国際宇宙ステーション(ISS)の第38次/第39次長期滞在クルーである若田宇宙飛行士は、ドイツにある欧州宇宙機関(ESA)の欧州宇宙飛行士センター(European Astronaut Centre: EAC)と、ロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(Gagarin Cosmonaut Training Center: GCTC)を訪れ、ISS長期滞在に向けた訓練を行いました。
ドイツのEACでは、4月9日から11日にかけて、ISS長期滞在をともにするNASAのリチャード・マストラキオ宇宙飛行士と一緒に、「コロンバス」(欧州実験棟)と欧州補給機(Automated Transfer Vehicle: ATV)の運用に関わる訓練を行いました。コロンバスについては、システム機器と実験機器の使用方法および交換方法を確認し、ATVについては、打上げから役目を終えて再突入するまでのミッションの流れや機体の概要を確認したほか、ISSに結合しているATVで火災や急減圧などの緊急事態が発生した場合の対処方法や、ATVとISS間の物資の移送に関する訓練を行いました。
4月下旬からは、ロシアのGCTCで、ソユーズTMA-09M宇宙船(35S)に搭乗するクルーの飛行前最終訓練にバックアップクルー(交代要員)として参加し、ISSのロシアモジュールとソユーズ宇宙船の集中的な訓練を行いました。
そして、訓練の総仕上げである最終試験が4月25日から始まり、35Sのプライムクルーとともに、若田宇宙飛行士らバックアップクルーも最終試験に臨みました。
試験は、プライムクルーとバックアップクルーに分かれてシミュレータを使用して実施され、ソユーズ宇宙船が打ち上げられてからドッキングするまでの間の運用と、ISS滞在中のロシアモジュールの運用を想定し、様々なトラブルに対処しながら運用を進める技量が問われました。ソユーズ宇宙船が打ち上げられてから約6時間後(地球4周回後)にISSにドッキングする運用シナリオにおいては、地上のミッションコントロールと通信するための機器の故障や、船内の空気を浄化する機器の故障などに対処し、かつISSへのドッキングは、マニュアル操縦で安全に実行する能力が試されました。8時間以上に渡って実施されたISS滞在中のロシアモジュールでの作業を想定した試験では、急減圧発生などの異常への対応力が試されました。
シミュレーションの結果、プライムクルー、バックアップクルーともに試験に合格し、ソユーズTMA-09M宇宙船に搭乗するクルーとして正式に承認されました。35Sクルーが搭乗するソユーズTMA-09M宇宙船は、日本時間の5月29日に打ち上げられる予定です。