国際宇宙ステーション(ISS)の第38次/第39次長期滞在クルーである若田宇宙飛行士は、ロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(Gagarin Cosmonaut Training Center: GCTC)にて、ソユーズ宇宙船の打上げおよび帰還時の運用を中心に訓練を行いました。
ソユーズ宇宙船を構成するシステムのひとつである生命維持システムに重点を置いた訓練では、船内の空気を管理する機器の操作方法や、機器の異常への対処方法について、シミュレータを使用して打上げ時に行う操作の実技を行い、システムに対する理解を深めました。より実際に近い操作感覚を得るために、シミュレータにソコル与圧服を着用した状態で入り、機器を操作する訓練も行いました。生命維持システムには、軌道投入後からISSへドッキングするまでの間にソユーズ宇宙船内で宇宙飛行士が生活するために必要な空調、トイレ、食事関連機器、水供給システムなどといった機器が含まれますが、若田宇宙飛行士は、これらの機器の操作についてもシミュレータを使用して確認しました。
今回のGCTCでの訓練期間中には、ソユーズ宇宙船で実際に一緒に飛行する予定のロシアのミハイル・チューリン宇宙飛行士、NASAのリチャード・マストラキオ宇宙飛行士と合同で訓練を実施する機会もありました。3人は、ソユーズ宇宙船のシミュレータを使用し、手動でソユーズ宇宙船を操作してISSとのドッキングに向けて飛行させるシミュレーションを行いました。この訓練は、ソユーズ宇宙船の自動ドッキングシステムが作動しない状態を想定したもので、3人がそれぞれの担当任務を確実に実施しながら協調し、精度良くアプローチできるよう、接近する条件を変えながら繰り返し手順を訓練しました。
帰還の運用を模擬した訓練では、通常のISSからの帰還運用に加えて、ISSで火災の緊急事態が発生した場合を想定した緊急対処・緊急帰還運用などをシミュレーションし、若田宇宙飛行士はISSコマンダーに必要な知識を身につけました。
これらの訓練の他に、若田宇宙飛行士は、人工的に模擬重力を発生させる大型のセントリフュージに乗り込み、打上げ・帰還、それぞれの各フェーズにおける加重の推移をセントリフュージで再現し、打上げ・帰還の加重を実体験する訓練も実施しました。
若田宇宙飛行士ら3名のクルーは、2013年末頃にソユーズ宇宙船でISSへ向かい、約6ヶ月間、ISSに滞在する予定です。