国際宇宙ステーション(ISS)の第38次/第39次長期滞在クルーである若田宇宙飛行士は、ロシアを訪れ、ガガーリン宇宙飛行士訓練センター(Gagarin Cosmonaut Training Center: GCTC)で、ISSのロシアモジュールとソユーズ宇宙船のシステムや運用に関わる訓練を行いました。
若田宇宙飛行士は、ISS滞在中にロシアモジュールで実施する定常的な作業について講義を受けたほか、ISS内にある物品を管理する在庫管理システムや、ロシアモジュールのLANの使用方法について訓練を受けました。また、ロシアモジュールの搭載機器を扱う際に参照する手順書(Operations Data File: ODF)に関わる講義も受けました。定常的な運用に必要な知識に加えて、火災などの緊急事態が発生した際の対応についても訓練を行いました。
ソユーズ宇宙船については、シミュレータを使用して、ISSへ接近するための軌道調整マヌーバの実施に向けて、搭載機器の状態を確認する手順を実習で確認するなど、打上げから軌道投入、そしてISSとのランデブ・ドッキングに至るまでの飛行中の各段階における運用方法について復習しました。
6月中旬には、モスクワ郊外のノギンスクにあるロシア非常事態省の施設で、第38次/第39次長期滞在クルーのミハイル・チューリン、リチャード・マストラキオ両宇宙飛行士とともに、ソユーズ宇宙船が着陸する際に、海などの水上に不時着したことを想定したサバイバル訓練を行いました。この訓練では、水上に浮かべたソユーズ宇宙船の帰還モジュールのモックアップ(実物大の訓練用模型)に3人で乗り込み、スペースが限られ、かつ水上で揺れる帰還モジュールの中で、ソコル宇宙服から防寒・防水用の衣服に着替えて帰還モジュールから脱出する手順を確認しました。また、着水後、帰還モジュールの浸水を想定した訓練も行い、時間が限られる中、必要最低限の装備を身につけて迅速に脱出する方法についても学びました。訓練では、脱出方法のほかに、救助隊との連絡方法や、水上でのクルー3名での編隊の組み方などについても実技を通して習得しました。