このページは、過去に公開された情報のアーカイブページです。

<免責事項> リンク切れや古い情報が含まれている可能性があります。また、現在のWebブラウザーでは⼀部が機能しない可能性があります。
最新情報については、https://humans-in-space.jaxa.jp/ のページをご覧ください。

サイトマップ

宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センター宇宙ステーション・きぼう 広報・情報センタートップページ
  • Menu01
  • Menu02
  • Menu03
  • Menu04
  • Menu05
  • Menu06
  • Menu07

JAXA宇宙飛行士活動レポート

JAXA宇宙飛行士活動レポート 2014年3月

最終更新日:2014年4月30日

JAXA宇宙飛行士の2014年3月の活動状況についてご紹介します。

ISS長期滞在中の若田宇宙飛行士の活動については、JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在ページをご覧ください。

なお、これまで2年間に渡って連載してきました油井・大西・金井宇宙飛行士による活動報告「新米宇宙飛行士最前線!」は、今回で最後となります。これまでご愛読いただきありがとうございました。「新米」を卒業し、気持ちを新たに宇宙飛行士としての活動にまい進してまいります。

なお、コラムに対するアンケートは、5月30日(金)に受付けを締め切りました。貴重なご意見をありがとうございました。

油井宇宙飛行士のISS長期滞在に向けた訓練

国際宇宙ステーション(ISS)の第44次/第45次長期滞在クルーである油井宇宙飛行士は、NASAジョンソン宇宙センター(JSC)でISS長期滞在に向けたさまざまな訓練を行いました。

船外活動に関わる訓練では、船外活動を開始する前に船外活動クルーが実施する準備手順を確認しました。油井宇宙飛行士は、体内に溶け込んでいる窒素を排出することで船外活動中の低気圧環境下で減圧症(ベンズ)にかかることを防ぐ手順を確認しました。

また、ISS滞在中に医療担当クルー(Crew Medical Officer: CMO)が行う医学検査の手順や救急処置法、医療機器の使い方についても訓練を行いました。

油井宇宙飛行士は、軌道上で医学実験や検査で使用する機器の操作方法も学び、筋量の測定などに使用する超音波装置や、眼の検査に使用する機器、加速度を測定することで体重を計る軌道上加速重量計測機器(Space Linear Acceleration Mass Measurement Device: SLAMMD)といった装置の使い方を訓練を通して確認しました。

ISSで実施される実験についても訓練を受け、食事メニューや食事をとる環境が宇宙飛行士のストレスやチームの雰囲気にどのような影響を及ぼすか調べるNASAの研究や、欧州宇宙機関(ESA)の植物実験装置の操作方法を学びました。

今後も油井宇宙飛行士は、2015年6月頃から予定されているISS長期滞在に向けて訓練を継続していきます。油井宇宙飛行士は、自身のTwitterで訓練の様子や近況などをつぶやいていますので、是非こちらもご覧になってください。

https://twitter.com/Astro_Kimiya

大西宇宙飛行士のISS長期滞在に向けた訓練

国際宇宙ステーション(ISS)の第48次/第49次長期滞在クルーである大西宇宙飛行士は、3月前半は2月に引き続きロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(Gagarin Cosmonaut Training Center: GCTC)で訓練を行い、3月後半は米国のNASAジョンソン宇宙センター(JSC)で訓練を行いました。

GCTCでは、ソユーズ宇宙船の熱制御システム・通信システム・推進システム・電力システムについて訓練を行いました。大西宇宙飛行士は、各システムについて講義を受け、シミュレータを使用した実習や知識を確認するための試験を受けました。

JSCでは、ISSの電力システムやISSで使われる水の運用方法、ISSに搭載されている工具の使い方、ISSで実施する機器のメンテナンス作業の概要、無人の補給船を把持するためのISSのロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS)の操作方法などについて訓練を行い、ISSの運用に関わる幅広い知識と技術を学びました。

大西宇宙飛行士は、今後も米国とロシアを中心に、2016年6月頃から予定されているISS長期滞在に向けて訓練を積み重ねていきます。

金井宇宙飛行士、米国マクスウェル空軍基地でリーダシップ訓練に参加

写真:より大きな写真へ

訓練の様子(出典:U.S. Air Force photo/Staff Sgt. Gregory Brook)

金井宇宙飛行士は、NASAやカナダの宇宙飛行士らとともに、米国アラバマ州にあるマクスウェル空軍基地にて、3月3日から5日にかけてリーダシップ訓練に参加しました。

この訓練は、NASAと米国空軍とが協力して開発したもので、体力的にも精神的にも厳しい環境の中で目標に向けてチームで行動し、リーダシップやチームワークを養うために行われました。

