JAXA宇宙飛行士活動レポート 2010年6月
最終更新日:2010年7月30日
JAXA宇宙飛行士の2010年6月の活動状況についてご紹介します。
野口宇宙飛行士、ISS長期滞在を終えて帰還
帰還した野口宇宙飛行士(中央)と、野口宇宙飛行士に付き添う若田宇宙飛行士(右)(出典:FSA)
帰還歓迎セレモニーに参加する(左から)野口、コトフ、クリーマー宇宙飛行士(出典:FSA)
2009年12月から国際宇宙ステーション(ISS)に滞在していた第22次/第23次長期滞在クルーの野口宇宙飛行士が、オレッグ・コトフ、ティモシー・クリーマー両宇宙飛行士とともに、ISSでの任務を終え、6月2日にソユーズ宇宙船(21S)で帰還しました。
野口宇宙飛行士の帰還時、若田宇宙飛行士がカザフスタン共和国の着陸地まで行き、NASAジョンソン宇宙センター(JSC)に戻るまでの間、野口宇宙飛行士に付き添いながら関係者との連絡・調整などを行い、野口宇宙飛行士の帰還を支援しました。
野口宇宙飛行士は、JSCに戻った後、医学検査やリハビリを受けるかたわら、関係者とのデブリーフィング(技術的な報告会)や記者会見などを行いました。
6月下旬には、コトフ、クリーマー両宇宙飛行士とともにロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(Gagarin Cosmonaut Training Center: GCTC)を訪れ、ソユーズ宇宙船に関わるデブリーフィングを行いました。また、歓迎セレモニーや記者会見に参加し、記者会見では、「実際に乗ってみないと分からないことがいっぱいあった。この体験を日本人宇宙飛行士の仲間に伝えたい」と語りました。
- 野口聡一宇宙飛行士
- JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在
ロシアでのISS長期滞在訓練
ソユーズ宇宙船のシミュレータで訓練を行う古川(奥)、アナトーリ・イヴァニシン(手前)両宇宙飛行士(出典:JAXA/GCTC)
国際宇宙ステーション(ISS)の第28次/第29次長期滞在クルーである古川宇宙飛行士と、第32次/第33次長期滞在クルーの星出宇宙飛行士は、ロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター(Gagarin Cosmonaut Training Center: GCTC)にて、それぞれソユーズ宇宙船やISSのロシアモジュールに関わる訓練を行いました。
ソユーズ宇宙船のフライトエンジニアを務める古川宇宙飛行士は、ソユーズ宇宙船のシミュレータを使用し、帰還中に帰還モジュール内で発生した火災に対応する訓練を実施しました。また、新型のソユーズ宇宙船の訓練が始まり、姿勢制御システムに関する講義を受けました。
ロシアモジュールのモックアップ内で訓練を行う星出宇宙飛行士(出典:JAXA/GCTC)
星出宇宙飛行士は、ISSのロシアモジュールの電力、軌道上コンピュータ、通信などの主要システムについて講義を受け、合わせてモックアップを使用した実技訓練を行いました。星出宇宙飛行士にとって、今回の訓練は長期滞在クルーに任命されてから初めてのロシアでの訓練であり、6年ぶりのロシアでの訓練となりました。
- 古川聡宇宙飛行士
- JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在
宇宙飛行士候補者訓練
油井、大西、金井宇宙飛行士候補者は、米国での宇宙飛行士候補者訓練を継続しています。
3人は、各々のスケジュールに沿って国際宇宙ステーション(ISS)のシステムと、船外活動に関わる訓練を中心に実施しました。
NBLのプールで船外活動の作業を模擬する油井宇宙飛行士候補者(出典:JAXA/NASA)
油井宇宙飛行士候補者は、船外活動ユニット(Extravehicular Mobility Unit: EMU)のフィットチェックの一環で、NASAジョンソン宇宙センター(JSC)にある無重量環境訓練施設(Neutral Buoyancy Laboratory: NBL)のプールを使用して、船外活動の作業を模擬しました。
大西宇宙飛行士候補者は、ISSでの火災や急減圧、電力系統の異常を想定した対処訓練のほか、ISSのモックアップ(実物大の訓練施設)を使用して、緊急時の対応手順の確認や各機器の搭載場所の確認を行いました。大西宇宙飛行士候補者は、6月で宇宙飛行士候補者(AStronaut CANdidate: ASCAN)としてのISS訓練を終えました。
金井宇宙飛行士候補者は、講義やモックアップを使用した訓練を通して、ISSのシステムや機器の操作について理解を深めました。
3人は、T-38ジェット練習機での飛行訓練や、語学訓練も継続しています。
KSCのOPFでの記念撮影(写真の上に見えるのは整備中のスペースシャトル「アトランティス号」の底部)(出典:JAXA/NASA/Kim Shiflett)
そのほか、3人はASCANメンバーとともにNASA施設現地研修の一環で、NASAケネディ宇宙センター(KSC)とステニス宇宙センターおよびミシュー組立工場を訪れました。
地質学研修に参加する大西宇宙飛行士候補者(手前)(出典:JAXA/NASA)
KSCでは、射場や管制室のほか、宇宙ステーション整備施設(Space Station Processing Facility: SSPF)、スペースシャトル組立棟(Vehicle Assembly Building: VAB)、オービタ整備施設(Orbiter Processing Facility: OPF)を見学しました。ステニス宇宙センターでは、エンジンの試験場を見学し、ミシュー組立工場では、スペースシャトルの外部燃料タンク(External Tank: ET)の組み立ての様子を見学しました。NASAの宇宙開発を支える現場を目の当たりにし、そこで作業する人々の様子を肌身で感じました。
また、油井、大西両宇宙飛行士候補者は、地球観測の基礎を学ぶ目的で、ニューメキシコ州で行われた地質学の実地研修に参加しました。断層の観察や重力測定による地層調査、岩石の分析などを通して、地質学の知識を深めました。
STS-131ミッション報告会
報告会の様子(出典:JAXA)
山崎宇宙飛行士は、5月に続き、6月にも一時帰国し、STS-131クルーとともにメルパルク東京(東京都港区)でミッション報告会を行いました。
報告会では、ミッション中に撮影した映像を交えながら、スペースシャトル「ディスカバリー号」の打上げから帰還までの様子を解説しました。
解説の後には質問の時間が設けられ、山崎宇宙飛行士らSTS-131クルーは、会場から寄せられた質問に答えました。
質問の後には、「山崎宇宙飛行士が選ぶ宇宙俳句集」において「きぼう特別賞」に選定された10点の作品の紹介とともに、入賞者の表彰が行われました。
報告会の最後には、「STS-131クルーが語る国際宇宙ステーション」と題し、ISS計画の意義やISSにより得られたもの、今後の活用などについて、STS-131クルーによるトークセッションが行われました。
- STS-131ミッション
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