行訓練を数回に渡って行いました。
ロシアでは、ソユーズ宇宙船のシステムについて学び、ISSからの分離、軌道離脱噴射、大気圏に突入後の宇宙船の姿勢コントロールから着陸に至るまでのシステムの動作について重点的に学びました。また、宇宙船とISSを結合させるために使用されるドッキングシステムについても、講義と実技訓練を受けました。
金井宇宙飛行士、ロシア語没入訓練を実施
金井宇宙飛行士は、7月中旬から8月末までロシアのモスクワに滞在し、没入型のロシア語訓練を行いました。
この訓練は、将来の国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在に備えて、ロシア人のクルーと円滑にコミュニケーションが取れるように、ロシア語だけではなく、ロシア文化を深く知るために実施しているものです。
金井宇宙飛行士は、モスクワで生活を送りながらロシア語のレッスンを受け、ロシアの文化やロシア人の物事の考え方に触れることでロシアに対する理解を深めました。
若田宇宙飛行士、JAXA関係者と技術報告会を実施
7月下旬から8月22日まで一時帰国していた若田宇宙飛行士は、国際宇宙ステーション(ISS)第38次/第39次長期滞在ミッション中の活動内容を関係者と振り返る技術報告会(デブリーフィング)を筑波宇宙センターで行いました。
若田宇宙飛行士は、ISS滞在中に若田宇宙飛行士の活動を地上から支えた「きぼう」日本実験棟の運用管制チーム(JAXA Flight Control Team: JFCT)や実験運用管制チーム(Payload Flight Control Team: PL FCT)、ISS長期滞在前に「きぼう」のシステムや実験について訓練を担当したインストラクタなどとミッションを振り返り、「きぼう」の運用や事前訓練の評価を行い、今後更に改善できる点などを話し合いました。
8月22日に浅草公会堂(東京都台東区)で開催した報告会の様子(出典:JAXA)
今回の帰国タイミングに合わせて、一般の方々を対象にしたミッション報告会も日本の各地で開催しました。国内でのミッション報告会は、10月末から11月のはじめにかけても開催する予定です。
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