金井宇宙飛行士らは、時間の制約やコミュニケーションの制限などが敷かれる中で、さまざまな課題に臨みました。


油井・大西・金井宇宙飛行士による活動報告「新米宇宙飛行士最前線!」



みなさんこんにちは。

いつも宙亀日記を読んでいただき、本当に有難うございます。

突然ですが新米宇宙飛行士最前線の企画は今回で終了となります。3月・4月といえば卒業・入学の季節ですが、私達も新米飛行士としての甘えを断ち切り、一人前の飛行士として認めて頂ける様に、しっかりと頑張りたいと思います。

今回は最後に相応しいテーマを選びたいと思ったのですが、突然の事でどの様なテーマが良いか自分でも決めかねている面もあります。

書く内容について迷いに迷っていた為、今回は全く違うテーマで3回ほど書き直してしまいました。最終回って難しいですね(苦笑)。

さて、皆さんは宇宙開発に対して関心や興味がおありですか?このブログを読んでいただいている方々は、勿論、関心や興味があるので、私達の日記を読んで頂いたのだと思います。皆様の様に、宇宙開発に対して興味を持っていて下さる方々が、私達の日記を通じて宇宙開発について更に理解を深め、私達の活動をサポートして頂ける様になったのなら、この企画は大成功だったと言えるのではないかと思います。私達3人がこの企画を頂いた時、私達の訓練や実務を直接皆様方に紹介する機会を与えて頂いた事を本当に嬉しく思いました。そして、これまで本編は21回、(NEEMO中の海亀編を含めると、28回)皆さんにお付き合い頂きました。正直、皆様方にどれだけ興味を持って読んで頂けたのか心配な部分もあります。色々と至らない面も多かったとは思いますが、ご容赦下さい。そんな私達を応援して下さった方々に対し、心よりお礼を申し上げたいと思います。特に、私達に対してご意見・ご感想などのメッセージを送って下さった方々!皆様方の暖かい言葉に、私は何度も励まされました。最近は言葉の持つ力の大きさを痛感しています。私もこの言葉の持つ力を利用して、多くの方々がそれぞれの能力をプラスの方向に発揮して頂くよう、努力していきたいと思います。そして、多くの国の方々がお互いをよく理解し、励まし合い協力して、より良い世界を築いていく助けが出来れば嬉しいです!

言葉と言えば、ツイッターをご覧の方々がご存知のとおり、私はロシア語を学ぶのが大好きなのです。そして、ロシア語の美しい意味を持つ言葉や表現を学び、その言葉を使う機会を探すのが大好きです!何故なら、その美しい言葉を使い、上手く相手に伝わった瞬間に、相手の魂が輝くのを感じる事が出来るからです。言葉とは何と素晴らしい力を持っているのでしょう!ただ、気を付けなければならないのは、言葉の力を間違った方向に使うと、人を傷つけ、争いを招き、時には人を死に至らしめる事もあります。言葉を発する際には、自分の言葉がどの様に受け取られ、どの様な結果をもたらすのかしっかり考える様にしなければなりませんね。実は、これは私が気をつけている事でもあるのです。特に、怒りの感情を持った時は皆さんも気を付けて下さいね。私も人間ですから、時には腹を立てることもあります…でも、そんな時はまず、自分の率直な思いを書いてみる事にしています。そして、自分の書いた文章を一晩寝た後に見直してみます。一晩寝ると、腹を立てていた感情が和らいでいて、極めて冷静に昨日の自分を評価できます。そして「自分もまだまだ未熟だな」と気付きつつ、その怒りの感情を他人にぶつけなくて本当に良かったと胸をなでおろします。これは、自分に向けての言葉でもありますが、言葉を発する時は、常に冷静に論理的・理論的な思考を、或いは思いやりの感情を持っていたいものですね。

さて、話は変わりまして、今後のお話です。私は、新米宇宙飛行士最前線が終了した後も、何らかの形で宙亀日記を継続していきたいと考えています。ただ、これだけは私の一存では決定出来ないので、暫くお待ち下さい。皆様方からのご意見にも出来るだけ沿いたいと思いますので、率直な感想やご意見を頂ければと思います。宙亀日記の今後については、関係者と相談しながら決定する事になります。決定次第ツイッターで情報を提供させて頂きますね!





