国際宇宙ステーション(ISS)の第38次/第39次長期滞在クルーである若田宇宙飛行士は、8月前半はロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(Gagarin Cosmonaut Training Center: GCTC)で、8月後半は米国のNASAジョンソン宇宙センター(JSC)でISS長期滞在に向けた訓練を行いました。
GCTCでは、ISS長期滞在をともにするロシアのミハイル・チューリン宇宙飛行士と、NASAのリチャード・マストラキオ宇宙飛行士と一緒に、ISSのロシアモジュールやソユーズ宇宙船の運用において火災や急減圧などの緊急事態が発生した場合に備えた訓練を行いました。
ロシアモジュールで火災が発生したことを想定したシミュレーションでは、実物大のロシアモジュールの訓練施設を使用し、コマンダーである若田宇宙飛行士の指揮の下、3人で協力しながら対処にあたる訓練を行いました。クルーは、消火活動の手順や、鎮火できなかった場合にソユーズ宇宙船に退避してISSから緊急帰還する手順を実習し、緊急事態の対処手順の理解やチームワークをより一層深めました。この訓練の模様は報道関係者に公開されました。同日に行われた記者会見では、ミッションに向けた準備が順調に整ってきていることを若田宇宙飛行士が報道関係者に報告しました。
若田宇宙飛行士はこの他に、ロシアモジュールで急減圧が発生したことを想定した対処訓練や、ソユーズ宇宙船が弾道モードで帰還する際にクルーが体感する重力を遠心加速器で模擬し、8~9Gの加速度が身体にかかる環境の中でソユーズ宇宙船の機器を操作する訓練などを行いました。
JSCでは、船外活動に関連する訓練や、ISS滞在中に行う実験とISSのシステムに関連する作業について打ち合わせを行いました。また、ISSの「きぼう」日本実験棟や、米国、ヨーロッパ側の各モジュールで火災や急減圧、有毒物質漏れなどの緊急事態が発生したことを想定した訓練も実施し、報道関係者にこの模様を公開しました。8月28日には、第38次/第39次長期滞在クルー3名が揃って記者会見に参加し、飛行準備が万全であることやミッションの抱負などを集まった報道関係者に語りました。