国際宇宙ステーション(ISS)の第44次/第45次長期滞在クルーである油井宇宙飛行士は、1月上旬は米国のNASAジョンソン宇宙センター(JSC)で訓練を行い、中旬以降はロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(Gagarin Cosmonaut Training Center: GCTC)で訓練を行いました。
JSCでは、船外活動に関連する訓練を中心に行いました。訓練のひとつとして、船外活動ツールを操作する際に体を固定する方法を確認しました。この訓練で油井宇宙飛行士は、無重量空間での作業を模擬するためにクレーンによって体が吊り上げられた状態になりました。その状態で実際に船外活動ツールを使用してボルトを締める作業を行い、体が一緒に回転してしまわないように、船外活動ツールを持つ手とは反対の手でハンドレール(手すり)を握った状態で作業を行う方法を確かめました。また、ISSの実物大の訓練施設が沈められたプールに訓練用の宇宙服を着用して潜り、ISSの船外機器の交換作業を模擬した訓練も行いました。
GCTCでは、ソユーズ宇宙船のコマンダーであるオレッグ・コノネンコ宇宙飛行士と一緒に、ソユーズ宇宙船の打上げ準備からISSへドッキングするまでの運用をシミュレーションした訓練や、ソコル宇宙服を着用した状態でソユーズ宇宙船のシミュレータに入り、ソユーズ宇宙船が飛行している間に火災や減圧といった緊急事態が発生したことを想定した対処訓練を行いました。油井宇宙飛行士は、手動操縦によるソユーズ宇宙船の飛行訓練も行いました。その他、ソユーズ宇宙船の専用シートライナーを作るために石膏で体の型取りを行いました。
油井宇宙飛行士は、ロシアモジュールの調理設備やトイレの使用方法などを含む環境制御・生命維持システムについての訓練も行いました。
現地時間の1月27日から29日にかけては、GCTCの屋外で冬期サバイバル訓練を実施しました。油井宇宙飛行士は、ソユーズ宇宙船で一緒に飛行するコノネンコ宇宙飛行士とNASAのチェル・リングリン宇宙飛行士とともに訓練に臨みました。
この訓練は、極寒の地にソユーズ宇宙船が不時着した事を想定して行われるもので、クルー全員で協力しながら厳しい環境下で野外生活を送り、サバイバル技術を実地で身につけることが目的です。ソユーズ宇宙船が予期しない場所に不時着した場合は、捜索に2、3日要する可能性があることから、訓練は2泊3日の行程で実施されました。
油井宇宙飛行士らは、ソユーズ宇宙船のパラシュートと木材を使ったシェルタの設営方法や、火のおこし方、救助隊への連絡方法、発煙筒の使い方などを実習しました。