今月も引き続き、ロシアの星の街での訓練が続いています。

前回のセッションでは、ソユーズ宇宙船の通信システムや電力システム、熱制御システムなどについて学びました。今回のセッションから、いよいよモーションコントロールシステムの訓練が始まっています。

先月号で少し触れましたが、ソユーズの訓練で1番の山場と言っても過言ではありません。

モーションコントロールというのは、もう少し具体的に言うと、ソユーズの姿勢のコントロール、3次元空間での動きを制御するシステムです。

ロケットから切り離された後、国際宇宙ステーションの高度まで近づき、さらにドッキング、半年間のミッションを終えた後には宇宙ステーションから離脱し、その後の大気圏突入までをコントロールする非常に重要なシステムになります。

一口に姿勢のコントロールと言っても、簡単なことではありません。

例えば、普段私たちはどちらが上でどちらが下か、自分の姿勢がどうなっているのかを特に意識せずとも判断することが出来ます。重力があるので、自分の体重がかかっている方向が常に下になって、それと反対の方向が上という具合です。

宇宙空間では、この当たり前のことがまずわからないのです。

上下の概念自体そもそもありませんが、自分が地球に対してどういう姿勢を取っているのかを理解するところから始めなければなりません。そうして初めて、自分が所望する姿勢にもっていく為にどういう操作が必要かが計算できるわけです。

このあたりは、私が乗ってきた飛行機の考え方とも全く違っていて、とても勉強していて楽しいです(勉強はとても大変ですが)。

4月11日、このシステムの最初の試験が無事終わりましたが、ここまでの訓練を担当して下さったViktor Suvorov教官は、なんと45年間もガガーリンコスモノートセンターで働いているそうです。45年前と言うと、まだ私は生まれてもいません。ソユーズ宇宙船の歴史は1967年から始まりますので、そのほとんど全てを見てきた、まさにマスターヨーダのような方です(わからない方ごめんなさい)。

ソユーズのシステムには数々のバックアップ手段がありますが、それらのバックアップが開発された背景には、大概過去に実際に発生した不具合が絡んでいて、この教官の授業では、

「これはどうしてこうなっているのか?」

といった質問をすると、

「それはのう、今を遡ること○○年前のソユーズ○号でのことじゃった・・・」

という裏話を聞くことが出来るので、とても楽しいのです。

NASAの教官は比較的若い方が多いのですが、星の街の教官にはこのような超ベテランの方が多く、そういう米ロ間の違いも興味深いですよね。

写真

モックアップでの訓練の前に、マスターヨーダからブリーフィング(出典:JAXA/GCTC)



写真

手動で姿勢をコントロールする操作を練習中(出典:JAXA/GCTC)

さて。

宇宙飛行士活動レポート2012年4月号から始まったこのコラム企画も、はや2年。この2年の間に多くのことがありました。もちろん、読者の皆さんにとっても誰にとっても等しく多くのことがあったことでしょう。

新たな年度を迎えるにあたり3人で相談した結果、ひとまず現在の形での『新米宇宙飛行士最前線』はここで終わりにしようということになりました。

宇宙飛行士自身の口で、生の声をお伝えしようという目的で始まったこの企画、始めるにあたって個人的に目指したことが3つあります。

1つは、なるべく色々な話題について書くということ。

もう1つは、とかく専門的になりがちな私たち宇宙飛行士の世界を、なるべく平易な言葉で、一般の方々にもわかりやすく書くということ。

そして最後に、背伸びをせず、等身大の自分の気持ちを書くということ。

実際に書いてみると、いずれもなかなかに難しい目標でした。特に2つ目の目標は。

専門用語の飛び交う世界に長いあいだ身を置いていると、世間一般で通用する言葉と、そうでない言葉の区別が難しくなることがあります。かと言って、全てを一般的な表現に書き換えてしまうと、それはそれで現場の臨場感が薄れてしまうこともあったり。そのあたりのさじ加減には、一番気を遣いました。

自分なりに色々と工夫して書いてきたつもりではありますが、いかがでしたでしょうか?

今後の情報の発信の仕方については、広報の担当者とも相談しながら、考えていこうと思います。個人的には何らかのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を利用してみたいなという希望もあります。

これまでに頂いたご意見・コメントは全て読ませて頂いてます。それらを参考にしつつ、なるべく間をおかず始めたいと思っていますので、引き続きどうぞよろしくお願いしますね!

画像



≫「新米宇宙飛行士最前線!」のバックナンバーはこちら


≫JAXA宇宙飛行士活動レポートの一覧へ戻る

 
Copyright 2007 Japan Aerospace Exploration Agency SNS運用方針 | サイトポリシー・利用規約